よろず戯言

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フラワーショウ!

2016-10-02 17:15:27 | 映画

休みを利用して映画を観に行った。

エマ・グリーンウェル主演のノンフィクション・ドラマ、"フラワーショウ!"だ。

英国で開催されている世界最高峰のフラワーショー、チェルシー・フラワーショー。

その大会に挑んだ、ひとりのアイルランドの若き女性。

実話を元にしたサクセスストーリー。

原題は"Dare to be wild”。

キャッチコピーは、"わたしの庭が 世界を変える"。

 

 

これまでに園芸の世界を描いた映画ってあっただろうか?

自分は映画に明るいわけじゃないので、ひょっとしたら在るのかもしれないが、

少なくとも自分の記憶にはない。

この映画の予告編を見て、チラシを手に取って、

つまんなさそうなんだけど、観なきゃいけないという義務感のようなものを抱いてしまう。

 

花束だってアレンジメントだって、生花祭壇だって、まだまだヘタクソで、

寄せ植えやコンテナガーデンなんかも趣味の範疇。

ましてやガーデンデザイン等、関わったこともない。

だけど花を扱う仕事に従事する者のはしくれとして、この映画は観ておくべき。

そんな気にさせられ、鑑賞に臨んだ。

 

 

 

アイルランドの田舎に住む、メアリー(エマ・グリーンウェル)は、

幼少の頃から豊かな自然に触れ合い、

成長してからも、人は自然の一部であり、それを守り続けなければいけないと考えていた。

野草や木々を愛し、土や石や水を愛し、

自然そのものを取り込んだガーデンデザインを描く。

自身のデザインした自然を活かした庭を世界に広めたい!

そんな想いを胸に、アイルランドの田舎を出て首都、ダブリンへ―。

 

 

メアリーはデザインの才能が認められ、試用採用ということで、

ダブリン在住の著名なガーデンデザイナー、シャー(クリスティン・マルツァーノ)の助手に。

デザインは深夜に及ぶこともあり、作業場で突っ伏して眠るメアリー。

目覚めると、デザイン画はイーゼルから はぎ取られていて、

それはシャーが作成したものとして、顧客に披露されていた。

シャーはメアリーのデザインを自身がデザインしたかのように利用し、

有名セレブ達の庭を次々と手掛け名声を上げて行く。

シャーにデザインをそっくり奪われ、利用されているだけだと友人から指摘されるも、

それでも自身の夢を実現させるため一生懸命に頑張るメアリー。

 

 

シャーは実績が認められ、ロンドンで開催される、

世界最高峰のフラワーショー、チェルシー・フラワーショーへの出場が決まった。

その費用を出資してくれる後援者も見つかり、順風満帆なシャー。

シャーはメアリーを連れて、チェルシーへ視察に行く。

ところがシャーはメアリーを後援者たちに紹介することもなく、

さらにはメアリーのデザインブックを自身の物として得意げに紹介する。

その直後、メアリーは突然解雇される。

デザインブックを奪われて。

 

全てを失って失意のどん底に落ちるメアリー。

だが友人の励ましで、再度奮起するため立ち上がる。

自分のデザインした、自然と共生した庭を世界に広げる!

無謀にもチェルシー・フラワーショーへ出場を決意する。

英国王室も関わる歴史と由緒のある大会。

世界中から応募が集まり、選考されるだけでも大変な狭き門。

だが、願書に書いた彼女のコンセプトが受け容れられ、

見事選考されて、チェルシー・フラワーショーへの出場権を得た!

 

 

ところが、フラワーショーへの出展には、

25万ポンド(現在のレートでおよそ3,800万円)もの資金を調達しなければならなず、

それ以外にも、デザインを形にする職人達も必要。

必要な植物や石材の運搬費用や調達先、etc・・・。

出場権を得たものの、実績もコネもないメアリーには問題が山積。

 

さっそく後援者を探すため、

シャーの元で働いていたときのツテを頼りに色々と当たってみるも、

誰からも相手にしてもらえない。

施工まで80日、施工開始から三週間で庭を完成させなくてはならない。

刻々と迫る施工日、まったく集まらない資金。

職人達は見つかったけれど、そのリーダーの青年が、

「ガーデンショーは自然に反する。」と動いてはくれない。

 

はたしてメアリーは、期限までに25万ポンドもの資金を集め、

職人をそろえ、資材と植物を調達し、

自身がデザインした、自然と共生した庭、"ケルトの聖域"を完成させ、

世界へ自然の力の大切さを伝えることができるのか?

 

 

・・・つまらなかった。

まあ予想したとおり。

いや、予想以上につまらなかった。

まず、花も植物もほとんど登場しない。

そういうのを期待して鑑賞したひとは、がっかりするはず。

庭を作る過程も、あまり丁寧に描かれておらず、

ライバル達の庭もほとんど映らないため、面白みがない。

 

 

資金集めに職人集めに奔走する姿を描くのはいいけれど、

それ以上に大きくウエイトを置いて描かれていたラブストーリーが邪魔で仕方がない。

物語の序盤から登場する、庭作りのキーマンとなる植物学者の青年、

クリスティ(トム・ヒューズ)とのラブストーリーが展開されるのだが、これがメインになってしまっていて、

主題のガーデンショーなんて二の次になってしまっているから本当につまらない。

いやラブストーリーが実話だったとしても、そこを色濃く描写する必要ある?

 

 

監督・脚本が女性ということで、「ああ・・・それでか・・・。」と納得してしまったけれど、

二人が対立しながらもやがて惹かれて行き、

アフリカの大地にひとつのガーデンを完成させ、その夜とうとう結ばれてセックス・・・。

いや、要らんから、そんな描写・・・キスくらいにしとけよ。

どの層ターゲットにしてんのか判らないが、

何日も同じテントで寝泊まりしてんのに、その日が初めてとか普通に考えて有り得んだろ!

というか、二人とも実在する著名な人物で、

今現在結婚しているわけでもなく、それでこの描写いいの?

 

 

がむしゃらにガーデン作りに奔走する姿を中心に描いてくれれば、楽しめたかもしれない。

もっと草花を全面に出して、他のライバル達も掘り下げて描いていれば面白かったろうに。

あと、タイトルが"フラワーショウ!”なのに、花はほとんど出ず。

メアリーの庭自体、雑草メインの庭なので地味でまったく観映えしない。

先にも書いたけれど、とにかく花が好きで、この映画を鑑賞したひとは本当にがっかりしたろう。

イングリッシュガーデンってのが、こういうものなんだと解っていたとしても、

その自然と調和した美しさがイマイチ伝わってこなかった。

 

 

音楽や情景は素晴らしかった。

序盤は大好きなケルト音楽がふんだんに使われていて、本当に期待させられた。

アイルランドやアフリカ・エチオピアの大自然の情景も息を飲むものがあった。

それだけに、ストーリーのつまらなさが本当に残念。

 

 

メアリーのデザインを盗用した著名デザイナーの名前、"シャー”にニヤリとしたのは言うまでもない。

本当はシャーロットって名前なんだけど、愛称でそう呼ばれていたのかな。

「戦いとは非道なものだよ!」,「いいデザインだ!盗用をさせてもらう!」,「私はあこぎなことをやっている。」

そんな台詞が聞こえてきそうだった。

あと、メアリーの活動拠点となっていた、アイルランドの首都ダブリン。

マシュマーにコロニー落とされて消滅してしまうんだよな・・・。

 

 



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