『ミスト』
"The Mist"
監督/脚本:フランク・ダラボン
原作:スティーブン・キング
2007年・米
【ネタバレ注意報】
たぶん2年くらい映画の話を書いてなかったと思うんだけど、今夜、急に『ミスト』の話をしたくなって。
最近の映画も観ることは観ていて、La La Landとかいわゆる普通のヤツも見てますが、特に話したい内容でもなく。
そんで、なんか書くとなったら、いきなり『ミスト』の話かいと言う・・・。
『ミスト』はスティーブン・キングの1980年の中篇小説『霧』が原作。
プレステ初期の3Dアドベンチャーゲーム『MYST』とは無関係です。(スペルも違うんだぜェ)
監督のダラボンは『グリーン・マイル』(1999年)、そしてアナタが好きだったあのクラスメイトも
「うーん、好きな映画はショーシャンクかな」
と言っていた、あの『ショーシャンクの空』(1994年)を監督。
2本のキング小説を見事にモノにした人です。
くっそー、その後でこんな映画を撮りやがって・・・。
アメリカの田舎町を、山から下りてきた霧が覆う。
途中まではパニックムービー、そっから楽しい楽しいB級ホラーという流れで。
キング原作ならではの。
本作はすでに公開から10年経った映画なんで、観る前に結末を知ってしまった人もいるかも新米(しんまい)。
でも、もし未鑑賞なら、結末に関するあらゆる情報をシャッタアウトして観るべき映画です。
単なるB級ホラーではないから。
例えば、夫婦で一緒に見たならば、後で色々と語り合うことができるでしょう。(語り合わずにはおれまい)
劇中、巨大なイナゴや蜘蛛、そしてタコのような触手が敵方なんですが。
こいつらが、シャッター1つ、っていうかガラス窓1枚破れないもんで。
そこまで深刻な脅威ではねーな(笑)、という判断で見ていられます。
(この異形の敵キャラたちが、あんまし強くないというのは、実は終盤に効いてくる大きなファクターです)
そんで、脅威と言えば、店内のこのおばちゃんの方が35倍くらい危なっかしく。
人間が、自力で対処不可能な困難に直面した状況下で、必ず発生する「神(宗教)」という概念。
密閉されたスーパーの店内が、小さな世界(世間)と化していく中で、宗教が力を得ていくというストーリー状の重要なエッセンス。
おばちゃんは、この要素を一手に担うのみならず。
我々観客にストーリーの概要を理解させる、説明者としての役割も見落とせません。
哀れなジェサップ二等兵が、世界がなんでこんな状況になっちゃったかの真実を語る、唯一のシーン。
「科学者は、異次元は存在すると考えている。
異次元はこの世界を取り囲んでいるんだけど、窓を開けて向こう側を観察しようとしていたらしいんだ」
「その窓を扉にしてしまったんじゃないの?違うッ?」
上手いッ!!!
この例え上手!!!
なんという分かりやすさ。
フィリップ・マーロウや村上春樹の我々を煙に巻くばかりの喩えと違い、このおばちゃんの例え一発で観客は状況をなんとなく理解できます。
劇中、いくつもの選択を迫られるこの映画ですが。
ストーリーが始まって15分の段階で、主人公のディビッドは、最終的には仲間の生死を分かつ事になる、ある選択を迫られます。
映画の後半であれば、全貌とは言わずとも、この世界の概要がだんだん分かってきて、勇気を出すか出さないの判断ができるようになってくる。
でも、そのずーーーっと前に、序盤のタイミングで最も重要な選択を迫られるのがツラい。
(ちなみに、結果的にディビッドは最初から最後まで全ての選択において判断を誤る)
とは言え、あそこであのお母さんを助けるのは、さすがに相当なハードルです。
まだ心の準備ができていない、序盤過ぎるあの段階では。
<熱帯雨林>
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