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ポジティブな私 ポジ人

喪服を買う

母の日をきっかけに、母の年齢を数えてみた。もう、80代も後半だ。この先、やがてやって来るであろう日の事が頭をよぎった。不謹慎とは思いながら、頭の中で色々シミュレーションした。やはり、着物だろうか。私は喪服の着物を持っていないので、貸衣装か…。いや、お葬式といえばかつては着物と相場が決まっていたが、最近ではタレントのお葬式等をテレビで見ても、喪主でも洋装が多い。と、そこまで考えて、自分がちゃんとしたフォーマルウェアを持ち合わせてないことに思い至った。

黒いツーピースは持っている。それは30年ほど前に、職場の同僚が38歳という若さでクモ膜下出血で突然亡くなった時に、慌てて近所のスーパーの2階の洋服売り場で、急遽あつらえたものだった。
いくら洋服に無頓着だとはいえ、いい年をしてフォーマルウェアも持っていない自分に、我ながら呆れた。母が元気なうちに用意しておこうと思った。

「喪服見に、街に行ってこようかな」そうつぶやくと、夫はデパートは高いから、郊外型のスーツの量販店が良いのじゃないかと提案した。それもそうだなと思い、家から少し離れた量販店へ夫と連れ立って出かけた。

大きな店舗は男性のスーツがメインのお店だが、女性のフォーマルウェアのコーナーもある。
見てみると、予想に反してというか、そもそもフォーマルウェアの相場も知らずに来てみたら、意外とお高い。安くても3万円以上のお値段で驚いた。
とりあえず良さそうなのを2点試着してみた。
喪服として着る服に、素敵も何も無いようなものだが、やはり好みはある。
デザインが「まあ良いな」と思うものは、4万円を超えていた。もう一方の3万円超えの方は、デザインが気に入らない。
4万円以上も出して、満足度が“まあ良いな”程度では、納得がいかない。結局、下見ということで購入せずに店を出た。

家に帰ってから、ふと、ネットのフリーマーケットに喪服はあるかな?とのぞいてみた。すると、結構手頃なお値段で掲載されていて、売れてもいる。
金額を2千円台で設定して検索してみたら、素敵なデザインの物があった。あの量販店で4万超えのデザインに似ていたが、それより素敵だった。

詳細を見ると、
「Mサイズ。2度着ました。クリーニング済みです。サイズが合わなくなったので掲載します」と書いてあった。

その出品者の掲載品一覧を見てみると、洋服類が多かったが、何れもセンスが良く素敵なデザインの品が多かった。発送地域は東京となっていたことから、「東京=あか抜けている」というイメージがますます沸き起こる。北海道人にありがちな感覚。

そのフォーマルウェアには、他の人からの質問のコメントも入っており、デザインが良いのでモタモタしていたら売れてしまいそうな気がして焦った。

着丈が書いてあったので、メジャーで肩から測ってみると、ちょうどよい加減の膝下サイズ。ウエストのサイズも私でも十分着用可能に思えた。
見たときからピンときたというのだろうか、これは買わなきゃとあわてて手続きした。ポイントがあったので、それを使ったら、実質1,800円ほどの値段になった。

そんな私の行動を知らない夫が
「またフォーマルウェア見に行かなきゃね」と言った。
「メ〇カリで買っちゃった」と伝えると、「試着もしないで買って大丈夫?」と言う。
私には変な確信があった。きっと、大丈夫だと。あの量販店で試着しておいたのも、ネットで購入する際、着用のイメージが出来て良かった。

数日して、外出中に品物は宅配ボックスに届けられていた。宅配ボックスの暗証番号を解除して荷物を取り出したのは夫だった。その荷物を見て私はギョッとした。

スーツが入るサイズのある程度大きな荷物が届くと想像していたのだが、届いたのは厚み3センチのA4サイズ。無理やり押し込んだと見え、箱の真ん中が膨らんでいる。
夫が「ほらやっぱり」的な顔つきをして、私に手渡した。
私は瞬時に覚悟した。しわくちゃでも、シワを伸ばせば何とかなる。先ずはシワを伸ばす手段だなあ…。

部屋に入り開封した。それはチャック付きのビニール袋2つに分けてピッチリと入っていた。
一つには、ワンピース、もう一つには上着。折ジワを覚悟して、それぞれビニールから取り出してみた。すると、あれだけ小さく折りたたんで箱に圧迫されていたのに、シワがほとんど無かった。心からホッとした。
布地はポリエステルだった。

後は、サイズの問題。
さっそく着替えてみると、これが私のためにあつらえたのではないかと思われる程、ジャストフィット。何と素敵なこと!私の直感は間違っていなかったのだ。メ〇カリ万歳!

フォーマルウェアはゲットした。今度は、黒のパンプスが無い。
その数日後、今度は靴を買いに街へ出かけた。
オーソドックスな形の靴は直ぐに決まった。価格はフォーマルウェアの3倍程したが、全て合計してもおよそ8,000円。良い買い物をした。

さあ、これでいつでも…いやいや、そんな日はずーっと来ないに越したことはないのだ。
母が元気だからこそ言える、ブラックジョークだ。




コメント一覧

ポジ人
@duchsparadise こんばんは~ミオ様。
ホントにいい買い物しました。
やっぱり、お葬式の着物は厳しいんですね。精神的に辛い状況に、肉体的にも辛いと苦しいですもんね。

メルカリではいつも本を良く買うんですけど、今回はラッキーでした。
duchsparadise
うわ~、いいお買い物でしたね。

和服の喪服は嫁入りの時持参して、その後2度着ただけで、それも葬式の慌ただしい中、あんな苦しい着付けで、気絶しそうでした。

以来洋装ですが、むくむく太ってしまい、買い替えましたけど、今は、どれもこれも入りません(泣

私もメルカリ見てみようかしら(^-^;
ポジ人
@nognogblack ノグブラックさん、こんにちは。

とても貴重なコメントありがとうございます。
小さなお葬式の情報、なるほどですね。とても役立ちました。やはり葬儀はお金のかかるものだということですね。
葬儀も出来ないなんてことにならないように、セッセと貯めておかないと…。
自分は安い樹木葬でいいな、なんて思ってますが。
nognogblack
8000円は良い買い物をされましたね。
やはり喪服の値段では無く、お見送りする心なので大金はたいても…と思います。
先日、会社の上司が身内の葬儀で今流行りの『家族葬』とか『小さなお葬式』みたいなのは大変だったと話していました。
40万円~となっていたけど、花も何もかも別料金で結局200万円位になったそうです。(菊の花4本で4万円とか😳)

最期だからと弔う気持ちや、親族が何と思うか考えるとケチる訳にも行かず…そこに付け込まれるのでしょうね。

繁忙期?だったのでお坊さん待ちで、御遺体の保管や親族の宿泊費もかかったそうです。

こういうのも、本人が元気なうちで無いと…って感じですよね。

元気なうちに使ってあげれたら、海外旅行も行けちゃう金額なんですけどね。
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