鳳台院-牡丹・石楠花-
國見山鳳台院の牡丹花のつぼみ心臓のごと脈打てり 二万本のシャクナゲ五重の塔を背に皐月...
八十八夜-藤-
五月二日のひかり若葉をこぼれては藤の花房撫でてはじける 若くして細き枝なる藤なれど咲...
鼻息荒く-普賢象-
普賢象 夜来の雨に散らされて不機嫌さふに鼻息も荒れ ああやれんこうやれんとふ頑固さも古...
光-楞厳寺への道-
みどり葉に皐月の光満ち満ちて葉の間つたひてこぼれ行くかも 山門の下より仰ぐ仏頂の山ほの...
端午-紫の花-
矢車のかたちとなりてテッセンの蕾開けるこどもの日かな 茎細く高くして花ひらひらと風に...
立夏-スズラン-
やはらかき立夏の雨に鈴蘭は白さを増して影照らしたり 清あらば濁あることを常として君影...
連休点描-見つめる-
黄金(こがね)なる髭うつくしく杖をもつアヤメ仙人は何を見つめる 白鳥の湖を舞ふ踊子の花...
初夏の陽-虻・蜘蛛・天道-
葉牡丹の黄花(きばな)浴びたる初夏の陽に甘香(あまか)放てば寄り来たる虻 日陰より吹く爽...
花杯-銭葉葵-
冬霜に凍れるまろき葉をもてる草に真白き花咲く五月 葉の間よりこぼる光を花びらの掌(て)...
先-ユキノシタ
雪降らぬ冬を越したるこの草に咲く篆書体「先」の字の花 開き初む花したがへて先頭に立つ...