越年蜻蛉
定まらぬ吾が心なり庭に出れば節一筋に越年蜻蛉 丹人 さだまらぬ わがこころなり にわに...
あぢさゐ太郎
あぢさゐのまろきつぼみゆ生まれ出づるカマキリの名はあぢさゐ太郎 丹人 あじさいの まろき...
豹紋
上山の里のアザミは豹紋の蝶を冠に秋分けてゆく 丹人 うやまの さとのあざみは ひょうもん...
尺蛾
朝には尺とり歩む青虫の夕斑枝尺蛾となれり 丹人 あしたには しゃくとりあゆむ あおむしの...
盆入
わが屋戸の車のナンバープレートにしじみとまりて盆に入るかな 丹人 わがやどの くるまのな...
夏茜
一寸の身を真直に夏茜みどりが中に引く一文字 丹人 いっすんの みをまっすぐに なつあかね...
羽衣
わが屋戸に天女の舞へり擬宝珠の茎に羽衣一つ掛かれば 丹人 わがやどに てんにょのまへり ...
水辺
北山の水辺の緑に光射して蜻蛉の翅にとまる夏の日 丹人 きたやまの みずべのみどりに かげ...
蛇目蝶 二
蛇目蝶は紫式部の葉の上に波をしずめて翅広げゆく 丹人 じやのめてふは むらさきしきぶの...
蛇目蝶 一
わが庵のけやきの上にさざ波を立てて蛇の目の蝶きたりけり 丹人 わがいをの けやきのうへ...