K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

『The Angel's Share』

2013年10月05日 | 映画
またもや映画の更新でございます。
もうね、映画観るくらいしか無いですね最近は!
映画観てないときは大体読書か小説書いてます笑

というわけで、先週ギンレイホールで観てきた分の感想を書きます。
これから4連続の予定ですが、正直気力が持つ気がしません。
しかも、特に名作っていう程の名作が無かったというのもありでして。
割と適当な感想文になること必死ですが、それでも読んで頂けたら幸いです。
(夢野久作『少女地獄』の感想もいずれ書きます……)

というわけで、先ずはケン・ローチ監督『天使の分け前』から。
「天使」っていうぐらいだからきっとブロンズ色の髪の子が出てきて可愛すぎる映画なんだろうな、
と思ったのも束の間、なんと中身は前科持ちの若者たちが酒を使ってのし上がっていく話でした。

なというタイトルミスマッチ!
因みに劇中にも説明が出てきますが、「天使の分け前」とはWikipedia大先生によりますと、

【天使の取り分(てんしのとりぶん、天使の分け前とも呼ぶ。英: Angel's share)とは、
 ワインやブランデー、ウィスキーなど、その製造工程で熟成を要する酒類において、
 「熟成中に水分・アルコール分が蒸発し、最終的な製造量が目減りする」こと。】

製造過程で気づかぬ内に減っていた酒を天使が取っていったと表現しているのですね。
なんてヨーロッパ的で可愛らしい表現でしょう!
因みに、天使の通り道ってのもありましたよね?
空気を読めない発言をした後の静寂感。
あれを西洋では「天使が通った」と表現するのだそうです。

※因みにぼくは「時の魔術師」なんて呼ばれていました。
 (時間が流れたり止まったりするからね)


とまあ、要らん話はここまでにしておいて笑
若者の痛快な人生逆転劇で、特に難しいことを考えずに観れる映画です。
前科持ちで社会奉仕者であるロビーがウイスキーテイスティングという隠れた才能を用いて、
超高級ウイスキーで一攫千金を狙う、というそんなお話です。
本当にもう痛快の一言に尽きますね。特に後半。

と同時に、社会的不適合者の烙印を押された人々の社会復帰の困難さにもスポットを当てています。
前半は割とシリアスに物語が進んでいくのですが、そこで正に復帰の困難さが描写されていましたね。
被害者からは恨まれ、恋人の親族一同からも町を出て行けと罵られる。
そして、社会復帰のために更生を決意するという流れになるのです。
(結局ロビーは犯罪でのし上がることになるのですが笑)

犯罪の被害はその被害者だけにとどまらず、
加害者本人は勿論、肉親や恋人の肉親に至るまで悪影響を及ぼす。
そんな一見平凡なテーマをコミカルに提示している点が優れていると感じました。

加害者だけがハッピーエンドになって、被害者のその後などを描写していないのは少し疑問でしたが。
少々ならず者を好意的に描写し過ぎ(多少の冷遇や失敗の描写はあったにせよ)かな、と。
元々、この監督の大きな関心事として労働者や第三世界というのがあるらしく、
そういう意味では弱者にスポットを当てる心優しい(?)監督なんでしょうけれど。
罪を犯して社会的弱者になった若者が、再び社会復帰した手法がまたこれ犯罪だと。
これは一体なんて皮肉かしら?と思いつつ観たり、観なかったり。

痛快なコメディーとして観ればなかなか面白い作品だと思います。
ただ、少し映画を難しく捉えようとする人にとっては監督の主張が見えづらい映画かもしれないです。

それほど長くもないですので、お時間がある方は是非。

hona-☆

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