これでは学校がもたなくなる
政府は今国会に、給特法(公立教員給与特別措置法)の改定案を提出する予定です。 教員の“定額働かせ放題”を続けるとんでもない内容です。 日本共産党は1月30日、「『教員残業代ゼロ制度』の廃止、授業にみあった教員定数を」という対案を発表しました。
教員の長時間労働は異常です。 国の2022年の調査によれば、小中学校の教員は平均で連日11時間半働き、休憩はわずか数分で、土日の出勤もあります。
教員は「授業準備や子どもと向き合う時間がない」と訴え、子どもや親は「先生は忙しすぎて声をかけにくい」と困っています。
■残業代ゼロの弊害
長時間労働は教員の心身をむしばみ、精神性疾患による病休者は1990年の約7倍です。 担任が確保できないなど「教員不足」も広がり、過酷な教職を避ける学生も増えています。
事態は、学校がもたない、というところまで切迫しています。 これに政治がどう向き合うかが問われているのです。
長時間労働の原因の一つは、給特法で公立学校の教員に残業代は支給しないと定めていることです。 どんなに働かせても残業代を払わずに済むため、行政はコスト意識を失い、次々と学校の仕事をふやし、以前は余裕のあった教員の働き方が激変しました。
そもそも残業に割高な賃金支給を義務付ける残業代制度は、残業を抑制する世界のルールで、労働基準法にも定められています。
教員を残業代制度から外すという給特法の制定(71年)には、当時のすべての野党が「教員の労働時間が青天井になる」と反対しました。 自民党政府は「そうはならない」として強行しましたが、それが誤りだったことは明らかです。 給特法の「残業代ゼロ」制度は廃止以外ありません。
ところが政府の法案は、「残業代ゼロ」制度には指一本ふれず、わずかな給与「改善」でごまかそうというものです。 しかし、給与の「改善」は長時間労働の改善につながりません。 それどころか「改善されたから長時間労働は我慢せよ」となりかねません。
しかも、その額は、給与「改善」の一方で諸手当が削られ、最初の年は月1500円程度です。 最後の6年目でも1万円前後とみられます。 教員に残業代を払うと月十数万円になることを考えれば、信じられない金額です。
■声をあげ動かそう
法案は「主務教諭」の法制化も狙っています。 教員を上下に分断し、上意下達の学校運営を強めることが狙いです。 学校が子どもにも教員にも、より居づらい場所になってしまいます。
他方で政府は教員の長時間労働の根本的解決である教員定数の改善に背を向けたまま、子どもの減少などに伴い2025年度約8800人の教員を削減しようとしています。 このままでは教員の長時間労働の解消は遠のき、日本の学校は存続の危機に立たされます。
国会は与党過半数割れです。 これから法案を審議する国会議員に、こんな政府法案ではだめだと、声をあげましょう。 今こそ力をあわせ、政府の法案を止め、「教員残業代ゼロ制度」の廃止と教員定数の改善への道を開きましょう。
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