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そろそろ刑事法の出番ですか?
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「海外では『出歩くと罰金』とかあるけど日本では無いんですか。」って質問されました。
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緊急事態宣言の根拠法令である新型インフルエンザ等対策特別措置法には、外出自粛要請に従わずに外出してもこれを罰する規定はありません。営業自粛要請についても同じです。
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国民の処罰要求が高まれば一般法で処罰根拠を探すしかありません。
しかし、そういう法律運用は戦前を彷彿させるので好ましいとは言えないですね。
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とはいえ、営業自粛要請に効果が無く、感染爆発の危険が明らかとなれば刑罰法令を発動してでも感染爆発を阻止するというやり方もやむを得ないかもしれません。
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使える法令はあります。
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たとえば、軽犯罪法には「変事非協力罪」という罪があります。
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軽犯罪法第一条には「左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。」と規定され、第八号には「風水害、地震、火事、交通事故、犯罪の発生その他の変事に際し、正当な理由がなく、現場に出入するについて公務員若しくはこれを援助する者の指示に従うことを拒み、又は公務員から援助を求められたのにかかわらずこれに応じなかつた者」と規定されています。
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自粛要請無視には、「又は」以下の部分が適用できるでしょう。
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拘留は30日未満の身柄拘束の刑。30日を超えて一月以上になると懲役。
科料は1,000円以上10,000円未満の財産刑。こちらも10,000円以上になると罰金。
海外とは異なり軽犯罪法では罰金や懲役までは科されません。
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現状の「感染が拡大している状態」は「その他の変事」に当たります。
ただ、「営業自粛要請」が公務員による「援助を求められた」に当たるか否かが難しいところかもしれませんが愚輩は当たると思います。これが肯定されれば適用の余地は十分あるわけです。
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軽犯罪法は別名「道徳の法律」とも呼ばれます。
休業要請に応じない店にこの規定を適用できるでしょうか。
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現状は名前の公表という間接強制が採られていますが、連休中に感染爆発の兆しが顕著になれば店の経営者に対し本罪の適用も視野に入って来るのではないかと思います。
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これとは別に、閉鎖中の海や公園や観光施設に警察官やその他の公務員の制止を振り切って無理に入れば同条三十二号の「入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者」に当たるので検挙されても文句は言えないでしょう。
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ただ、軽犯罪法第四条には「この法律の適用にあたつては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあつてはならない。」という濫用禁止規定があるので慎重な対応が必要です。
戦前、軽犯罪法の前身である警察犯処罰令が違警罪即決例と簡易な手続法を介して思想弾圧に使われた暗い歴史がありますから。
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ただ、明らかに自分の店から感染者が出ていたり、従業員が感染したにもかかわらず、店主が「うちで働いていたことは言うな!営業できなくなる。」と従業員に命じて通常営業を継続することがあれば、「営業の自由」やその権利を100%認めるには問題がありそうです。「保護に値する権利と言えるか否か。」という問題ですね。
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でも、そこまでしないと自粛しないのでしょうか。
もはや自制心の領域ですね。
これまで政府が国民に合理的な我慢をさせないで来たツケが回ってきているような気がします。
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パチンコ屋さんについては、いわゆる「パチプロ」さんがいるので閉めたくても閉め難いと思います。したがって、法令で「閉めないと罰する。」と規定してしまえば店主としてもパチプロさんに言い訳ができますよね、「処罰されちゃかなわないから!」って。
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既存の法令上は全く問題なくできると思いますが、効果を高めるためにも、法律の範囲内で都道府県条例を作って対応するほうが良いでしょう。
制定過程が報じられることで住民の規範意識の喚起高揚に役立つのではないでしょうか。
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問題は政府の最高責任者と首長がどう判断するかでしょう。
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田中角栄さんならどう処理したでしょうか。
「よっしゃ、よっしゃ、やれ!責任はこの田中角栄が負う!」と言って立法や条例制定を促したかもしれませんね。
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浅学非才愚考卑見乱文長文多謝、m(_ _)m。。。
籠り、籠り、籠り!