K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

『ナイトクローラー』

2016年03月10日 | 映画
こんばんは。弟妹と同棲するという「海町diary」のような(?)生活をしているただけーまです。部屋が広すぎて3人とも困惑しています。

さて、今回はダン・ギルロイ監督の『ナイトクローラー』です。脚本家としては何本か書いているようですが、監督としては初の作品。初作品とは思えないほどの展開とカメラワークで魅入ってしまいました。



<Story>
学歴もコネもなく、仕事にあぶれたルー(ジェイク・ギレンホール)は、ある日事故現場を通りかかり、テレビ局に悲惨な映像を売って稼ぐ<ナイトクローラー>と呼ばれる報道スクープ専門の映像パパラッチの存在を知る。さっそくビデオカメラを手に入れたルーは、警察無線を傍受しながら事件や事故の発生を待ち、猛スピードで車を走らせ、現場に駆けつける。良心の呵責など1秒も感じない彼の過激な映像は高く売れるが、局の要求はさらにエスカレートしていく。そして、遂にルーは一線を越えるーー(Filmarksより)


映画雑誌やウェブでの評価にも書いてありますが、もうとにかくジェイク・ギレンホールの演じるサイコパスと疾走感溢れるカメラワークがとても良い映画です。最後のカーチェイスは本当に実際の報道映像のようなスリル感でした。


『タクシー』のように疾走感溢れるカーチェイス

構成としては何も持たない男が職業を通じて身をなしていくものなんですが、何と言っても「僕は勤勉で、志が高い人間だ」と自分を売り込むルーの徹底した合理性が非常に不気味で恐ろしい。そのサイコパスとでも呼ぶべき歪んだ勤勉さをジェイク・ギレンホールは見事に演じ切ります。善良な市民が孕んでいる異常性、自作自演の証言をする江東マンション神隠し殺人事件の犯人が思い出されます。

凄惨な映像が欲しいと言うテレビ局員に対し、"Bloody?"と何度も確認する姿はまさにサイコパス。善悪の指標のない徹底した合理性が、凄惨=血という答えを導き出します。
そして血を求めて奔走するルーの風貌は、黒いジャケットも手伝いどことなくドラキュラのようにも映ります。
法に抵触するのはもちろんNGですが、ルーの異常性が際立つのは一般的な倫理観から外れた行為をする点です。凄惨さが際立つように死体の位置を移動させたり、警察と犯人の抗争を誘引するために犯人の車のナンバーを秘密にしていたり、同僚を見殺しにしたりと、自分の目的のためであれば容赦なく非人道的な行為に身を投じるルー。最終的には映像専門の会社を立ち上げ、複数名の社員を抱える社長にまで上り詰めたところで終わります。


満面の笑みがむしろ不気味なジェイク・ギレンホール

案外、人の成功を妨げる枷となっているのは倫理観なのかもしれませんね。なんて言うとぼくがサイコパスっぽいですか、そうですか。

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