きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

冷たい七面鳥

2018年07月09日 | 禁煙治療
禁煙のコツは、「キッパリとやめること」です。

徐々に本数を減らすとか、(いわゆる)軽いタバコに変えるのは良くありません。
むしろ、一本一本を大事に、深く長く吸うようになるので、かえって有害物質を多く取り込むことになってしまいます。
リバウンドを起こしてしまう場合も少なくありません。

せっかくの努力も水の泡・・・なんとも皮肉なことですね。


ですから、喫煙者のみなさんには「いきなり断ち」をお薦めしています。


「いきなり断ちする」「キッパリやめる」ことを、英語では「Cold Turkey」といいます。

禁煙治療について勉強を始めた頃、海外の論文を読んでいて、この言葉に出会いました。

冷たい七面鳥・・・奇妙な言葉ですね。

もともと、ヘロインなどの依存症患者の治療において、薬物を突然やめさせたときに、禁断症状で鳥肌が立つ様子から由来しているようです。



以前、ある人に禁煙をお薦めしたら、「いやあ、タバコをやめたりしたら、ボク死んじゃうよ~(笑)」と冗談交じりに返されたことがありました。

わからなくもありません。
依存症って、そういう病気なんです。

喫煙者はいつも手元にあるタバコの本数を確認することを怠りません。
タバコが無くなれば、嵐の夜でも、コンビニに買いに出かけます。
喫煙者はいつも不安に追いかけられています。


ヘロインや覚醒剤などの禁断症状に比べると、ニコチンの場合のそれは一見地味で、派手さはありません。
が、多くの人が禁煙できていない現状をみれば、それがいかにつらいか、タバコを吸ったことのない方にもご理解いただけるのではないでしょうか。


もちろん、「Cold Turkey」だけで頑張る必要はありません。
ヘロインや覚醒剤と違って、ニコチン依存症には効くお薬があります。


禁煙して自由の身になって眺める世界は、それこそ鳥肌ものですよ。













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