おおざっぱな数字になりますが、使用済み核燃料は、全国の原発の核燃料プールに約14000トン、六ヶ所村の再処理工場併設プールに約3000トン、そして装填中または、使用途中の核燃料が約5000トン、合わせて、22000トンもの量になります。
アメリカでは、使用済み核燃料を、ガラス固化体に加工し、乾式保管する方法をとっていますが、十分冷やせば、加工せずに乾式貯蔵することも可能です。
ただし、この貯蔵する入れ物、乾式キャスクと呼ばれているものは、使用済み核燃料を入れて、たとえふたをしたとしても、放射能がきつく、人が近づけないばかりか、高い熱を持っているため、扱いには厳重な警備と管理体制、作業員の安全、生涯にわたる健康管理などが不可欠です。また、まだ開発されて間がない技術のため、寿命といわれる50年の間での放射能漏れの危険性が指摘されていますので、そのあたりの、管理方法も、しっかり確立する必要があります。
キャスクは高さ約6メートル、直径が約2.5メートルの鋼鉄の円柱でできていて、溶接またはボルトのどちらか一方の方法にて密封されます。鋼鉄の円柱は使用済み核燃料が漏れ出さないように封じ込めていて、貯蔵・輸送ができるように設計されています。
今、各原発にある使用済み核燃料は、絶えず、水で冷やさなければならない状態に置かれています。とくに、福島第一原発と同じ形の原発では、高い場所に保管プールが設置されています。とりあえず、今、やらなければならないことは、地上に福島第一原発のような核燃料プールを作ること、そして中間貯蔵施設の建設や乾式キャスクの製造を始めることです。
そして、プールが完成したら、すみやかに使用済み核燃料を地上に降ろし、安全を確保し、中間貯蔵施設ができたら、使用済み核燃料の温度が下がった順に、乾式キャスクに移し、中間貯蔵施設に保管すべきです。このようにして、将来の世代にバトンタッチすることが必要なのではないでしょうか。
2014年7月19日 「脱原発四日市市民の集い」2014年度第3回原発シンポジウム 園田淳
ドライキャスク(dry cask、乾式キャスク、乾式容器、乾式貯蔵キャスク)
使用済み核燃料のような高レベル放射性廃棄物を保管する方法である。最低1年間の使用済み核燃料冷却プールでの冷却で、ドライキャスクに貯蔵できる。
これらのキャスクは典型的に鋼鉄の円柱でできており、溶接またはボルトのどちらか一方の方法にて密封される。使用済み核燃料は内部にて不活性気体で覆われる。理想的には、鋼鉄の円柱は使用済み核燃料が決して漏れ出さないように封じ込めている。各々の円柱は更に新たな鋼鉄・コンクリート・その他の物質で囲まれ、労働者や部外者を放射線から守っている。 いくつかのキャスクは貯蔵・輸送がともにできるように設計されている。Holtec Intl, NAC Intl. および Areva Nuohmsの3社は独立した使用済み核燃料貯蔵庫の設置 (Independent Spent Fuel Storage Installations、ISFSI's) を行なっており、 それらの輸送、および保管所への垂直または水平での遮蔽された使用済み核燃料の設置を行なっている。これらのシステムは多くの場所で有効に活用されている。
ドライキャスクシステムの設計は多岐にわたる。これらのうち幾つかの使用済み核燃料入りドライキャスクは、コンクリートの保管庫に垂直に設置されるように設計されている。他のものは、水平に設置するように設計されている。
コンクリート貯蔵庫は放射線遮蔽能力を持っている。その他の鋼鉄製キャスクは、金属・コンクリートのいずれの貯蔵庫であっても保管できるように設計されており、キャスクの外のコンクリートが放射線を遮蔽する。
現時点ではドライキャスクによる使用済み核燃料の永久貯蔵は不可能であり、あくまで一時的な保管用である。使用済み核燃料をプールに貯蔵するよりは、冷却水の電源喪失でメルトダウンを起こさないため、優れた貯蔵方法というわけである。
ウィキペディアより
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