『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』
”The Imitation Game”
監督:モルテン・ティルドゥム
脚本:グレアム・ムーア
原作:アンドリュー・ホッジス
2014年・英米
++++
1939年、英国はヒトラー率いるドイツに宣戦布告。
第二次世界大戦が始まる。
ケンブリッジ大学特別研究員で、27歳の天才数学者アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)は、英国政府ために独軍の誇る難攻不落の暗号エニグマ解読に挑むことになる。
英国海軍のデニストン中佐(チャールズ・ダンス)は6人の精鋭を解読チームとしてブレッチリー・パークに集めるが、
チューリングは
「一人の方が効率が良いので、一人で仕事をしたい」
と訴える。
同僚たちはチューリングの態度にムッとするが・・・
++++
こ・・・これはッ!
要するに、
俺の大好きな『エニグマ』”Enigma”(英・2001年)の焼き直しじゃないですかッ!
『エニグマ』のヒロイン、ケイト・ウィンスレットもいい感じでしたが・・・、
本作のキーラ・ナイトレイも非常にいい。
最近「わざとか!」と突っ込みたくなるほどブス化の著しいナイトレイですが、
疲れたチューリングをアゴ・マッサージで癒します。
ものすごい母性・・・。
抱かれ隊!
要するにね。
チューリング博士って、孤高の天才で。
案の定、変人で一般的な生活能力に欠けており。
とくにコミュニケーション能力ときたら壊滅的。
分かりやすく言うと、『風たちぬ』の堀越二郎みたいな人でしょ。
そんな男が大事を成すには、大きな母性で受け止めてくれる女の人が不可欠なのだ。
役が良いのもあるんだけど、それにしても本作のナイトレイの出来は良すぎる。
さっきブスって言ってごめんなさい。
本気だしたらシャネルの新ルージュCOCOのCMくらい出来るの知ってました。
そして、
チューリングを『風たちぬ』の堀越二郎に例えた、その流れで言ますと・・・、
同僚で英チェス・チャンピオンのヒュー・アレクザンダー(マシュー・グッド)は
二郎の親友、本庄ですねぇ、まるっきり。
大事を成すには、出来すぎ君的な理解者が必要不可欠。
その才能がホンモノだからこそ、とても適わないと感じた秀才たちがサポートに回ります。
チューリングや二郎のような桁外れのタレントが居なければ、
彼ら自身が主役だったにも関わらず。
本作はアカデミー8部門にノミネート。
作品賞は『バードマン』に持っていかれましたが、脚本賞を受賞。
受賞スピーチで、脚本家のグレアム・ムーアが自身の16歳のときの経験(自殺未遂)に触れていましたね。
曰く、
「自分は変わった人間だ」
「世の中になじめない」
と感じている子どもたちは、変わり者のままで良い。
変わり者であってこそ、何かを成し遂げるチャンスがあると。
アカデミー脚本賞は、「成し遂げた」と言うに相応しいメダルだと思う。
特に、変わり者(アラン・チューリング)の人生を描いた本作での受賞は。
■おまけ1『裏切りのサーカス』
MI6長官のスチュワート・メンジーズ少将にマーク・ストロング。
非常に似合っている。渋いッ!
それにしても、主演のカンバーバッチといい、マーク・ストロングといい・・・、
この配役、俺的ベスト・スパイムービーの『裏切りのサーカス』Tinker Tailor Soldier Spy”が思い出されます。
もともと、本作と『裏切りのサーカス』はストーリー(二重スパイ!)もテーマ(ゲ×)も被るしね。
英国モノってどの映画見ても同じ俳優が同じような役で出てて、ちょっと邦画に近いよーな感じありますね。
■おまけ2『ツイードのジャケット』
俺の中で第一次チューリング・ブームの真っ盛りだった2003年。
(エニグマの日本公開は、なぜか英公開から2年もたった2003年だった)
博士のマネをしてツイードのジャケットを買おうとしてました。
ツイードは、もともとスコットランドとイングランドの境を流れるツイード川流域で作られていたことが起源。
(※ツイード川は、北海から鮭が遡上する良い川なんですヨ)
ツイード地には、手紡ぎの糸を手織りするがゆえの素朴な味わいがある。
本作のカンバーバッチはさすがに博士にめっさソックリなジャケットを仕立てていて羨ましい!
俺もそういうの着て、お茶をそでにこぼしたりしたい!
<熱帯雨林>
The Imitation Game イミテーション・ゲーム 英語音声英語字幕のみ[PAL-UK版] | |
ベネディクト・カンバーバッチ,キーラ・ナイトレイ | |
メーカー情報なし |
エニグマ アラン・チューリング伝 上 | |
Andrew Hodges,土屋 俊,土屋 希和子 | |
勁草書房 |
チューリング | |
服部 桂 | |
エヌティティ出版 |
いずれも未見ですから、いつか見て見たいです。