動画を観る十数分ほどの時間が、至福の
時だ。
パン作りの時、いつもMochaさんはcuocaの茶色いスケッパーを使っている。
Mochaさんのブログの中に使用している器具の紹介があり、スケッパーが富澤商店(トミーズ)で売っているものであることがわかった。値段もリーズナブルだ。
Mochaさんへの憧れから、スケッパーだけでも同じものを使ってみようと、会社帰りに地下街の富澤商店へ行って探した。
それらしい器具がある周辺をかなり探して、やっと見つけた。スケッパーはひっそりと、分かりづらいところにあった。
cuocaのスケッパーを持って、喜々として、レジへと向かう。
400円もしない、安いお買い物だ。
これを使うだけで、Mochaさんとお近付きになれるような、そんなささやかな期待と興奮があった。
レジは完全非接触型だった。
コロナ禍で促進されている精算方法だ。セルフレジは近所のスーパーでもかなり増えている。
ご高齢の方がセルフレジに初めて出会う時はかなり大変だろうなと思いつつ、自分もそこそこ戸惑いながら精算を済ませた。
週末、ロールパンとレーズンとくるみ入りのパンを作った。
スケッパーの初使用。
ワクワクしながらMochaさんがいつも動画でやっている様に真似てみた。
あららら…。予想外に上手く行かない。
Mochaさんは簡単そうにやっているのに…。スケッパーでは生地を上手くまとめることが出来なかった。
結局いつもの自分流のやり方、計量スプーンでぐるりと全体を混ぜてからの、手でまとめる方式に変更。事無きを得た。
猿まねをした自分に苦笑した。
そんなことをしたって、意味が無いのに。憧れが高じて愚かな事をした自分。
我が家は、家具調度どれを取ってもMochaさんちとは違うのだ。
素敵な西洋家具を整然と配置した、風通りの良さそうな海に面したMochaさんの一軒家。ベランダから石垣島の美しい海と空が一望出来る。素晴らしいロケーション。
我が家は小さな川に沿って建つ、マンションの中の1画。部屋の中は雑然としている。Mochaさんちと比べると、ひと回りもふた回りも小さなベランダから藻岩山が見える。それも、大木が邪魔して、それでも何とか見える程度。
石垣島とは真逆の北海道だし、気候も自然も何もかもが違う。
スケッパー自体は自宅に無かったから、今後もパン作りやお菓子作りの時には使用するけれど。
パンをこねて改めて分かった。自分にあった自分のやり方、自分流でいい。
憧れは憧れのまま、憧れていればいいのだった。
いつも観ているMochaさんの動画の中にかいま見える、ゆるい人生訓にも、あったかも。
かなりMochaさんに影響されている自分に気づいた。