20代の頃はむしろ早く30代になって、精神的に落ち着きたいとも思っていた。20代は何か心がざわついて、精神的にコントロールのきかない年だったから。
30代を迎えて、思った通り心地の良い年代だったけれど、子育ての時期とも重なり、あっという間に40代。
それでも、まだまだ色々な面で予測がつく年代だった。外見的にもそれ程変わらなかったし。
父方の家系はみな童顔だ。だから私も40代に入っても実年齢より若く見られる事が多かった。
50代になって、老いの翳りの兆しが見えだした。
これまで感じたことの無い感覚。
毎朝見慣れた自分の顔に、これまでとは明らかに違う変化も認められ、少し悲しかった。
老いの始まりをなかなか受け入れる事が出来なかった。50代の前半は、ポジ人はネガティブなネガ人だった。
精神的にもとても不安定で、多分鬱状態だった。
仕事もうまくいかなかったし、金銭的にも一番苦しかった。
精神的には落ち込んでいたが、肉体的には体力もあったし、足も腰もこれまでと全く変わらない状態だった。
こんなに健康体に生み育ててくれた“3人の両親”(父と生みの母親と育ての母親)に心から感謝していた。
やがて、鬱も自力で快方に向かい、60歳を過ぎた現在。
子供たちのこと以外は、何の心配も無いポジティブな私ではあるけれど、今度は何の兆しも無かった体力の方がちょっと…。腰、膝に時折痛みを感じる様になって来た。グルコサミン、コンドロイチンが必要かも。
昔の千代の富士の引退会見じゃないけど、「体力の限界!」を感じ、仕事を辞める事にした。
来年から無職だ。
「会社員」という肩書がはずれる事が、ちょっとショック。
「無職」という事が、何故か罪に感じられる。
「働かざる者食うべからず」と言われて育ったから、働かない事に対して反射的にこのことわざが頭に浮かんで来てしまう。
退職後、有意義に過ごす為、日課などを考えてみる。けれども、きっと楽な方へ楽な方へと流れて行きそうだ。
まず、1日5000歩は毎日歩かなきゃと思う。
英語も最近は聞いてばかりだから、読む方と書く方の勉強を始めようかとか、考えてもその程度。
それより何より、若い頃からの溜まりに溜まったガラクタや新聞の切り抜きなど、家の中を整理しなければならない所が山ほどあるのだった。
老い方について思う。
しょんぼりしょぼくれ婆さんはNG。
前向きで明るく、背筋を伸ばして!
見苦しくないよう、小綺麗に!
それだけじゃ無く、オシャレじゃなくっちゃ。高い衣服じゃ無くても、“しまむら”でも“ユニクロ”でも“GU”でも。がんばれ私。
憧れの素敵なおばあ様にはなれそうに無いけれど。
身長低めだから、笑顔を絶やさずにいたら、かわいいおばあちゃんにはなれるかもしれない。
単純作業が好きだから、一日中物作りに明け暮れるのもいいかも知れない。
さて、何を作ろうか。
くまのぬいぐるみを30代の頃よく作っていた。
身長20センチにも満たないプックリしたクマを作っては、ちっちゃなパンツを作って履かせたりした。戴いたお菓子に付いていたリボンを取っておいて、クマさんの首に巻いて可愛くしたり。
何十体か作ったが、皆友人や知人にプレゼントしてしまったが、2体ほど手元に残っている。
初めて作ったのが写真右側の水玉模様のくま。布が薄すぎて、上手く出来なかった。顔が曲がっちゃっている。
左側が息子の為に作った物。名前がパン君。息子が付けた名前。息子に作った半ズボンと同じ布地でくまのパンツも作ってみた。
また、作り始めてみようか。
お菓子屋さんみたいな事もやってみたいな。
「ばあちゃんのおやつ」みたいな看板を掲げて、どこかで小さーいお店でも出来ないだろうか。
売るのは主に焼菓子。アーモンドフロランタン、チョコレートブラウニー、アップルパイやかぼちゃパイなどなど。
多分、今の自分に約束できる事、実現出来る事。それは、週2回のジョギングだけだな。
それ以外はちゃんとできるかどうか…。
くま作りから始めるか。
そして、実現出来なくても、ずっと夢を見続けるのだ。
ブログを書きながら、絵を描きながら、かわいいお婆ちゃんになれる様、願いながら老いるのだ。