報道によれば、「新型コロナワクチンの接種をめぐって、アメリカ西部のカリフォルニア州は、小中学校や高校の教職員に加えて、対面授業に出席するすべての児童や生徒にも義務化すること」になったそうだ。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211002/k10013287561000.html
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「やはりカリフォルニア州だな」という印象は否めないが、これより早く、「新型コロナウイルスワクチンの接種を学生や教職員に義務付ける大学が1000校を超えた。感染力の強いデルタ型の拡大や米当局によるワクチンの正式承認などにより、対面授業の継続には接種が必須との認識が広がる。未接種の学生の登録を解除したり、罰金を科したりする大学も出ている。」との報道があったことを思い出した。
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ワクチンの接種を義務化することはできるのだろうか。
愚考してみたい。
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狭い空間で特定の利害関係が生じる限定された領域にアクセスする人についてはワクチンの接種をアクセス要件にすることには合理性があると言ってよいだろう。
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かつて大学生の実務実習について、受入先との関係で「実習に入るならば接種を、接種しないなら実習は控えよ」という趣旨の発言をしたことがある。
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しかし、一般的な授業の場合には、しかも小中高生の場合にはこの理屈は成り立たないであろう。
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現在、接種が進んでいるワクチンの効果はもっぱら発症予防と重症化の予防だ。もともと、発症や重症化の頻度の低い年少者にワクチンを接種する合理性はあるのだろうか。
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最近、「予防接種」という表現を散見するので念のため厚労省やCDCのHPで確認したが、感染予防効果があるとはどこにも書いていない。
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ということは、ワクチンを接種して得られる利益は医療のひっ迫の回避だと言ってよいだろう。これは全体利益、つまり公益だ。
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他方、ワクチンの接種には一定の危険が伴うと言われている。
厚労省の報告によれば10月1日までにワクチン接種後に死亡した人が1,233例あった。
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研究者は「確率的には極めてまれだ」とか「因果関係が証明されていない」などと論評する。
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だが、この1,233例に含まれて死亡した人のご家族や関係者は「ワクチンを接種して死んだ」と考えるだろう。
それはつまり、「ワクチンを接種しなければ死ななかった。」ということだ。
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それにもかかわらずワクチン接種の義務化を主張する人がいる。カリフォルニア州もこの線上にあり、これを報じる報道機関も義務化を促す含みがあるのだろう。
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しかし、ワクチン接種の義務化は「公益のためにあなたの命を危険に曝しなさい。」ということだ。
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社会のために、国家のために個人の犠牲を強いる。
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御国のために特攻隊員を敵艦に突っ込ませた思想と同じだ。
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この理屈は学生や児童生徒だけに当てはまるのもではない。
最近、人と接する機会がある業務従事者に接種を求める企業が多くなっている。
アルバイトの採用条件に「接種済」を入れている企業もあると聞いた。
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さらに、飲食店の側では「スタッフは全員接種済。安心してご来店ください。」と広告しているところもある。
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理解出来そうだが理解できない。
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ワクチンの主たる効果は発症予防と重症化予防のはずだ。
感染予防ではないので他者に感染させる危険は下がっていない。
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ということは、「スタッフは全員接種済。安心してご来店ください。」という広告の意味は、「感染したお客様もご遠慮なくご来店ください。スタッフが感染してもスタッフは発症したり、重症化することはないのでご安心ください。ただし、スタッフが感染したら誰かに感染させるかもしれません。」と言っているのと同じに聞こえる。
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もっと怖い現象も起きている。
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ワクチンの接種率が上がって来たことで、体質など合理的な理由があるなど接種を控えている人が「反社会的傾向がある人」と思われることだ。
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「職場のみんなが接種したから自分も接種しなければならないと感じている。」という声がある。
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ワクチンの接種は個人の判断に委ねられている。
だから、ワクチンを接種して死亡しても、「自分の判断で接種したのだから不服を言うな。」という仕組だ。
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それなのに、「バイトに入るなら接種しなければならない。」、「対面授業に出席するならば接種しなければならない。」という理屈には合理性が無い。
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国民が陥っている誤解を解くのは政府の役割だ。
何とかしてほしい。
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