よろず戯言

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かげろう

2016-05-11 21:38:29 | グルメ

ちょっと気になるお菓子があって、取り寄せてみた。

紀州銘菓"かげろう”。

別件で近畿地方のお菓子を調べることがあり、

大阪はじめ、京都,奈良,滋賀,兵庫はすぐにいくつか思い浮かぶものの、

和歌山だけ、どうしても何も思い浮かばなかった。

そこで調べていたら、この かげろうに出会った。 

 

イラストなし。模様なし。

目を引く紅白のきわめてシンプルな包装紙。

 

白浜にある昭和8年創業の菓子メーカー、福菱(ふくびし)。

このメーカーの商品で、長年愛されている代表的な菓子が、この かげろう。

南紀白浜の銘菓としてのみならず、紀州の銘菓として、

和歌山でもっとも知名度のあるお菓子のよう。

まず、その紅白で目立ち、潔いよいくらいシンプルな包装紙に驚かされる。

イラストもなければ、能書きもない。

パッケージの表面には、「紀州銘菓 かげろう」。

ただぞれだけ。

もう、これだけで、このメーカーの、このお菓子に対する絶対的な自信がうかがえる。

 

 

 

10cmもなかったと思う、7・8cmくらいの細長いスティック状のお菓子。

これまたシンプルなセロファンに個包装されていた。

どういうお菓子なのか よく調べずに購入した。

どうやら洋菓子のようで、手に持つと すごく軽い。

セロファンを剥がすと、ふわっとマーガリンというか、そんな香りが漂ってくる。

見た目でブッセのようなお菓子を想像していたが、つまむと外側は固い。

食べると、サクッとして中はふわっとしている。

外がサクッとしているので、その部分だけ食感はマカロンやダックワーズのようでもあるが、

外皮は極めて薄いので、全体的な食感は、やっぱりブッセに近い。

 

 

 

中には、昔ながらのクリームがサンドされていた。

生クリームやカスタードでない、なんていうだろ?

バタークリームっていうのかな、ショートニングとかそんな感じの昔ながらのクリーム。

自分が小さい頃は生クリームがまだまだ高価で、ショートケーキにも これが使われていた。

自分より上の世代の方などは、たぶん懐かしい味。

逆に、若い人には受けないであろう味。

このオイルっぽさが口に残る、昔ながらのクリームに抵抗あるかもしれない。

 

和歌山をイメージしてブレンドされた、UCCのレギュラーコーヒーとともに。

 

「これは美味しい!」ってお菓子ではないが、

その風味の素朴さと、サクッとしてふわっとしている独特の食感はとてもいい。

長年愛され、地域を代表するお菓子になっているのが解る。

ちなみに、"かげろう”というこのお菓子の名称、気象現象の"陽炎(かげろう)"からきている。

食べてすぐに口のなかで溶ける様子を、ゆらゆらと立ってはすぐに消える陽炎に例えた。

白浜の砂浜にゆらめき立ちのぼる、かげろうをイメージしている。

昆虫のカゲロウ(蜻蛉)じゃなくてよかった。

あ、でも虫のカゲロウも、それから名前来てたんだった。

寿命の短さと、その弱々しさ はかなさが、

陽炎にたとえられて、そう呼ばれるようになったんだったはず。

 

箱の表面、"かげろう”の文字がエンボス加工されているものの、

白字に白字だもんで、すごく判りにくい・・・これも "かげろう”たる所以!

 

送料とられちゃうのに、この かげろう だけだと何なので、

他のお菓子も一緒に取り寄せてみた。

同じく福菱さんとこの銘菓、"はまゆう”と、"梅もなか”。

 

 

 

まずは、はまゆう。

その名称は、もちろん植物のハマユウ(浜木綿)から来ているのだと思う。

包装紙のバックにも、らしき植物のイラストが描かれている。

実際、ハマユウは和歌山県や三重県など、紀伊半島の海岸沿いに多く自生する植物。

このお菓子自体は、いたってシンプルな餅入りの最中。

ちょっと強くつまんだら、そのまま割れてしまいそうなほど、

極々うすくて脆そうな最中に、これまた薄い餅でくるまれた こし餡がサンドされていた。

最中の香りがすごく香ばしく、口どけもなめらか。

こっちの菓子メーカー、さかえ屋の"すくのかめ"に似ている。

はまゆうの方が、すくのかめよりも ずっとシンプル。

素朴でやさしくて上品なお菓子に感じた。

 

 

栞に「表面をあぶると、よりサクッとした食感が楽しめます。」みたいなことが書かれていたが、

さすがにもうストーブしまっちゃったし、ガスコンロでやるのもなんだし、

オーブンじゃ表面だけというわけにはいかないだろうし、あぶって食べてみるのは諦めた。

 

そしてもう一品、梅もなか。

福菱さんのサイトを見ると、この梅もなかよりも、

柚子もなかの方を推しているようだったが、紀州といえば、やっぱり梅っしょ。

みかんをはじめとする柑橘も紀州の特産品ではあるけれど、

"柚子"ってなると、やっぱり高知のイメージなんだよな。

 

 

 

梅の花をかたどった最中に、梅の風味の餡が詰められていた。

ほとんどの方が想像するであろう、そのまんまのお菓子。

紀州産の南高梅の果肉を餡に練り込んでいる。

その梅の餡は、甘さ控えめで ほんのりと梅風味で塩味があり、

甘酸っぱい生の梅の実ではなく、梅干しの梅肉をイメージしたような味。

酸味はないので、そういうのを期待していると がっかりするかも。

なので、梅というには、ちょっとパンチが弱い。

ただ、この福菱さんの菓子作りの理念が、

上記のかげろうや、はまゆうのように、繊細で素朴さを重視するものならば、

この梅もなかの、ちょっと控えめな梅感も納得できる。

 

 

 

そんなわけで、和歌山県の銘菓を堪能した。

全国には、まだまだ知らない銘菓がたくさんある。

旅行に行ったついでや、物産展などで購入して出会うことがほとんどだけど、

ネットで簡単に取り寄せできるようになった今、

送料がネックだけど、たまにはこういうのもいいかも。 

 

 



4 コメント

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Unknown (れいな)
2016-05-12 08:11:58
近くなので、かげろうは比較的食べる機会が有りますね~
白浜温泉・アドベンチャーワールド(ワールドサファリ)などに泊まりで行くと、必ずその旅館の部屋の中央のテーブルに茶菓子として人数分置いてあります。梅昆布茶なんかと一緒に。
旅で疲れて小腹がすいている時の一個はなかなかのもので、もっと欲しいなと思わせる効果は抜群でした。
でも、お土産として箱入りで買って帰っても、家で食べるとその時ほど美味しく感じないんですよね~
何個も続けて食べようとも思わない。
同じ物のはずなのに不思議です。
銘菓とか私も稀にネットで取り寄せる事が有るのですが、送料がね・・・
何千円も買うほどのものでもないし、かといって一個だけ買うとなると送料の方が高くつく事も多く、結局諦めたというケースも多いです。
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三重は近畿なのか否か ()
2016-05-12 17:40:23
れいなさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
 
かげろう、和歌山のみならず、近畿地方では馴染みのお菓子なんですね。
旅館に置いてあるお菓子、いいですね。
あのふんわりとした食感と、優しい甘さは、
旅疲れを癒すのに最適だと思います。
 
白浜はなんとなく高級リゾートのイメージがあって、
あそこへ旅行に行くひとはブルジョアって勝手に思い込んでいます。
まあ庶民である、うちのジイちゃんも数年前に行ってましたけどね。
 
取り寄せで色々と買いたいけれど、やっぱり送料がネックですよね。
よく5,000円以上購入で送料無料とかありますが、法事でもない限り、一度にそんな買わないし・・・。
兵庫のお菓子も、神戸の有名な風見鶏のチーズケーキを頼もうとしたのですが、
送料が酷かったのでやめました。
 
近くのデパートやらで、うまいこと物産展とか開催されればいいのですが、
京都や奈良はしょっちゅう開催されど、
和歌山となると、なかなか催されないし、
近畿フェアと範囲が広がっても、和歌山の扱いが梅干しとミカンのみだったり、
近畿なのか東海なのか曖昧な三重の方が扱いが上だったりと、
目的のものが買えなかったりするんですよね・・・。
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Unknown (薫子)
2019-12-01 16:53:11
とてもとても参考になりました
ありがとうございます😊感謝感謝です❤︎
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こちらこそ感謝です ()
2019-12-01 23:01:53
薫子さんこんばんは、コメントありがとうございます。
 
このような稚拙な記事が参考になったとのことですが、
商品の解説がでしょうか?
このお菓子をお土産か何かに検討していたとか?
 
もしかしてメーカーの方でリサーチなさっていたとか?
いや、それはないか・・・。
 
いずれにせよ、お読みになっていただき、こちらこそ感謝です。
また気が向いたら、他の記事も読んでいただければ幸いです。
ヘンな記事が多いですけどね。
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