「どうしよう。」と幹事。
「どうもこうもないでしょう。できないものはできませんよ。」と私。
「でも決まっちゃったらダメでしょ。」と幹事。
「で、どうしたいのですか。」と私。
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「当然です。」と言っても法律の知識のない人には分からないので、結局、これができない理由を縷々説明することになった。
「再任制限の可否は、元来雇用に関する事項ですから組合が雇い主との窓口になるわけです。でも、この大学には組合が無いでしょ。だからできないのですよ。」と私。
「・・・」(全員)。
「つまり、『任期は5年、再任を妨げない。』ということはこの大学の設置法に規定されているのですから、たぶん。教授会でこれと異なる議決をしても無効ですね。どうしてもこれを変更したいのなら法律を改正すればいいだけですね。」と私。今度は全員が分かったようだ。
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分かったはずなのにまだもぞもぞしている。
「まだ何か。」と尋ねた。
「教授会に議案が出てきたらどうしようか。『賛成の方は挙手をしてください。』ということで決まってしまったらどうなるのかなぁ。」と幹事と割り込み男。
「しょせん無効ですが、心配ならば、採決を阻止すればいいじゃないですか。議事内容の説明が終わったら、今私が話した内容を説明して議案を撤回させればいいだけですよ。」と私。
「誰が。」と幹事。
「えっ。」と私。
見渡すと珍しく全員の目がこちらを向いていた。これまでまともに相手をされたことが無かったのに。
「なるほど。」
つまり、その場いる助教授や講師の中で、曲がりなりにも法律の知識のあるものは私一人だった。
「私ですか。」
「いいかな。」
「別に。いいですけど。」
ということで夏の陣で口火を切るのは私ということになった。(つづく)
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