こんにちは。アタシは元気です。
いつもいつも更新が久しぶりなもんだから、毎回同じようなあいさつになってしまいます。これもなっちがいろいろ理由をつけては、アタシの独り言をなかなか書き留めてくれないからです。
最近はすっかり涼しくなって、いくら歩いても疲れなくなりました。
だからガンガンリードを引いては、なっちに叱られています。
相方のカールも夏よりは長く歩けるようになったみたいです。
夏はちょっと歩くと息が上がって、すぐに動かなくなっちゃったからね。
そうそう、動かなくなった、といえば、この間の雨の夜は大変だったんだって。
◇◇◇
なっちがカールを連れてお散歩に出たときのこと。
うちから歩いて2分ぐらいのところにドラッグストアがあります。
その向かいの歩道がとぎれた横断歩道の上で、カールさん、突然座り込んだと思ったら、すぐに伏せをして、パタンと横になり、まったく動かなくなって、レインコートを着たまま地べたに寝転んで目をつむっちゃったんだって。
押しても引いても微動だにせず、岩の如し。
雨はじゃんじゃん降っているし、車は来るし、人は通るし、おまけに坂の一番下なものだから、川のように雨水が流れてくるし・・・。
焦ったのはなっち。
なんの前触れもなく寝転んで目をつむっちゃったゴールデンレトリバーの頭を手の上に乗せて、ゆすってみたけど反応がない。
運の悪いことに、たるさは熱を出して家で寝ていました。
カールをひとり置いて、車を取りに行くわけにもいかないし、カールの上に傘をかざして、ただただ途方に暮れてしまいました。
行き交う人はちょっとけげんそうな顔をしながらも、足早に通り過ぎていくのでした。
・・・と、そこへ
「だいじょうぶですか~!」
という天使のような女性の声が。
ほんと、なっちには天使の羽根が見えたそうです。
「だいじょうぶですか~。ワンちゃん、どうしたのかなあ。わたし、犬に関係する仕事をしているんで、困っているの見ると放っておけないんです。あ、ちょっと待って。そこのドラッグストアで台車を借りられないか聞いてきますから!」
「あ、あの・・・」
「断られたら断られたですから、とにかく行ってきます!」
と走っていってくれたのです。
おお!神よ!
すると、すぐに、白衣を着た男の店員さんが、天使に伴われて
台車を持って走ってきました。
傘もささずに。
こちらも白衣を着た天使でした。
なっちが「すみません・・・」と消え入りそうな声で謝りながら
カールを抱き上げようとすると、カールはヨロヨロと立ち上がり、2,3歩歩いて、台車の上にちょこんとお座りしました。
まるで王子様のように。
ところが、
台車がゴロゴロと動き出すと、思いのほか乗り心地が悪いと思ったのか、カールさん。
1メートルも進まないうちに
突然台車のうえで立ち上がって、地面にトンと降りたかと思うと、
何ごともなかったようにしっぽをフリフリして軽快に歩き出したそうな!
なっちは心の中で
「あ、やっぱり。眠かっただけなんだ・・・」
とつぶやき、安心してこみ上げてくる笑顔を押し殺し、
天使と店員さんのふたりにひたすら謝ったのでした。
だけど、冷たい雨が降っているのなんて忘れるほど、心の中はぽっかぽっかに暖かで。
翌々日、なっちはそのドラッグストアの店員さんがお店にいるときを見はからってお礼をしにいきました。
セイジョーのお兄さんです。なんだかちょっとお互いに照れくさかったみたいだけど。
そして、天使の女性は代官山にあるドッググッズのお店「
Harness Dog」にお勤めだということです。
近々、カールを連れてお礼の挨拶に行きたいと申しております。