去年から今年にかけての冬も電力不足キャンペーンが北海道でおこなわれました。北海道電力の原発を除いた設備容量は624万kwですが、冬は河川の水量が少なく、水力発電の設備が100%つかえないとして、他社からの電力融通60万kwを加味しても、この冬の供給量は約600万kwとしています。最大需用電力は2月で、約580万kwと予測していて、3%の予備率では不安なため、需要家に7%の節電を要請しています。しかし、昨年の10月に、あるマスコミの「この3%の余力を大きくするために具体的な方法を取っていますか?」との問いに、北海道電力は、「余力は3%で十分なので、これ以上の電力は必要ありません」と答えました。
つまり、足りるか足らないかぎりぎりのところで調整し、原発の必要性をアピールしているようにみえます。これは、昨年の関西電力の時もそうでした。電気が不足するといいながら、大飯原発が稼動したとたんに、関西にたくさんある、工場の自家発電への協力要請を撤回し、火力発電や水力・揚力発電の出力を調整し、原発2基動かしてもぎりぎりなんだというのを演出しました。
そもそも原子力発電というものは、リスクの大きい発電方法で、故障や事故で運転できないことが多いのです。実際、事故前の2010年の原発の稼働率は55%にすぎませんでした。そのため、原発を新設する際には、同じ規模の火力発電所を新設するのです。中部電力では、新しい原発の新設を見込んで、2007年から上越火力発電の建設に着手しました。昨年、1号機が完成し、今年の夏は、2号機もフル操業が可能となりました。2機とも最新の原発1基分と同じ規模の119万kwあります。この夏の中部電力管内の電力需給は昨年よりも安定する見込みです。
※各電力会社の供給力と最大需用電力※
電力会社 供給力(原発を除く) 最大需用電力
北海道電力 624万kw 547万kw
東北電力 1321万kw 1380万kw
東京電力 5608万kw 5500万kw
中部電力 3059万kw 2637万kw
北陸電力 622万kw 526万kw
関西電力 2912万kw 2956万kw
中国電力 1425万kw 1135万kw
九州電力 1777万kw 1669万kw
沖縄電力 224万kw 144万kw
2011年5月9日時点(環境エネルギー政策研究所の発表より)
東北電力と関西電力は、最大需用電力が供給力を上回りますが、管内の自家発電設備がそれぞれ、110万kwと680万kwあり、また、余力のある東京電力や中部電力からの送電も可能なため、それらを活用すれば、原発がなくても電気の安定供給には問題ありません。
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