伊豆高原シニア・ライフ日記

「老い」を受容しながら自然の恵みに感謝しつつ「残躯天所許不楽復如何」の心境で綴る80老の身辺雑記 

「胃癌物語」をネットで読む

2011年01月24日 | 健康雑感

「胃癌物語」 筆者は鈴木亮さん 元高校の歴史教師とある。

 1997年12月に人間ドックで胃癌が発見され手術を拒んで2000年1月亡くなるまでの手記である。内容は甚だ深刻なものだが暗さがなく、どこかユーモアさえ湛えた達意の筆で綴られている。

 http://home.att.ne.jp/wave/natsu/ryo/igan.html

10年以上も前に書かれたものだがら日進月歩と思える現在の医療事情からみて参考にならないのではと思いきや、現在の私の癌に対する知見に関する限り、実は当時と現在とでは全く事情は変わっていない、進歩など一向にしていないようである。

昨年、NHKが立花隆の思索ドキュメント?として3回にわたって放送したシリーズがあり、話題となった。我が国第一級の知性というべきジャーナリスト立花隆が自らの膀胱癌患者の立場から癌に関する内外の最新情報を徹底的に調べあげたTV番組である。

そして、その結論はといえば、近い将来「人類は癌を克服することができない」「抗がん剤は無意味」というものであった。(医療にかかわる人の多くはこの結論には反対だろうが……)

高齢者が健康問題を考える場合、「癌」を避けて通ることはできない。

そんな思いのところに、たまたまインターネットで「胃癌物語」と題する長い文章にぶち当たったのである。

視力の衰えた高齢者にとってインターネットで長い文章を読むのは辛い。しかし、この手記にはひきつけられて一気に読んだ。これほど長くパソコンと対面しながら読んだ記事はかつてなかった。半日はかかったろうか。

この手記を読むことによって、私は多くのことを学んだ。自分なりにコメントしたいことはいくつかあるが、いろいろな文献を調べ上げた挙句に胃切除の手術を避ける判断に至ったまとめの文章を以下に転記する。 鈴木さんは不運にも3年より早くなくなったが、私はこの意見に全面的に同意している。

≪ さて,このようにながながと書き来たって,最低,現段階でいえることは何か,と考えてみる。
患者として,いまわのきわに,これから胃癌になる人に言い残すことがあるかと問われれば,なんと答えるか。
早期胃癌と宣告されても,そして,医師に胃切除の手術をすすめられても,決してすぐにその処置をきめてはいけない,ということぐらいだろうか。
「早期胃癌を3年放置してもほとんど変化しない」ということは,癌研究者の常識以前の知識なのだから,なにも処置を急ぐことはない。
100%とはいかないが,3年間保証付きなのだ。
消えてしまうことだってないわけじゃない。発見されたからといって,きのう・きょう癌になったのではないし,いまさらあわてるにはおよばない。年齢に関係なくである。
すぐに決める必要はないのである。高齢者はなおさらだ。
ゆっくり,日時をかけて,月日をかけて,あるいは年月をかけて,どうしようかなぁと考えればよい。
病院を探すもよし,本を読むもよし,人にきくもよしである。
なにしろ一度切り取ってしまえば,もうもどってこないのだから。
そのうちに,医学だって発達するだろう。おそいにこしたことはない。
やがて,現段階で自分のなっとくできる方法がみつかるにちがいない。

ながながと書いたにしては,そしていのちをかけたわりには,たいした結論がだせなかった。
いまガン治療をめぐって,医師たちの展開している「言い争い」(論争?)に学んだ結果でもある。
死んでからしまったと思わぬようにしたいものである。
(1998.7.10記)≫

 

コメント (1)
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