『朝鮮の核問題』2003年6月14日小出 裕章(一部省略)
Ⅰ.『はじめに、核と原子力の基礎知識』
ウランには『燃えるウラン』と『燃えないウラン』がある。
『燃える』とは『核分裂する』ことを意味し、質量数235 番のウランが燃え、質量数238 番のウランは燃えないが、天然ウランのうち『燃えるウラン』はわずか0.7%。
ただ、『燃えないウラン』は中性子を吸収しても核分裂しないかわりに、プルトニウムに姿を変える。
プルトニウムにも『燃えるプルトニウム』と『燃えないプルトニウム』があり、質量数239 番と241 番が燃え、その他は燃えない。
米国は第二次世界戦争中、原爆を作る極秘のマンハッタン計画で、合計で5万人の科学者・技術者を動員、総額20 億ドル(85 億円、1940 年の外国為替レート23.437$/100\で換算)もの費用を原爆開発だけに投入。
当時日本の一般歳出が1940年が59億円、1945年で215億円であった。
ベルリン郊外のポツダムで米英ソ三国が日本への降伏勧告を協議する『ポツダム会談』を開こうとしていた1945年7月16日の朝、アリゾナ州の砂漠アラモゴルドにおいて人類初の原爆が炸裂。
原爆成功の報を受けたトルーマン米国大統領は、同席しているスターリンには内緒で、英首相に知らせ、3週間後の8月6日に広島、8月9日に長崎に原爆投下、この世のものとは思えない地獄を現出させたのであった。
『ウラン原爆』
1945年(世界大戦終結時)米国は3発の原爆を完成させていた。
その1つがアラモゴルの(最初の)トリニティー(三位一体)、残りの2つが広島(リトルボーイ)と長崎(ファットマン)の原爆であった。
うちリトルボーイだけがウランで、トリニティーとファットマンはプルトニウムで作られていた。
天然ウランは、燃えるウランは0.7%しか存在していないが、一気にウランの核分裂反応を進行させる原爆では、燃えるウランの濃度を93%以上に高めなければならない。
純度を高める作業を『濃縮』と呼ぶが、厖大なエネルギーを必要とする。
リトルボーイの爆発力の推定値はTNT火薬換算で1・6万トン分。
約30kgのリトルボーイの高濃縮ウランを得るために『濃縮』作業で使ったエネルギーは、TNT火薬5万トン分に相当。
原爆は圧倒的に強力な兵器であり、どんな犠牲を払ってでも手に入れる価値がある。
しかし、ウランで原爆を作ることはエネルギー的にいえば実に馬鹿げたことであった。
(得られるエネルギー量の3・1倍以上のエネルギーを生産段階で浪費)
『プルトニウム原爆』
そこで、プルトニウムがにわかに重要性を帯びてくる。
原子炉の中で『燃えるウラン(ウラン235)』を核分裂させ、そばに『燃えないウラン(ウラン238)』を置いておけば、核分裂で生じた中性子を『燃えないウラン』が捕獲してプルトニウム239 に自然に姿を変える。
今日では、原子炉といえば発電に使う道具のように思われているが、もともと、原子炉とは原爆用のプルトニウムを作り出すために開発された。
プルトニウムを効率よく作るためには、原子炉の中にある燃えるウランの量に比べて燃えないウランの量が多い方がいい。
今日の日本の原子力発電所(軽水炉)では、燃えるウランを3%から5%程度まで濃縮して使っているが、プルトニウムを作る目的の炉では、天然ウランをそのまま使ったほうがいい。
また、原子炉の中でウラン 235 が燃え、ウラン238 がプルトニウム239 に変わるが、そのプルトニウム239 をそのまま原子炉の中に入れておくと、中性子で燃えないプルトニウム(プルトニウム240)になるので、核兵器用にプルトニウム239 を作ろうとする場合、できたプルトニウム239 を原子炉の中から速やかに取り出したい。
そのために、原子炉を運転中でも燃料を出し入れ出来る特性を持った原子炉として開発されたものが、いわゆる『ガス冷却炉』で、ごく特殊な場合には「重水炉」であった。
Ⅱ.『朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮) 核=原子力施設』
朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮と記す)には1986 年1 月に稼動を始めた電気出力5MW、熱出力は25MW の研究用原子炉がある。
私が所属する京都大学原子炉実験所にもKUR という原子炉があり、その出力は熱出力で5MW であるから、単純に比較すれば朝鮮の原子炉はKUR の5 倍である。
また、今日標準的となった原子力発電所は電気出力が100 万kW すなわち1000MW であり、熱出力は3000MW。
朝鮮にある原子炉は標準的な原子力発電所の原子炉と比べれば100 分の1 以下というごく小さなものである。
ただし、朝鮮の研究炉はプルトニウム製造に適したガス冷却炉である。
重水冷却炉はガス冷却炉と同様、天然ウランをそのまま燃やせるし、運転中に燃料を交換できる。
日本にはガス冷却炉もあったし、重水冷却炉もあった。
日本で最初に動き始めた東海1 号炉は、英国がまさに核兵器製造用に開発したマグノックス型と呼ばれるガス冷却炉である。
また、今年3 月に停止した『ふげん』は、世界一のプルトニウム燃焼実績を誇る重水冷却炉であった。
東海1 号炉は電気出力166MW、熱出力587MW、ふげんのそれは、それぞれ165MW、557MW である。
米国は、朝鮮の研究用ガス冷却炉がプルトニウム生産目的のものだとして経済制裁を加えてきた。
また、新たに朝鮮が作ろうとしていた発電用のガス冷却炉の建設を停止させ、その代わりに軽水炉を提供するとともに、それが完成するまでの間重油を供給すると約束したのが、1994 年の枠組み合意であった。
ところが、米国はブッシュ政権になった2001 年6 月6 日、『北朝鮮政策見直し』を発表、重油の供給を停止するとともに、軽水炉すら核開発につながるとして一方的に枠組み合意を破棄した。
本来『北朝鮮には原爆が作れない』仕組みだった
プルトニウムは原子炉の使用済燃料を再処理しなければ取り出せないが、朝鮮には再処理施設がない。1956 年に建設された放射化学研究所には強い放射能を取り扱うための『ホットセル』と呼ばれる設備がない。1985 年着工1996 年完成予定であった放射化学実験室(RadiochemicalLaboratory)が再処理開発を目的とした実験施設であることは朝鮮自身も認めているが、1994 年(米朝)枠組み合意時に建設が凍結された。
したがって、(IAEAの査察を受けている限り)朝鮮はプルトニウムを取り出すことができないし、もちろん原爆を作ることもできない。
朝鮮の研究用原子炉は燃料交換を運転中でなく、炉を停止させてから行う仕様、他のどの国の原子炉もそうであったように、運転開始当初は予想通りには動かなかった。
1994 年の枠組み合意時までずっと初装荷燃料のまま運転されてきて、その燃料はIAEA の立会いの下、つい先日まで8000 本の燃料棒すべてがIAEA の監視下にあった。
(米朝合意の代替軽水炉は2003年までに稼動する約束だったか守られず、2002年12月に重油供給も停止。
北朝鮮はこれ対応して1993年3月、核兵器不拡散条約(NPT)脱退を表明、IAEAの査察を拒否。6月の米朝協議で北朝鮮はNPT脱退中断と揺れ動く)
ただし、この原子炉は1989 年に100 日ほど運転を休止した時に原子炉から破損した燃料を取り出し、建設途上の放射化学実験室でミリグラム単位のプルトニウムを抽出したと朝鮮は認めているが、これでは原爆製造は無理。
朝鮮が使用済燃料の全量を再処理して原爆を作った場合には、最大で約20kg のプルトニウムが得られることになる。
長崎型の原爆を作るためには約8kg のプルトニウムが必要といわれており、20kg のプルトニウムではいくら頑張ってもせいぜい3 発の原爆しかできない。
爆発力にすれば、約50 キロトンである。
『日本はすでに充分な核を開発した』ことになる
日本は大量のプルトニウムをすでに保有している。
日本はこれまで再処理をフランスとイギリスに委託、プルトニウムは日本に返還され、現在は「もんじゅ」など核燃料サイクル開発機構の施設を中心に約7トン保有している。
まだイギリス・フランスに留め置かれている分も含めると40トンを超えるプルトニウムを既に持っている。
これで原爆を作った場合、すでに数十メガトンという単位の原爆を作ることが出来る。
広島の原爆は16 キロトン、長崎の原爆は21 キロトンの爆発力だったが、すでに日本はメガトンという単位の原爆を作るだけのプルトニウムを持っている。
その上、「もんじゅ」が潰れても尚且つ日本は高速増殖炉開発を続ける姿勢を変えていない。
高速増殖炉はエネルギー源にならないが、『核開発』の中では大変重要な役割を持っている。
日本の原子力発電所の軽水炉だが、その使用済み燃料中に生まれてくるプルトニウムの場合、約7割しか『燃えるプルトニウム』が含まれておらず、高性能な原爆を作るには適さない。
原爆を作るためには燃えるプルトニウムが90 数%含まれていなければいけない。
ところが、高速増殖炉には炉心の周りにブランケットと呼ばれる領域があり、そこに劣化ウランを置いておくと、中性子で自然に燃えないウラン238 が超優秀な燃えるプルトニウムになる。
この超優秀なプルトニウムの獲得こそ、高速増殖炉を開発するための最後に残る、そして最高の動機である
Ⅲ.『朝鮮をめぐる情報の不均衡』
『核開発と原子力開発』
『Nuclear Weapon』は日本語では『核兵器』である。ところが、『Nuclear Power Plant』は日本語では『原子力発電所』となる。
英語には『Nuclear』という単語しかないが、日本では『核』と訳す場合と、『原子力』と訳す場合の2つが使い分けられてきた。
今、朝鮮が『核開発』をしていると報道されているが、英語で書くと『NuclearDevelopment』。
米国と日本は朝鮮が『ウランを濃縮しようとしている、再処理をしてプルトニウムを取り出そうとしている、怪しからん国なので、経済制裁する』と言う。
ならば問う。
日本には原子炉はないのか? ウラン濃縮はしていないのか? 再処理をしていないのか? 日本には現在52 基の原子力発電所が稼動中であるし、研究炉だって大小あわせて10 基を超える。
その上、巨大な濃縮工場があるし、再処理工場も東海村で動いている。
さらに今また青森県六ケ所村で巨大な再処理工場を作ろうとしている。
ところが、それらすべては『核開発』ではなく『原子力開発』なのだという。
そして、『原子力開発は文明国にとって大変大切なものであって積極的に推進する。ウランは濃縮して原子力発電に使うし、再処理してプルトニウムを取り出し、原子力の燃料として利用する』と言い続けてきた。
では、なぜ、朝鮮は文明国になるために必要な『原子力開発=Nucleardevelopment』をしてはならないのか?勿論、米国には巨大な濃縮工場もあれば巨大な再処理工場もある。
勿論プルトニウムもあれば、膨大な核兵器だってある。
自分の気にくわない国がやる場合には『核開発』というレッテルを貼って大変悪い国だと宣伝し、自分や自分の仲間がやるならいいことだというのである。
日本のマスコミもそうした主張を流すだけで、彼我の不均衡を問おうとしない。
『ロケットとミサイル』
朝鮮は1993 年5 月「ノドン」と呼ばれる射程1300km のロケットを発射した。
その後、1998 年8月には「テポドン1 号=白頭山1 号」(射程1500km)を打ち上げ、日本海、日本列島を飛び越えて太平洋にまで飛んだ。
朝鮮自身は「白頭山」は運搬用ロケットで人工衛星「光明星1 号」を軌道に乗せたと発表した。
もちろん純粋技術的に言えば、それは弾道ミサイルにもなりうる。
しかし、ロケットを使って人工衛星を打ち上げることが悪いことなのか? 日本はすでにH2 ロケットをはじめ多くのロケット開発をしてきたし、いくつもの人口衛星を打ち上げている。
いうまでもなく米国は無数の軍事用人工衛星を打ち上げ、無数の大陸間弾道ミサイルも持っている。
しかし、米国(日本政府)はほんのわずかのロケットを打ち上げた朝鮮を『ならず者国家』と呼び、それを理由にさらなる軍拡を進める。
そして、日本はその腰巾着となって、朝鮮の脅威をあおる。
兵器で金儲けをしている国はどこか?また、朝鮮がイエメンにミサイルを売ったら、公海上で他国の船を「臨検」し、けしからん国だと言う。
では、軍事産業で金儲けしているのはどこの国なのか? 最高の売り上げを誇る米国企業の売上高は180 億ドル、2兆円を超える。
一つの国家をも越えるような軍需企業があり、20 傑のうち11 までは米国である。
圧倒的な軍需企業を抱え、軍事で金儲けをしている国、すなわち『悪の枢軸』とは米国そのものである。
『朝鮮の歴史と日本の責任』
日本のマスコミなどは、米国発表をそのまま流すだけであるが、そもそも朝鮮に関する歴史の流れを理解していない。
朝鮮は1910 年の日韓併合以来、日本の植民地支配の犠牲となり、創氏改名、朝鮮語の禁止、天皇の崇拝などを強制された。
1945 年の日本の敗戦は、多くの朝鮮人にとっては大日本帝国からの解放と受け止められた。
しかし、日本と米国との戦争は、悪逆非道の日本と正義の米国との戦争であったわけでは決してない。
それは世界の覇権を狙う両帝国同士の戦争であり、圧倒的な力の差の下に米国が日本を完膚なきまでに打ち破った戦争であった。
しかし、米国は当時の共産主義との確執を前に、日本や朝鮮を東洋における共産主義の防波堤にしようとした。
そのため、日本では天皇はその戦争責任を問われないまま温存されたし、朝鮮でも日本統治下の役人がそのまま政権に居座ることが許された。
そのため、本来であれば日本の植民地から解放され、晴れて独立を果たすはずであった朝鮮は、血を血で洗う内戦へと導かれて、南北に分断されたのであった。
1948 年に大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国が相次いで独立を宣言し、1950 年6 月にはついに朝鮮戦争に突入。
38 度線で膠着した戦争は、1953 年に停戦協定に至った。
その後、すでに半世紀の時間が流れたが、朝鮮と米国の間では依然として停戦協定があるだけで、戦争状態が続いているのである。
その一方の当事者である米国は核兵器、生物兵器、化学兵器、大陸間弾道ミサイル、中距離ミサイル、巡航ミサイル、ありとあらゆる兵器を保有し、自らの気に入らなければ、国連を無視してでも、他国の政権転覆に乗り出す国である。
そうした国を相手に戦争状態にある国が朝鮮であり、武力を放棄できないことなど当然であるし、核を放棄するなどと表明できないことも当然である。
ちなみに、日本はベトナム特需とともに、朝鮮特需をもって、戦後の経済を立て直したのである。そして今なお、米国につくのが国益だと、戦争を放棄したはずの憲法も無視して、弱いものいじめに荷担する。
Ⅳ.『差別と抑圧の世界への抵抗』
『9・11とアフガニスタン』
9・11 の攻撃を受け、米国は「テロ」を根絶するとしてアフガニスタンへの攻撃を始めた。
いったいアフガニスタンが何をしたというのであろうか? 米国から9 月11 日の攻撃の首謀者とされたオサマ・ビンラディン氏はアフガニスタンにとっては長年の客人であり、引き渡せと言うなら証拠を示せと、ごく当然の要求をしたに過ぎない。
証拠を示すことなく、容疑者の引き渡しを求めるなどどんな国際法、国内法に則っても違法であろう。
そして、交渉の用意があるとまで言っていたアフガニスタンに、「問答無用、言うことを聞かなければ攻撃する」と言って、米国は攻撃を始めた。
いったい悪いのはどちらなのか?アフガニスタンは貧しい国である。
多様な民族を抱え、ソ連、中国、インド、パキスタンそしてアラブの国々に囲まれ、他国の思惑に翻弄され続けてきた。1980 年以降は、ソ連の支配を嫌って内戦も起こり、中央アジアでの天然ガスと石油の利権をねらった米国はソ連と闘うタリバーンに肩入れした。
アフガニスタンは世界全体の阿片の4 分の3 を生産し、米国のCIAがそれを武器と引き替えて、戦闘を拡大させた。国土は荒廃し、食料すら乏しく、2100 万ほどの人口のうち、多い時は600 万人もが難民であった。
利用できるような統計的データすらないが、軍事費などは米国の1000 分の1にも満たない。その国を、米国だけではなく、米国に「同盟国」として認めて貰いたいという国々がよってたかって攻撃し、一方的な殺戮を繰り返してきた。
米国にとって、中央アジアのエネルギー資源はかねてから触手の対象であった。その米国は世界貿易センタービルを破壊されて、10 兆円に達する被害を受けた。しかし、中央アジア地域とアフガニスタンを支配下に置くことで、ついに中央アジアのエネルギー資源を手に入れる道筋を築いた。その上、こ地域に対するロシアの影響力を抑えたことで、蒙った被害をはるかに超える利益をすでに得たことになる。
『イラクへの一方的武力行使と米国の意図』
米国はイラクが大量破壊兵器を持っていると主張してイラクの政権を転覆させた。
国連を使って軍事施設も大統領官邸も隈なく調べさせ、それでも『大量破壊兵器』は見つからない。
見つかれば戦争。見つからなければ隠しているから悪い、だから戦争だと。
どっちにいっても戦争というむちゃくちゃな横暴さである。
イラクはサウジアラビアに次ぐ世界第2の石油の埋蔵量を誇る国で、イラクを自分たちの言うことを聞く政権にしたいということが今回の戦争、いや一方的な殺戮の唯一の目的である。
そのことは、米国のルーガー上院議員がハッキリ言葉にして言っている。
『もし、フランスやロシアがフセイン政権崩壊後の石油の分け前を欲しいなら軍事行動に参加すべきだ』。
『悪の枢軸』とは誰なのか。
大量破壊兵器とは核兵器・生物兵器・化学兵器であり、そのすべてにおいて米国が圧倒的多数を保有している。
そして、国際的にそれらの兵器の禁止条約を締結しようとする動きがある時に、それらすべてを闇に葬り去ってきたのも他ならぬ米国である。
その上、非核保有国への核攻撃をしないという消極的安全保障すら拒否し、さらなる核軍拡を進めながら、米国の正義が世界の正義であるとして世界中に支配の手を広げた。
一方、ソ連が崩壊して冷戦構造が終焉するや、今度は『ならず者国家』から米国を防衛するとの理由で、ミサイル防衛(MD)をはじめとする軍拡を進めている。
要するに、米国は自分だけが世界の覇者であり続けたいと言っているのである。
そのことは、大統領自身がドクトリン・教書でハッキリと明言している。
『米国はかってないほどの力と世界への影響力を持っており、この力は自由を希求する国々の力の均衡を推進するために使われなければならない。脅威が米国の国境に達する前に探知し、破壊することで、米国民とわれわれの国内外での利益を防衛する。米国は国際社会の支持を得るために努力を継続するが、必要とあれば、単独行動をためらわず、先制する形で自衛権を行使する。米国は、自分たちの意思をわが国とその同盟国に押し付けようとする敵のどんな試みも破る能力を維持する。米国と同等かそれ以上の軍事力を築こうとする潜在的な敵に思いとどまらせるに充分な、強力な軍事力を持つ。』
核戦争防止国際医師会議は長年、核兵器に反対し、1985 年にノーベル平和賞を受賞した。
その創始者であるバーナード・ラウンがいみじくも指摘したように、核保有国が一貫して言ってきたことは、
『我々がしている通り』ではなく、『我々が言う通りにせよ。』
『我々は核兵器を持って良い』が、『君たちは持ってはいけない。』
今世界で起っていること、米国がイラクに対して行ったこと、朝鮮に対して言っていることはまさにこのことである。
『星条旗が示す米国の成り立ち』
米国は「United States of America」というのが正式な国名である。
これを日本語に訳すと、日本では「アメリカ合衆国」と訳される。民衆が集まってアメリカという国を作っていると言うのである。
米国の国旗は星条旗であり、その横線は赤白で13 本ある。この13 本は、東部13 州が米国の独立宣言をした時の植民地=州の数を示す。その後、米国は西部に向かって開拓という名前で先住民を虐殺しながら土地を奪って行き、とうとう太平洋まで達した。
そしてアラスカを獲ってハワイを獲って、現在51州だということで星条旗の星の数は51 個になっている。
つまりこの星条旗というのは米国という国の成り立ち、州の数を端的に示している。
もちろん、正式な国名自身が示すように「State=州」が集まってできた国が米国であり、日本語にするならば、「アメリカ合州国」にしなければいけない。
ところが日本では「アメリカ合衆国」という訳しか使ってはいけなくされている。
完全な誤訳だと分かっていながら、「合衆国」という訳しか使わせない社会こそ歪んでいる。
朝鮮に対してだけでなく、情報もまた偏って、歪んでいる。
ワールドトレードセンターでたかが3千人が死んだからと言ってアフガニスタンで、そしてイラクで何万人もの人間を虫けらのごとく殺していく。
そのことは報道もされない。それ以前に、イラクで経済制裁という名の下にこれまでに何万人の人たちが死なねばならなかったのか、そのことの方が大事なことだと私は思うが、報道もされない。
言葉に尽くせないほど不均衡な世界である。徹底的な差別の世界になんとか抵抗するということが、今私たちがなさねばならない一番大切なことだと私は思う。
実際、原子力政策には原発を保有して原子力技術を獲得すれば、核兵器を製造することが容易になるという側面があります。 ⇒ ウラン235の(ウラン238に対する)高度濃縮を行なえばウラン型原爆の原料になり、使用済核燃料を再処理してプルトニウムを取り出せば、プルトニウム型原爆の原料になる。 そして、原発を保有する日本以外の全ての非核国は、実際には、いざという時の核兵器製造技術の獲得を念頭に置いています。 つまり、有事の際には、核抑止力のために核兵器保有する政治的意図があり、ウラン型原発を保有すれば核兵器製造が容易になるという側面を意識しているのです。
その意味で、日本が脱原発に進まないのは、暗に核抑止力のための核兵器保有の可能性を残しておくという政治的陰謀が隠されている疑いがあります。 これは、日本が米国の核戦略に組み込まれていることも意味しています。 厳密に言えば、憲法第九条の戦争放棄を堅持するためには、日本は脱原発を選択して核とは完全に縁を切るべきなのです。
日本周辺の分断国家である台湾と韓国の対応が正反対ですね。
6基の原発が稼動していた台湾ですが福島第一原発事故の顛末が明らかになったとたんに即座に原子力発電からの撤退を決定している。
ところが一方の21基の稼働中の原発の韓国は脱原発どころか未だに原発輸出の考えを捨てていない。
この違いは地震が少ない韓国と地震が多い台湾との立地の違いも有るが、最早中国との関係が切れないほど中国大陸との経済的な結びつきが強い台湾の馬英九政権は脱原発になる。
ところが軍事政権時代からの対北対決路線の韓国の李明博政権の原発推進の方針維持には、政治的な側面は無視できないでしょう。
核兵器ですがアメリカ軍により二回使われた以外66年間も誰も使っていない不思議な兵器なのですね。
インドが2回目の核実験1998年の成功時に、核保有国としての常任理事国入りの権利が有るとの主張は実に象徴的です。
軍事的な意味も勿論有るが、そもそもの日本のヒロシマナガサキにしても純軍事的(対日戦争の終結)な意味合いよりも政治的な意味合い(次の戦争である冷戦の為の対ソ恫喝)の方が遥かに大きかったのです。
インドですが実は既に24年前の1974年に実験して爆発に成功しているが当時は国力がまだまだ弱体だったので常任理事国云々の話は出なかったのですが2回目に言い出したのですね。
今の国連(UN)と第二次世界大戦時の連合国(UN)とは言葉も同じなら組織も同じです。
そしてインドは第二次世界大戦の戦勝国側である連合国(UN)の一員なのですから1998年の原爆成功で『常任理事国に』とインドが言い出して核保有国は大慌て。
米英仏ロ中などの言い分よりも、この無茶苦茶なインドの言い分の方が筋が通っているのです。
脱原発の台湾ですが、前政権で台湾独立の主張して民主進歩党(民進党)の陳水扁総統の時代の任期が最後の時期に、何とも理解に苦しむ不思議な話が出ているのです。
何とアメリカは政権交代の台湾の選挙から5日後、アメリカ国防総省は、
『2006年に間違って台湾に核兵器の部品を送ってしまった。台湾側は、問題の部品を先週まで返却してこなかった』と発表。
この問題の部品は、核弾頭の起爆装置(ヒューズ)4個で台湾側が注文していた軍用ヘリコプターのバッテリーとしてラベルが貼られ、送られてきた箱の中に入っていた。
起爆装置は核兵器開発の際の最も重要な部品でありアメリカ側の『間違いました』の言い分は、幾らなんでもインチキ臭い。
管理が厳重なはずの核起爆装置が、簡単に外国に誤送されるはずがないので、意図的に核の起爆装置を台湾側に送り、台湾独立のスローガンの陳水扁政権が核兵器を作ることを誘発しようと謀った考える方が辻褄が合う。
北朝鮮の場合にも米朝枠組み合意が守られたなら北朝鮮の核開発は無かったのです。
わざと緊張を煽っている可能性が高いのですよ。
作る会の右翼連中は、軍隊が有るから戦争が起きるとの左翼の考えは間違いで、警察が有るから泥棒が有るとの説と同じで間違いで有ると主張するが、
病気が無くなれば医者は廃業になり、泥棒が無くなれば警察はリストラされる。
戦争の危機が減ればその分軍縮が進むのは理の当然で、今のアメリカでは冷戦終結で戦略原潜を建造していた軍事産業は大弱りなのです。
既得権益の維持の為には、平和では大弱りで冷戦のような適当な戦争一歩手前の剣道の名人の寸止めのような『危機』は是非とも必要なのです。
今回の京大の小出助教の、
そもそもの原発の出自が原爆製造で、発電の方が後(副産物)であって、軍事とは現在でも矢張り関連性が有ると指摘していますが、これは重い。
今は違うが、それで昔は反原発とは左翼の政治運動だと色眼鏡で胡散臭く見られていたのですね。
原発と軍事ですが、福島第一事故後に反原発に転じた西尾幹二が面白い指摘をしています。
何時間か冷却出来ないだけで致命的に破壊される原発は破壊工作にきわめて弱く全てが海岸部に設置している日本は平和ボケの極み。
確かにマスコミなどが散々報道したテポドンも核兵器も必要ではなくて、日本全土を麻痺させるなら数時間作業員が原発に近寄れなくなくするだけで良いのです。
日本のマスコミや政府が言うように、北朝鮮の暴走が本当に予想されるなら日本海側の原発などは一番危ないことに自動的になるが、それなら即時閉鎖していないと辻褄が合わないが、特殊部隊の破壊工作なんかは、勿論そんなことは想定外で誰も考えていない不思議。
福井県の原発の危険性を株主に言われた、答えた関西電力の安全対策とは大笑いですよ。
即座に関係部署に連絡するそうですよ。
それでは強盗に入られたらなるべく早く警察に連絡しようと考えている我々一般市民のセキュリティーと同じかそれ以下ですね。
原発正面玄関にガードマンがいるが勿論丸腰の非武装ですが、こんなことは果物ナイフで銀行強盗が出来る日本だけの例外的な特殊例らしいですよ。
相手よりも上の武装(破壊や攻撃力)が必須条件なので、強盗にはアメリカでは最低でも拳銃を持参するし、フロリダ州では自動小銃を用意する必要が生まれる。
外国の例ですが、全てが沿岸に設置されている日本とは違い原発は案外海岸は少なく大概は内陸に設置されていますが、ひょっとするとかってイスラエルがイラクの原発を破壊したように敵対する外国による破壊工作まで考えてのことかもしれません。
ドイツですが全ては内陸にあり冷却水は川から取っている。だからですね。
福島のような原発のシビアアクシデントでは必ず汚染物質は下流に流れて被害がでる仕組みで、国民は日本よりも放射能汚染の環境問題にシビアなのです。