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ポジティブな私 ポジ人

長いタイトルの本を読んで思い出したり考えたり

職場で上司が女性社員のおしりを触ったら、それはもはや性犯罪だ。

今では信じられないことだが、私が就職した職場では、一部の上司に胸やおしりを触られるのは、仕方がないといった風潮さえあった。昭和50年代初頭の事だ。
就職したての私に、先輩は「〇〇部長に触られるから注意したほうが良いよ」と教えてくれた。

〇〇部長は今は亡き俳優、志村喬と森繁久彌を足して2で割ったような、ホンワカした雰囲気を持った長身のオジサンだった。いつもニコニコしていて人当たりが良い。うっかり油断していると、サッと胸やおしりにタッチしてくるらしい。
被害にあった先輩女性職員は、「いやー、〇〇部長にまた触られたー」と言って嫌がってはいたが、毎度の事だと諦めている感じもあった。
私はそんなのはごめんだ。〇〇部長から常に距離を取り、絶対に触られないように自分のボディーを死守したのだった。
セクハラを許容するような職場でも、私は「絶対許すもんか!」と思っていた。

結婚を機に1度退職をした。これも今では考えられないことなのだが、結婚をしたら退社して、家庭に入らなければならない「寿(ことぶき)退社」も当たり前の時代だった。

その後、20代後半でパートとして再就職したのは、金融機関の大きな事務センターだった。社員とパートを含めて女性ばかり50人規模の職場だった。男性は所長と所長代理の2名だけ。
50名のうち、お客様への電話連絡をするパートさんは10名ほど。年配の5、60代の女性が中心だった。その他の部署は、若い2、30代の女性社員とパートが40名ほどだった。

初めての飲み会に出席した時の事、若い社員達が我先にと、所長から遠い席へとキャアキャア言いながら陣取った。それは、所長からのセクハラを避ける為だった。
そうとは知らない私は、やむ無く空いていた所長の横に座った。
乾杯が終わってしばらくすると、所長の食指が私に向かって動き出した。

そんな事、私は絶対許さないのだ。

所長の手が私の太腿の上に置かれそうになった時、私はビールの入ったグラスを手に取り、所長の薄くなった頭の上に掲げ、「私に触れたら、グラス傾けますけどいいですか?」と真顔で言った。
それを聞いて、所長は直ぐに手を引っ込めたのだった。
それ以来、所長は懲りたようで、私の知る限り、職場内でセクハラは無かったように思う。

最近、長い題名の本を読んだ。
「50代で一足遅れてフェミニズムを知った私がひとりで安心して暮らしていくために考えた身近な政治のこと」…長い。
和田靜香さんが書いたこの本を読んで、昔のことを思い出し、冒頭の話を書いた。

2017年にアメリカから発せられた#Me Too運動。そこまで深刻でなくても、女性ならほぼどこかでセクハラを体験している。

石川優実さんの#Ku Too運動。
#Ku Tooは、「靴」と#Me Tooをかけた言葉で、職場で女性だけがハイヒールやパンプスを履くことを義務付けられることに抗議した運動だ。
私は職場でサンダルを履いていたけれど、ホテル業などは、確かに黒いパンプスが義務付けられている所もある。
女性だけが負わざるを得ない不当な事も多々ある。

本書を読むと、令和になっても女性を取り巻く環境は、そんなに良くなっていないことに気付かされる。

昭和の常識が骨の髄まで染みた私には、教えられることが多い本だった。
私も一足遅れてフェミニズムを知った一人かも知れない。

「議会のパリテ」という言葉も本書で知った。
議会における、議員の男女比が同一であることをパリテというらしい。そもそも女性議員が極端に少ない日本で、パリテが成立すること自体がすごい事だ。

そのパリテが20年続いている所が、神奈川県大磯町なのである。
それを知った著者の和田さんは、現地へ赴き、取材しながら町の女性たちと交流する。その女性たちの活気が読みながらこちら側にも伝わってくる。

元々大磯町は、エリザベス・サンダース・ホームの澤田美喜さんや坂西志保さんが住んでいた所で、彼女たちが地域に与えた影響も大きい。志の高い彼女たちの意志が脈々と受け継がれて、現在に至っている様だ。

和田さんの人柄もあるのだろうが、町の人達、特に知り合う女性達が皆魅力的で、町自体も住みやすそうで、私も行ってみたくなった。

議会のパリテだが、嬉しいことに北海道にもあった。江別市は25人中12人が女性議員で、48%でほぼパリテ。
東京東村山市も48%。
大磯町の他に奈良県王寺町も、50%でパリテが成立しているということだ。

パリテが重要なのは、女性の意見が取り上げられやすいことだ。女性議員が極端に少なかったり、いなかったりすると、女性独自の主張や意見が取り上げられる機会がない。それは女性の地位向上の機会も逸する事になる。

著者の和田さんは、未婚のライターさんで、今後も一人で生活するとなると、自ずと老後の年金生活に考えが及ぶ。

今の年金制度は、女性は必ず結婚するものとして考えられているそうで、生涯結婚をせずに一人で暮らす女性を、想定していない。
和田さんの様にフリーライターだと、受け取るのは国民年金のみ。現在の受取額は月額で換算すると、約6万円前後だ。到底年金だけで暮らせる金額ではない。

まだまだ、日本の世の中は男社会である。
つい最近報告された、「女性議員比率の国際比較」によると、186か国中、日本は164位という順位の低さでもわかる。

今の日本の政治家は国民の事なんかちっとも考えちゃいない。考えていることは私利私欲ばかり。
おまけに頭の中は昭和の常識が今も息づいていて、時代にそぐわない事甚だしい。
あの昭和のお爺さん政治家たちが退かない限り、世の中は良くならないし、政治不信も拭えない。
政界は、若者と女性で刷新しないと…と、つくづく思うのだ。日本の政界の迷走はいつまで続くのだろう。

ノンポリの私が柄にもなく、そんな事を考えた。



コメント一覧

ポジ人
@nognogblack 聖奈という名前で勘違い…そんな事もあったのですね。セクハラ教授っぽいですね。
nognogblack
歓迎いたします。
男子には内緒ですが、女子は基本的に応募=採用です。

女子学生を優遇してゼミに採用するという回答。教授は男子学生の「聖奈」という名前から女性と勘違いしていた。

その上で「サンドイッチにコーヒーでも飲みながら、お話ししましょう」とも書いてあったという。

と云う記事を思い出しました。
教授は何を期待したのだろう?🤮
なんでそんな奴が教授なんだろう?

凄く胸が悪くなります🤢
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