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福島原発事故と子供の甲状腺がん

2018年06月14日 | 放射能と情報操作
『福島原発事故と子供の甲状腺がん』2018年6月14日 木曜日(大安)北海道新聞 どうしん電子版

東京電力福島第1原発事故当時18歳以下だった福島県民約38万人を対象とした甲状腺がん検査で、これまでに200人近くが、がんまたはその疑いと診断された。医師や専門家でつくる福島県民健康調査検討委員会は「(原発事故による)放射線の影響とは考えにくい」との中間報告をまとめている。もともと「100万人に数人」とされた小児の甲状腺がん。桁違いに多く見つかることをどう考えればいいのか。



つがね・しょういちろう 東京都出身。慶応大医学部卒。同大助手を経て1986年、国立がんセンター(当時)へ。がん予防・検診研究センター長などを経て2016年から現職。原発事故後に福島県が設置した、専門家による県民健康調査検討委員会や甲状腺評価部会メンバー。62歳。

過剰診断で発見数増加 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長・津金昌一郎さん

私も福島県民健康調査検討委員会の委員で、被ばくの影響を「考えにくい」とした中間報告は妥当だと思います。「影響がない」と完全否定することはまだできませんが、影響はないだろうと考えています。最大の理由は、福島の子供たちが浴びた放射線量が少ないことです。チェルノブイリ周辺住民の被ばく線量と比べて桁違いに少ない。福島では食品も規制され、内部被ばくもほとんどない。線量から科学的に評価すると、事故のせいで過剰に甲状腺がんが発生することはないと予想されます。
2011~13年度に行った先行検査を受診した約30万人のうち昨年3月末時点で、疑いを含めて116人ががんと診断されました。これは「地域がん登録」のデータなどと比べても数十倍多い計算になります。しかし、がんは基本的に遺伝子が徐々に傷ついてできるので、検査で見つかるほど大きくなるのは通常、原発事故から数年後です。少なくとも先行検査で見つけた分は、事故による放射線の影響ではないと言えます。
さらに甲状腺がんの場合、症状がない人にも全てエコー検査をすれば、その程度は見つかっても不思議はないと思います。実際、韓国では1990年代から安価な甲状腺のエコー検査が行われて爆発的に受診率が上がり、11年には甲状腺がんの罹患(りかん)率が93年の15倍に増えました。
チェルノブイリでも98年から3年間、事故当時汚染地域に住んで18歳未満だった約1万3千人を対象に検査したところ新たに44人に甲状腺がんが見つかりましたが、うち11人は被ばくの影響とは考えにくい線量でした。原発事故がなくても甲状腺がんになったと考えられる子供はおおむね0・1%だったのです。90年代に香川県で約1万1千人を対象に行った検査でも29歳未満の女性の0・46%で甲状腺がんが見つかった。10代でもチェルノブイリと同じくらいの0・1%程度発見されて不思議はない。福島のように30万人検査すれば0・1%は300人です。

ただ、被ばくのせいで甲状腺がんが増えたとは思いませんが、これほどの数の子供たちが、がんと診断されてしまったことについては、原発事故のせいであるのは間違いありません
その結果、福島では「過剰診断」という問題が起きています。がん検診の最大の利益は早期発見で死亡率を下げることですが、予後がよく進行も遅い甲状腺がんは、あえて見つけないほうがいい場合も多い。特に子供は無理に見つける必要のない場合がほとんどです。心身への負担など検査に伴う不利益が利益よりも大きくなっている。検査は子供たちの健康のために必ずしも良いものではなく、実際、福島県の小児科医たちが検査の見直しを求めています。

(★注。まさに恐怖の口先男の面目躍如。これは、いくら何でも日本語として無茶苦茶。ほぼ安倍晋三と五十歩百歩のレベルである。
『ただ、被ばくのせいで甲状腺がんが増えたとは思いませんが、これほどの数の子供たちが、がんと診断されてしまったことについては、原発事故のせいであるのは間違いありません。』と、ハッキリとフクシマの放射能の影響である事実を認めているのですから、前半部分でいくら否定しても意味がない)



まきの・じゅんいちろう 岐阜県出身。東大大学院修了。国立天文台教授や東工大教授を経て2016年から現職。理化学研究所でスーパーコンピューターの開発にもかかわる。月刊誌「科学」で「3・11以後の科学リテラシー」を連載中。著書に「被曝評価と科学的方法」など。55歳

被ばく影響 否定できず 神戸大教授・牧野淳一郎さん

福島で見つかっている甲状腺がんについて、県民健康調査検討委は原発事故による被ばくの影響は「考えにくい」としていますが、公開されているデータを見る限り影響がないと断言はできません。
影響が全くないと仮定すると説明のつかない不思議なことが起きている からです。
一つは2014年度に始まった本格検査で甲状腺がんと診断された人数です。
症状のない人も含めて検査したので多く見つかったという説明は11~13年度の先行検査では言えても本格検査には当てはまりません。
先行検査で見つければその後はあまり見つからないというのが専門家の暗黙の前提だったのに、本格検査で既に80人超と想定よりずっと多く見つかっています。
もう一つは地域差です。
原発に近い地域で多くがんが見つかっている。しかも本格検査でその傾向が強まっている。地域差が出るのは被ばく量の違いと考えるのが素直な解釈です。
他にも、本来女性に多いはずの甲状腺がんの男女比がおかしくなっていることや、事故当時5歳以下だった子供にも見つかったことなど、チェルノブイリ原発周辺で見られたような、被ばくの影響を示唆するデータが本格検査で出てきています。
仮に被ばく線量が10分の1なら10分の1なりに発症率が上がると考えるのが自然です。10分の1なら発症しないということにはならない。被ばく量が少なければ増え方が少ないだけであって増えないわけではない。福島で、チェルノブイリのように、事故前に比べて何十倍も甲状腺がんが増えることはたぶんないと思いますが、何倍とか何割増しはあり得ると思います。

検討委は悪い結果を出すのを先送りしているように見えます。
検討委が2年前に出した「被ばくの影響とは考えにくい」との中間報告はあくまで先行検査の結果を基にしたものです。本年度からは3回目の本格検査が始まっていますが、まだ1回目の本格検査の結果に関する見解が公式に出されていません
不思議なことの説明に窮しているのが実情ではないでしょうか。

地域差が見えづらい統計処理を行ったり、検査ごとに公表の仕方を変えたりと、意図的かどうかは別にして、私たち外部の人間が被ばくの影響があるかを調べにくくするような制度設計になっている点も問題です。
対象の漏れも見つかっており、検査の信頼性が揺らいでいます。
国や県の立場からすると、被ばくの影響はないという結果でないと困るでしょう。しかし、福島の子供たちの甲状腺がんをどう考えるかは、この国の科学や民主主義が問われる問題です。皆さんには、国や県の専門家の言うことが必ずしも科学的で正しいとは限らないことを心にとめておいてほしいと思います。

<ことば>甲状腺 喉仏近くにある長さ3~5センチの臓器。新陳代謝を促すホルモンを分泌する。甲状腺がんの多くは他のがんに比べて死亡率が低い。進行も遅く、年齢が上がるにつれて罹患率が上がるが、がんができても生涯症状が出ず気づかない場合がある。ヨウ素を取り込む性質があり、1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故後は放射性ヨウ素の大量取り込みにより周辺住民に甲状腺がんが多発した。

福島県の甲状腺検査 2011年の東京電力福島第1原発事故当時、18歳以下だった約37万人を対象に福島県が同年から国と東電の拠出金で行う検査。14年からの本格検査は事故後1年間に生まれた子供を加えた約38万人が対象。超音波エコー検査で甲状腺のしこりの大きさや形を調べ、異常があれば細胞などを詳しく調べる。チェルノブイリ原発事故で周辺住民に甲状腺がんが多発したのは4、5年後からだとして、11~13年の先行検査は事故の影響がなくても発生していた甲状腺がんを把握するとし「先行」と位置づけた。16年3月の中間報告では《1》推定される被ばく線量がチェルノブイリと比べて「はるかに」少ない《2》チェルノブイリで多発した事故当時5歳以下の子供のがんが見つかっていない―などを根拠に「被ばくの影響とは考えにくい」とした。今年3月に報告された最新データによると、昨年末までに196人が、がんまたはその疑いと診断され、事故当時5歳以下でも見つかっている。(報道センター 関口裕士)
6月14日 北海道新聞

『もはや誰も言い逃れできないフクシマの放射能の影響』

福島検討委(福島県立医科大学)は2011年10月9日、福島県内の2011年3月11日時点で18歳以下だった子どもたち368,000人の甲状腺(スクリーニング)検査を開始。検査対象者の8割の30万人が検査を受け115人が小児甲状腺がんと判定される。
詐欺師のような極悪検討委では、善良な一般日本社会とは無縁で、すべての検査が終了して全部が陽性だったら『疑い』と発表する。
確かに摘出手術を行わないと100%癌だとか断定できないのは事実だが、普通の常識ある医者なら必ず癌だと発表するのである。(ところが、ペテン師の福島県検討委だけが違っていて『疑い』だと誤魔化す。甲状腺を摘出手術し精密検査して初めて『確定』となる仕組み。まさにインチキ手品で統計数字を操っていたのである)
1順目(スクリーニング)検査終了(2014年4月)から福島医大は2011年3月11日時点で胎児だった子供を検査対象に含めて(水増し)380,000人を対象に2順目「本格調査」を始めたが受診率が7割に激減、1順目(スクリーニング)検査で健康だと判定されていた27万人中で71人もが小児甲状腺がんと判定される末期症状。福島県検討委自体が断末魔なのである。

事実なら福島県の子供は全員が年寄だったとの笑えない『笑い話』

福島県で『有り得ない』事態が起きていた。
成長ホルモンに関係する甲状腺は小児にとっては大事だが小さな臓器なので、すべての悪性新生物(がん)の中で甲状腺がんの比率は1%しかない。ですから、普通に考えると福島県の子供たちは(100倍の)2万人が何かの癌だとのトンデモナイ話である。基本的に小児がんは非常に珍しい。そもそも細胞の設計図であるDNAの損傷が原因で発症する『癌』は高齢者に限定された病気なのである。
★注、15歳から39歳の思春期・若年成人(Adolescent and Young Adult, )AYA世代で発症する「がん」は2万人程度と少なく、子供の小児がんは若年成人よりもっと桁違いに少ない。
放射能被害以外では、説明不能の決して『起きない』異常なことが目の前で展開されている。


爆心地である原爆ドームの広島平和記念公園内にある「原爆の子」の少女と折鶴の像(1958年5月5日完成)

原爆ドーム(広島平和公園)の『折鶴の像』のような小児の急性白血病ですが、電離作用があるガンマ線とかベータ線、アルファ線など放射能被害以外の、他の原因でも同じ症状が発症することから関係機関は放射能が原因だとは一切認定していない。放射能被害での、唯一の例外が『小児甲状腺がん』だったので、福島検討委は甲状腺のエコー検査を行っていたのである。
それなら、何故、小児甲状腺がんが認定されたかですが、これはフクシマと同じレベル7の核事故だったチェルノブイリで小児甲状腺がんになったのは自力で呼吸していた子供たちだけだった(自力で呼吸していない胎児は発症しなかった)ことから極悪原子力ムラのWHOやIAEAでも仕方なく唯一放射能の影響で発症したと認定していたのである。
(2順目検査から事故当時に胎児だった子供を検査人数に入れた福島県検討委の判断ですが、これは分母を増やして、少しでも発症率を下げたかったと思われるが無駄な努力だった。前回検査から1年~2年の短時間で次々と小児甲状腺がんが爆発的に発症する恐ろしさ。子供たちの疎開は一刻の猶予も無い緊急課題である。


飯舘村で原発事故後初「運動会」 幼小中合同、息を合わせて落下傘を追い掛ける小、中学生でつくる騎馬隊  2018年05月20日福島民友

飯舘村で今春開園した認定こども園「までいの里のこども園」と、同じく開校した草野、飯樋、臼石の合同小、飯舘中は19日、小、中学校の校庭で東京電力福島第1原発事故後初めてとなる運動会を開いた。「までいの空」に古里再生を願う子どもたちの歓声がこだました。
(抜粋)

『福島・浪江町の馬場町長が辞職 体調不良のため』2018年6月14日朝日新聞

東京電力福島第一原発事故に伴う避難指示が昨春、一部で解除された福島県浪江町の馬場有(たもつ)町長(69)が13日、町議会に辞職願を提出した。辞職は30日付。昨年12月から体調不良のため入退院を繰り返していた。
馬場氏は浪江町議や福島県議を経て2007年の町長選で初当選し、現在3期目。辞職願には「日常健康生活が非常に困難という医師の所見がまとまりました。重責をといていただきたく申請いたします」などと書かれていた。
町長選は議会から町選挙管理委員会に辞職決定が通知された翌日から50日以内に行われるが、避難中の有権者が多数いることや、7月末の伝統行事「相馬野馬追」を避けるため、8月初旬になる見通し。
住民票に基づく町の人口は5月末時点で1万7819人。町によると、実際に住んでいるのは747人で、大半は県内外に避難している。



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5 コメント

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Unknown (たけ)
2018-06-14 13:05:40
管理人様こんにちは。
仰るとおり
破綻している説明ですね。

被ばくのせいで甲状腺がんが増えたとは思いませんが、これほどの数の子供たちが、がんと診断されてしまったことについては、原発事故のせいであるのは間違いありません

原発事故→被曝→甲状腺異常や癌多発

なのですから
被曝を原発事故 と表現変えても同じですよね。姑息すぎます。
規模も人口密度も条件とか異なるところがあるのに。
日本が裁判とか前例を重視する国とはいえ
楽観のほうに傾き 誘導しすぎています。
 おまけに検査しすぎているって
原発事故が起きてなくても早期診断は合った方がいいでしょうに。(あらゆる病気でも)
そのあとどうするかの問題は別問題。
というか利益より不利益が多いって
あんたらのほうでしょう。(原発利権とか)
国民に採ることだけ考えて使うことを全く考えていない安倍政権そのもの。

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Unknown (讃岐人)
2018-06-14 13:55:51
政府が言い逃れのできない未成年者の甲状腺がんよりも、がん以外の心臓疾患、脳血管疾患、免疫疾患で健康を害する人のほうが絶対数として桁違いに多いと思います

原発事故直後に福島県に救援活動に行った知人が昨年7月に心不全で亡くなりました

体調不良の馬場町長も原発事故の影響でしょう

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Unknown (たけ)
2018-06-15 21:10:57
管理人様 讃岐人さん こんばんは。
讃岐人のコメントお読みして あっと思いました。
福島県検討委 が批判 非難承知で 甲状腺とかを否定
そして福島県中心の方々を心配する方々がそう行動する
結果
他の症状や問題が取上げられない

そういう考えもありえますね。
どうすればいいだろうかは分かりませんけど。(一番因果関係が証明しやすいの甲状腺問題かもしれないですし)
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Unknown (たけ)
2018-06-15 21:12:28
すみません、
二回目の讃岐人さん のお名前にさんをつけるのを忘れていました。
謝罪しておきます。
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個人的に (ちくわ)
2018-06-16 02:21:27
自分は福島県以外の健康被害も気になります。
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