きのうの夜のこと。3週間ぶりにお風呂に入ったあと、なんだか急に楽しい気分になって革張りの白いソファを前足で思いっきり引っ掻いたら、なっちが怒って部屋の外に出て行ってしまった。また一人ぼっちかぁーと思いながらソファで寝転がっているとき、だるえもんが部屋に入ってきた。
「あら、こんばんは。最近見かけなかったじゃない?」
「なっちにさ、メイちゃんと遊んでやってって頼まれたんだよ。」
「このうちにはたいしたものもないんだけど、よかったらこれ、かじってみる?」
アタシは突然の来訪者に気をよくして、かじりかけのバッファローの骨をすすめた。
だるえもんは、ワイン色の大きなリュックを背負っていて、その中にはよほど重いものが入っているらしく、肩ひもが肩に食い込まないように両手でずっとひもを引っ張っていた。
「ああ、ありがと。どっこらしょっと。今日はメイちゃんにプレゼントをもってきたんだけど」
だるえもんはそう言いながら、リュックを床におろして、中に頭をつっこんだ。
だるえもんが、何ヶ月かぶりに突然姿をあらわしただけでなく、自分にプレゼントまで用意しているなんて、思いもしなかったからびっくりした。でも待てよ、と急に思い直した。なにせ、今までだるえもんに対しては、耳をひっぱったり手足を噛んだり振り回したりと、悪いことばかりしていたので、彼にいい印象は全く与えていないはずだ。それなのに、アタシに何かくれるって、どういうことなんだろう。もしかして、なっちが見ていない隙に、アタシに仕返しをしようとしている、なんてことはないだろうか。そのリュックから、なにかとんでもないモノが出てきたりしないだろうか。
「ねえ、だるえもん。なっちはどこに行ったのかなあ?」
アタシは、リュックの中をのぞきたくて、だるえもんの気をリュックからそらそうとしてみた。
「え?どこ行ったのかなんて知らないけどさ。それよりこれ!」