春から冬のはじめにかけての長い期間に、
花壇を彩ってくれる花、ペチュニア“Petunia × hybride”。
とりわけ春から夏にかけて園芸店で数多くの品種が並び、
カタチや色が様々で、苗選びでとにかく迷ってしまう。
ナス科の一年草。
その花の姿はアサガオにそっくりで、花が終わった後の子房もアサガオのそれに似る。
そのため和名は、“ツクバネアサガオ”という。
花壇植えにプランター、寄せ植え、ハンギングと用途は多彩。
自分は同系色の他の夏花といっしょに寄せ植えするのが好きだ。
おおむね春から秋にかけての花だが、
最近は品種改良が進んで寒さにも強くなっており、
九州など温暖な地域では品種にもよるが、
雪や霜が当たらず、氷点下にならなければ冬越しもでき、一年中楽しむこともできる。
夏花として扱われるものの、梅雨時~お盆の真夏には、
手入れの行き届かない株や若い苗はくたびれることも多く、
春や秋など、すこし涼しい時期の方がきれいに咲いてくれる。
ガやチョウの幼虫の食害に遭ったり、
エカキムシ(ハモグリバエ)の被害にあったりする。
アフリカ原産の植物で、蒸れにとても弱く、
梅雨時は病気にもかかりやすくなり、腐敗して枯死することも多いので、
株が繁って密になっているときは、思い切って切り戻しをする方がいい。
きちんと追肥していれば半月ほどでまたきれいな株に戻る。
左:茎が長く伸びるタイプのペチュニア
右:花びらに縁取り模様の入ったペチュニア
左:ユリ咲きのペチュニア
右:八重咲きのペチュニア
花は雨に打たれると、シミができたり、そのまま腐敗してしまうことが多い。
水やりもできれば花に水がかからぬように、株元に向けて行う方がいい。
プランター植えの場合、雨天時は軒下に移動させておくのも花の寿命を延ばすのに有効。
だがまあ花壇植えの場合はどうしようもないし、水やりもやっぱり上からかけるよなあ・・・。
ハモグリバエ(エカキムシ)にやられた葉。
花が終わると子房が膨らみ種をつける。
これも花同様にアサガオいよく似ているのだが、種はアサガオとは異なり、
0.3ミリくらいの小さな丸い種がびっしりと詰まっている。
子房が熟して黄ばんでくると、それが裂けて種がこぼれ落ちる。
ペチュニアの特長として、葉茎がベタつくものがある。
実際に素手で触れると判るが、表面がべたべたしていて気持ち悪い。
このベタベタに枯れ葉や土埃がひっついてしまう。
ときには小さな羽虫がひっついてしまって、必死にもがいていることも。
捕虫するわけではないが、ベタつきが食虫植物並に強いものもある。
近年は品種改良によって、このベタつきが抑えられているものもあるが、
やはりベタつくのがデフォルトなようだ。
これが気になる方は買う前に、葉っぱを触って確認しておく必要がある。
ペチュニアのつぼみと子房。
花のみならず、これらもアサガオにそっくりだ。
サントリーフラワーズが、“サフィニア”という名称で、
このペチュニアをより強健にした改良品種を作出し、毎年新品種を販売して人気を博している。
またペチュニアと同じナス科で近縁種に、カリブラコアという花もある。
こちらはペチュニアを小振りにしたような花で、ペチュニアよりも育てやすい。
やはりサントリーから改良品種が作出され、“ミリオンベル”などの名称で販売されている。
カリブラコアは夏の寄せ植えに人気の花だ。
サフィニア、サントリーフラワーズの特許品種。
ペチュニアの改良品種で、暑さや蒸れにも強く、繁茂力も旺盛、強健で育てやすい品種。
ふつうのペチュニアと比較して値段は高めだが、それ相応の価値はある。
カリブラコア
ペチュニアを小さくしたような近縁の花。
下垂性のあるものは寄せ植えの前面に最適。
ペチュニアとカリブラコアの大きさ比較。
この二種で同系色で寄せ植えしても面白いかもしれない。
夏真っ盛りのこの時期、実は園芸シーズンではない。
園芸店に行っても、野菜苗も花苗も閑散期で、品物が充実していないこともある。
夏の庭づくりは、春の間にやっておくのが基本だが、
盆前に庭の雑草むしりをやって、花壇が寂しいと感じたならば、
シーズンでなかろうが、夏花で庭を華やかにしてみてはどうだろう。
白や青系で涼しげにしてもよし、赤や黄で夏らしく華やかにしてもよし。
北海道や東北地方など冷涼な地域は無理だろうが、
ペチュニアは意外と遅くまで楽しむことができる花。
今から植え付けても、冬のはじめ頃までは楽しめる。
ペチュニアにとまるマルハナバチ。
低い羽音とこのフォルムにビビるが、刺すことはないハチ。
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