福岡県朝倉市秋月にて
初夏から秋にかけ、青々とした大きな葉を茂らせて、
原色の大きな花を咲かせる存在感抜群の植物、カンナ“Canna indica”。
長い期間咲き続け、観葉植物のように勢いのある豪勢な葉っぱと、
グラジオラスの花を豪華にしたような、見応えのある花を同時に楽しめる。
夏の印象が強い、ヒマワリやデルフィニウムですら、ときにへこたれるこの時期、
暑さに負けることなく大きく育ち、まっすぐに伸びた茎に咲く花は、見ていてなんだか元気をもらえる。
福岡県直方市 福智山ろく花公園にて
熱帯アメリカ原産の球根花。
日本へは江戸時代に、鑑賞用として“ダンドク(檀特)”という改良種が伝わったとされる。
以来、独自に交配・改良が進められ、多種多様な品種が作出された。
球根でどんどん増えるため各地で野生化し、
よく川辺や田畑の脇などで群生している光景を見かける。
近年はコンパクト化された矮性品種もあり、鉢植えでも楽しむことができる。
四季のある日本では、冬期は地上部は枯れてしまうが、
地下では球根が生きており、暖かくなると再び芽生え、
夏になると葉も生い茂って、次々に花を咲かせる。
朝倉市秋月にて
名前の由来は、てっきり“神無月”から来ていて、カンナというのも和名なのだと思っていたら、
ギリシア語でアシ(葦)を意味するのだそう。
なんでも水辺で群生している姿がアシに見えるからだとか。
でもって、それがそのまま学名にもなっていた。
神無月、まったく関係がなかった・・・。
カンナって響きも、女性の名前にもあるし和風だよなあ。
初代ポケモンの四天王にも、カンナさんってメガネの素敵なおねえさんがいた。
氷ポケモンの使い手で、四天王の先鋒的な存在だが、
ドラゴンポケモンの使い手である、四天王大将のワタルを瞬殺できるのではなかろうか?
朝倉市秋月にて
葉っぱだけでも見応えがあり、観葉植物マニアにとっては、
花はなくとも、これだけでも鉢植えにして、部屋に飾りたくなる。
その葉っぱの姿から、長らくショウガ科の植物だと思っていたが、
カンナ科という、一属のみの科に属する植物だった。
まあショウガ科と同じ、ショウガ目に属するのではあるけどね。
植物に限らず、いきものの分類は素人には解らんて。
タビビトノキや、アグラオネマのように、鉢植えにして室内に置きたくなる。
直方市 福智山ろく花公園にて。
花茎が金網越しに出て、花だけこっち側に咲いた光景。
福岡県古賀市にて。
花は福岡では5月中旬頃から咲き始める。
これが10月中頃まで咲き続けるが、
咲きはじめが早い場所では、咲き終わりも早いように感じるので、
時期にこそずれがあれど、咲き続ける期間はだいたい同じなのかもしれない。
色は赤と黄色が一般的だが、オレンジや白もある。
オレンジはよく見かけるのだが、白は見たことがないや。
古賀市にて
カンナの実(種)
直方市福智山ろく花公園にて
カニのツメみたいだ。
花が終わると、無数の実(種)を付ける。
こぼれ種で増えるのか判らないが、園芸では分球で増やすのが一般的だ。
そのため、種を作る前に花がらは摘んでしまう。
種を生成すると、株が養分を取られてしまって弱ってしまう云々は、大抵の球根植物に当てはまる。
増やすときは実生ではなく、春にショウガに似た球根を掘り起こし、
脇に付いた小さな節をもぎ取って新たに植え付ける。
もっとも、カンナはほとんど世話要らずな強健な植物なので、
庭に植えていても、花がら摘みはやっても、分球までやるひとはそう居ないと思う。
花がら摘みも、株が弱るからという理由よりも、
しおれた花そのままだと見てくれが悪いので・・って人が多数だと思う。
古賀市にて
花姿はグラジオラスによく似ている。
だが、花穂がすらっと伸びて、同時にたくさん咲かせるグラジオラスに対し、
カンナは、やたら大きい花を数輪ずつしか咲かせず、
頭でっかちというか、ちょっとアンバランス気味に花を咲かせる。
下の方から咲き始めるのも、グラジオラスと同じだが、
カンナはひとつの花穂で、すべてが同時に咲きそろうことはなく、
三輪目が咲く頃には、すでに一輪目がしおれていたりと、見頃が難しい花でもある。
写真に収めるときも、咲いてしばらく経った花茎だと、どうしても枯れたものが写り込んでしまうので、
その花茎の最初の咲きはじめを狙うしかない。
朝倉市秋月にて
8月も終わり、夏も終わる。
だが、カンナはまだまだ旺盛に咲き続け、葉も茂り続ける。
秋が来ても、しばらくは暑さが残る。
夏の疲れで体がヘタっていても、
いきいきとしたカンナの群生を見ると、なんだか元気がもらえる気がする。
朝倉市秋月にて
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