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経産省保安院が東電の放射能汚染予測、公表せず 

2011年06月27日 | 放射能と情報操作

東日本大震災:福島第1原発事故 拡散予測、公表せず 保安院、東電のベント前報告
 
東京電力福島第1原発1~3号機で、原子炉格納容器を守るため圧力を下げる『ベント(排気)』をする前に、東電が原発周辺への放射性物質の拡散予測をまとめ、経済産業省原子力安全・保安院に報告したにもかかわらず、一般には知らされていなかったことが25日、分かった。
住民が避難行動する際の一助になった可能性もあるため、事故の原因究明や検証をする政府の『事故調査・検証委員会』でも検証されそうだ。
拡散予測は、保安院が24日夜にホームページ上で公開した、計約1万1000枚の資料に含まれていた。
文書は、原子力災害対策特措法に基づき、3月11日の福島原発事故発生直後から送られたもので、同日は5月末までの分が公開された。
これによると、同原発1~3号機でベントをする前に、東電は燃料が損傷するなど重大事故が発生したと仮定。風向きや風速などを考慮しながら、1、3、5、24時間後に放射性物質の希ガスやヨウ素が拡散する状況などを予測した。
東電は結果を保安院や福島県、同県大熊町、双葉町の4カ所にそれぞれファクスで送付していた。
一般に公表しなかった理由について、保安院の西山英彦審議官は、
『予測は保安院でなく、東電の考えだったため(あえて公表しなかった)。公表すべきだったかは、検証される必要がある』と語った。
(毎日新聞 2011年6月26日)

『悪意の連鎖。繰り返される情報の隠蔽』

『保安院の説明は、市民への危険性の告知ではなく、経済産業省の原発安全宣伝のプロパガンダが目的』
今ではテレビニュースの記者会見でお馴染みの西山審議官は実は、震災後3人目の保安院の会見担当者だった。
この、『東電の出した予測だから』との理由で『保安院からは公表しなかった』と平気でいう西山審議官は原子力問題は専門外の素人で平均的な一般市民以上の知識は無いと思われる。
経産省でも原子力を扱う安全・保安院で、しかもレベル7のシビアアクシデントが進行中の今、あえて知識が無い人物が『担当』とされたのです。
西川審議官は今回の福島第一事故が起きるまでは、経済産業省ではハーバード法科大学院留学組みの文系キャリア官僚として日本の農業を壊滅させるTPPを推進する為の根回しや宣伝広報が専門だった。
これだけの重大で歴史的な国難中の国難の時に、わざわざ弁舌がさわやか以外に取り得が無い素人同然の人物を専門知識が必須の安全・保安院の代表として発言させる政府の真意とは何か。
事故直後の担当は、今の西山審議官とは大違いで原子力には造詣が深かったが、これが災いして担当を外された形跡が濃厚である。
政府として国際原子力機関(IAEA)へ公式報告をしているのにも係わらず、『ベント成功の判断をしたのは東電で、政府として言及していない』と真っ赤な嘘を平気で発表する西山審議官の鉄面皮ぶり。
『隠そうという意図はなかったが、国民に示すという発想がなかった』などの数々の歴史に残る爆笑お馬鹿発言を繰り返し、聞いている我々一般市民の方が恥ずかしくなる類の無責任の極みの西山審議官は国難の中の忙しい最中、不名誉な不倫騒動で海江田通産大臣から叱責されるなど別の面で話題となっている。

『真実を語って更迭された前任者の2人』

1人目の地震直後から会見担当を務めた中村幸一郎審議官(原子力安全基盤担当)は東大工学部出身で原発に詳しく地震翌日の水素爆発以後の12日午後2時の会見では、
『1号機で原子炉の心臓部が損なわれる炉心溶融が進んでいる可能性がある。発電所の周辺地域から、燃料の核分裂に伴うセシウムやヨウ素が検出された。』と、正しくメルトダウンの事実を発表している。
ところが経済産業省(菅首相や枝野官房長官が直接主導したとの説も)は、
『不確かな段階で発表し、国民や地域住民に不安を与える』という濡れ衣の理由をつけて、すぐさま中村審議官を更迭してしまう。
事実は、更迭された中村審議官が『地域の住民の命を健康を守る為に、早期の段階で正確な情報を提供』していた事が、今では明らか。
この犯罪的な、正しい中村審議官の更迭行為に対する、海江田万里経済産業大臣の説明責任は免れようが無いだろう。
2人目の後任の担当者は、矢張り理系で原発にも詳しい根井寿規原子力安全保安院審議官(原子力安全担当、核燃料サイクル担当)が行っていた。
ところが根井審議官も午前5時35分からの会見で、
『3号機へのすべての給水ができなくなり、原子炉の冷却機能がストップ』と発表し、核燃料の熱が出続けているため、炉心の冷却が止まると、放射能漏れの可能性が出てくることを明らかにした。
さらに根井氏は『自分の見解』として、今後の想定されるシナリオや最悪の可能性について発言していた。
この2人目の根井審議官も、原発の状況がどれだけ危険であるかを語った1度だけの会見で前任者の中村審議官と同じで、その日のうちに早々と更迭されて仕舞うのです。
安全・保安院担当の前任者の2人の審議官は両方とも会見でうっかり?と、日本政府や東電が日本国民に隠しておきたいと考えていた福島第一原発のメルトダウンの悲惨な事実を記者会見で示唆した途端、急遽担当を外されて『安全・安心』としか言わない別の人物に差し替えている。

『原子力安全保安院とは縁が薄い西山英彦』

前任の2人とは違い原子力安全・保安院の職員ではなく原発問題に対してはド素人の通商政策局担当の大臣官房審議官(広報宣伝担当か?)の西山英彦が、専門外の原子力安全保安院の担当になった。
3人目の、原発に無知な専門外の西山審議官がそれ以降ずっと、3ヶ月間も原発事故の説明を国民に対して行っているのですから、これでは問題が起きて当たり前である。
今回のニュースではっきりしたことは、西山英彦が専門知識も無いのに福島第一原発事故後の保安院の担当となれた理由が、放射能の拡散の危険性などの市民に正しい事実の公表目的ではなくて、その正反対の危険性の隠蔽と原発安全神話の宣伝広報であった事実が、今では明らかとなっている。

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