春の畑に、野菜とともに植えられていることの多い花、キンセンカ“Calendula officinalis”。
鮮やかな黄色~橙色で、はっきりとした花姿が畑の片隅を彩る。
仏壇やお墓の切り花として利用されることが多く、
農家の方が畑の空いたスペースに植えていることが多い。
色は橙色が主流だが、黄色に山吹色、赤に近い色までバリエーションがある。
一重咲き,八重咲き,ピンポン咲き,芯黒(花の中央が黒いもの)など、
また切り花向きではなく、花壇向けの矮性のものなど、花姿にもバリエーションが多い。
原産は地中海沿岸地域で、南ヨーロッパでは古くから薬草(ハーブ)として利用されてきた。
キンセンカから作られた軟膏は、万能な皮膚薬として重宝されていたらしい。
日本へは中国を経由してかなり昔に入ってきたらしく、
キンセンカを漢字表記で、“金盞花”とするが、これは中国語表記そのまま。
花の形を金の盃に見立てて名付けられている。
“金銭花”と表記して、花を金貨に見立てて~などと、
別の由来を掲載したり言ったりしているのを見かけるが、
これはキンセンカではなく、オグルマという雑草を指す。
音が一緒で、キンセンカも金貨に見えてしまうので混同されやすい。
栽培は用意で、種まきから発芽まで放置気味でも構わない。
キク科らしく生育旺盛で、切り花用はぐんぐん伸びる。
花壇向けの矮性のものも、後から後からどんどん花を咲かせる。
花柄は少しみにくいので、早めに摘み取る。
放置していると、綿毛の付いた種が生成される。
病害虫にもやられやすく、特にうどんこ病にかかりやすい。
放置していても花は咲き続けるが、やはり見た目が芳しくないので、
木酢液などで暖かくなる前に予防しておきたい。
「暖かい」が「暑い」に変わり、夏の花がどんどん登場し始めると、
だんだんと処分されて畑から姿を消す。
夏にはマリーゴールドにその役目をバトンタッチすることが多い。
同じキク科で、色合いも近い。
英語圏では、キンセンカはマリーゴールドの一種と捉えられ、
“ポット・マリーゴールド”と呼ばれる。
マリーゴールドは日本でも着色料として食品にも利用されるし、
薬効成分は薬にも利用されている、やはりキンセンカと近縁種なのだろう。
暖色の明るい花は春の花壇や部屋にもぴったり。
キンセンカだけだと、ちょっとつまらないけれど、
ノースポールやアリッサム,ネモフィラなど、
他の花と組み合わせれば、春の陽気にぴったりな花壇を作ることができる。
仏壇用の花だから・・・などと毛嫌いせずに、どんどん植えてほしい。
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