書道をしよう

Reisinより書道の魅力をお伝えします

―長恨歌― 白居易 その2

2009-06-21 | 書道
こんにちは Reisinです

東京は朝から大雨でしたが、夕方になってようやく雨があがりました。
まだまだ湿度何%~ という湿気を感じますが、
明るくなってきた空を見ると気分も明るくなってきます。

さて。

本日はいよいよ今週24日、水曜日から開催される同人書作展を前に、
白居易の「長恨歌」について。その2です。
前回は白居易について簡単にお話しましたが、今回は詩の内容に触れてみたいと思います。

前回に続き今回の内容は、冬に参加した野々下先生
(※詳しくは、日本教育書道藝術院HPをご覧下さい⇒http://www.shodou.co.jp/
の“長恨歌ゼミ”でいただいた資料はじめ、ゼミ内で紹介された
「マンガ中国の歴史④玄宗皇帝と楊貴妃」中公文庫
     

他資料をもとにしています。


「長恨歌」とは、7言120句からなる詩で(作品創りは苦労しました‥)、
中国唐の時代の玄宗皇帝(685-762)と楊貴妃(719-756)の恋を詠んだ歌
とされています。
玄宗皇帝とは、618年~約300年続くこととなる唐王朝の第6代皇帝。
楊貴妃とは玄宗皇帝の側室の一人でした。

玄宗皇帝は則天武后によって混乱した前代の政治を改革し、
「開元の治」と呼ばれる治世により、唐の絶頂期をもたらします。
学芸の奨励、官制の改革、富国強兵‥等等 安定した政治は、
治安がよく、村が栄え、民の安定した暮らしが保たれていました。

しかし、広い中国大陸。
国をまとめるのは至難の業ですね。
纏まっていると見えた時代でも、目の届かない地方では
徐々に権力を持つものが現れます。

玄宗は則天武后の従兄の孫娘だった武恵妃を寵愛し、
4人の子をもうけていましたが、妃は737年に亡くなります。

憔悴した玄宗でしたが、
玄宗の18番目の息子寿王の妃であった玉環(後の楊貴妃)を見初め()、
離婚させた後、自分の妃としたのでした。
745年、玉環は後宮で最高の位となる「貴妃」となり、楊貴妃が誕生します。

楊貴妃というと、皆さん何を連想しますか?
絶世の美女?わがまま?ライチが好物?(※私の楊貴妃に対する印象)
玄宗が息子を離婚させてまで手に入れたわけですが、
どの資料にも美人を否定するのもは見つかりません。
美人であったことは確かなようです。
長恨歌の中にも“眸をめぐらして一笑すれば百眉生じ 六宮の粉黛顔色なし
(目を動かして笑うと大変な魅力が出てきて、六宮のどの女も見劣りがした)”
とあります。
しかし、楊貴妃については、様々な憶測と言い伝えがあるものの
はっきりとした根拠が乏しく、資料がほとんどないのが現状のようです。

楊貴妃に溺れるにつれ、玄宗皇帝は政治がおろそかとなり、
李林甫や楊貴妃の身内であった楊国忠に政治をまかせていました。
李林甫亡き後、地方を取り仕切っていた安禄山と楊国忠の間で乱がおき
(安史の乱)、玄宗一行は長安の都から脱出する身となります。
しかし、脱出の途中、馬カイ駅という宿場で、護衛兵士が叛乱を起こし、
楊国忠を惨殺、楊氏一門の処刑を求め、
やむなく玄宗皇帝は楊貴妃を処刑することとなったのです。

自分が寵愛する妃を自らの手で処刑する‥ その苦しみと妃亡き後の空虚感。
長恨歌は、楊貴妃に玄宗皇帝が溺れていく様子から、安史の乱で都を離れ、
妃を失うこととなった悲しみ、幾年もの苦しい日々、
最後には夢の中で幻の楊貴妃に出会う-- 

“天に在りては願はくは比翼の鳥と作り 
地に在りては願はくは連理の枝と為らん
(天上では比翼の鳥となり、地上では連理の枝になりましょう)”

このような誓いを述べたにも関わらず、二人が天上と人界に隔絶された恨みは
耐えることが無いだろう と結ばれる長恨歌。

美化と誇張が施されたとも言われている長恨歌ですが、
大いに話題性のある玄宗皇帝と楊貴妃といった二大スターを取り上げ、
歴史と恋愛を盛り込んだ詩の内容は現代においても人々の心を捉えています。

こうして私が1300年も前の唐の時代を想像し、
ブログに書き綴るまでに興味そそられるものとして残されているとは。

21世紀に書かれた作品が、23世紀頃に皆に読まれているようなことは
あるのでしょうか。想像できませんね。


随分長くなってしまいました。
長恨歌は800文字以上の長文なため全文を載せることは出来ませんでしたが、
展覧会に足を向けていただく上で、少しでも鑑賞の手助けとなれば嬉しいです。
私もブログに載せるとなると適当なことは書けないので()、
色々資料を見直し、復習が出来ました。
密かにまた長恨歌を書きたい気分が盛り上がっています。


27日(土)、昼過ぎまで大人の書道教室を行い、
その後そのまま皆さんと六本木に向かいます。

楽しみでーす。皆さんも是非いらしてください