生きるのに必要な支援を得る、そのために支払いが生じる。障害が重く、支援が必要なほど利用料が増える。作業所で働くためにお金を払わなければならない…。
障害者自立支援法のもとで、利用料負担を理由に、作業所からの退所を余儀なくされた人は少なくありませんでした。将来を悲観して親が子をあやめる事件も相次ぎました。このままでは生きていけないと、障害のある人や家族らは声を上げました。
うねりは大きく広がり、訴訟運動へと発展。「応益負担は違憲・違法だ」と、全国71人の障害のある人たちが立ち上がりました。障害者自立支援法違憲訴訟です。
人権をないがしろにされた障害のある人やその家族の怒りは、政治が無視できないまでに。国は2010年1月7日、和解に向けて訴訟団と基本合意を結びました。「障害者の人間としての尊厳を深く傷つけた」。国は基本合意文書でそう反省を述べ、自立支援法廃止と新法制定を約束しました。
「この合意をスタートとして、引き続き運動を盛り上げ誰もが安心して暮らせる制度をつくりたい」。原告の一人、家平悟さんは当時、そう語っていました。自立支援法にかわって障害者総合支援法が制定されたものの、課題はいまも少なくない。原告らは基本合意にもとづいて国と毎年、定期協議を重ねています。
基本合意の締結から今日でちょうど15年。その完全実現をめざして運動はこれからもつづきます。障害のある人が障害のない人と同じように暮らせる社会をめざして。
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