いくらアタシのラブリー・ショットでも、毎日こうも同じような写真じゃ、「いつも同じ写真ばっかり」とお叱りを受けるかもしれない。
これはもちろん、アタシのせいではない。
でも、ナッチにも言い訳があるらしい。
アタシのリードはとても短い。
もっと長ければイタズラしやすいのに。
リードが短いから、たとえば散歩中に変化のある写真をとろうとしても、一人ではやっぱりうまく撮れないのだそうだ。
じゃあ、タルサと一緒に行けばいい?
そう、その通り。
で、今朝ナッチはタルサを(半ば強制的に)誘って、アタシの散歩に出かけることにした。
良く晴れていたので、とおくに富士山が見える公園に行こうということだったらしい。
しかしそこは、この間、雪が降ったときに思いっきり走り回った公園だ!
モノゴトを記憶するのがちょっと得意なアタシにとっては公園までの道順を覚えるなんてことはモチロン朝飯前だ。
公園が近づくに連れて、アタシの心はバクバク高鳴り、足がトップギアーに切り換わって加速していく。
そして公園に突撃するころには、雪なんてどうでもよくなった。
加速したまま公園中を駆け回った。
でも、アタシにリードを引っぱられてついてきたナッチにとってはどうでもよくなかったらしい。
地面は泥だらけのドロドロ、グシャグシャのツルツルで、オリンピック選手なみのアタシの脚力にまったく抵抗できず、ほとんど制御不能な状態で、
「あ~~~!メイ、やめて・・・・」
と必死になって走っている。
そしてついに耐えきれなくなり、手からリードを離したのだ。
やった!
アタシは泥んこの公園の中を、リードを引きずったまま思いっきり走った。
居合わせた中学生くらいの男の子に飛びつき、乳母車を押していた親子のところに挨拶しに行き(タルサが寸でのところで飛びつきだけは阻んだ)、タルサにつかまりそうになったところでヒラリと身をかわし、全速力で逃げのびた。ああ、こういうスリリングな追いかけっこが大好き!
でも、そうこうするうちに、タルサが「スワレ!」というので、その場で素直に座ってあげ、あっけなく幕が下りた。(お行儀いいでしょ?)
ナッチはなんとか転ばずに済んだけど、アタシの行いに腹を立てたらしく、写真のことなんかすっかり忘れて、帰り道中ずっとなにかブチブチ言っていた。
あー、楽しかった!
ちなみに、富士山は雲に隠れていて見えなかったらしい。