K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

ジャコ・ヴァン・ドルマル『神様メール』

2016年12月08日 | 映画
こんにちは。M-1も終わりいよいよ今年も終わってしまいますね。結局映画のレビュー間に合わなかったただけーまです。

今回はジャコ・ヴァント・ドルマル監督の『神様メール』を紹介します。
今年観た新作の中でベスト10に入るほど面白かったです。観たあと幸せになれること必至です!



<Story>
神様はブリュッセルのアパートに家族と一緒に住んでいて、パソコンでいたずらに世界を支配している。ある日、神様の娘10歳のエアは人間に運命に縛られずに生きてほしいと思って、神様のパソコンから人々に余命を知らせるメールを送ったから、さあ大変!エアが大パニックな世界を救いに旅にでると、彼女の小さくてヘンテコな奇跡は思いがけず人々のお悩みを解決していく。…(中略)…小さな奇跡たちが呼び起こす、神様のパソコンからの人類への[最高にハッピー]なメールとは?(「映画『神様メール』公式サイト」より)


世間では認識されていない、ブリュッセル在住の神様の娘エアが巻き起こすコメディ映画。
登場人物たちの群像劇はちゃめちゃに笑えるし、とんでも展開でワクワクが止まらないし、エア役のピリ・グロワーヌがとにかくかわいい!しで、理屈をこねずとも面白いと断言できる素晴らしい映画です。


ハムサンドをふたつに増やすくらいの力しかないエア

「新約聖書」が男性的社会を前提としたバイブルであるとすれば、本作の世界観で描写される「新・新約聖書」は女性も活躍する社会でのバイブルということになるでしょう。
物語冒頭ではゴリゴリの亭主関白だった神様が、ラストシーンでは路頭に迷いウズベキスタンで工場労働を強いられてしまいます。その一方で、神様の妻は再度世界を創世する女神に変わりつつあり、その対比は近年目覚ましい女性の社会進出を暗示しているようです。
これはこれまでの父性的権威をある意味担保してきた、聖書に対するアンチテーゼのようにも捉えられそうです。エアの兄キリストは死んだふりをして、エアの部屋の小さな置物になっているという設定からも、何らかのメッセージを感じますね。


少女エアと兄のキリスト

このテンポの良い展開とどこか欠けていながら魅力的な登場人物たちの喜劇に、ジャン・ピエール・ジュネ監督の『アメリ』を初めて観たときのあの「純粋な」ワクワク感が久しぶりに蘇りました。



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