
『欲望のバージニア』
"Lawless"
監督:ジョン・ヒルコート
脚本:ニック・ケイブ
原作:マット・ボンデュラント
2012年・米
たぶん、世の多くの女性からしたら。
ナゼ、この映画では、こんなくだらない理由で抗争が延々続くのか。
どっかで切り上げて手を打つか、片方が逃げ出すかすればEのに。
なぜ、双方恐れおののきながらもチキンレースが続くのか。
さらに、ナゼ、それを観た世の男性客たちが、感動でプルプル小刻みに震えたりしているのか。
全く、よーわからんと思います。
まあ、この禁酒法時代の密造業者(とか密売業者)と当局の争いってのは、日本で言う任侠モノな訳で。
そこにあるのは、がむしゃらな男っぽさだけ。
ストーリーなんざ無い!
基本的には、ボンデュラント家の密造3兄弟が、
「いかに自分たちがスゴかったかを自慢する」
というシンプルな話。
原作は、彼らの子孫(マット・ボンデュラント)が
「なんか、ウチの祖父とか大叔父とか、禁酒法時代にマジでやばかったらしいッ」
というエピソードをまとめて上梓した歴史(?)小説。
そんな訳であらすじとしては・・・、
1、当局にやられる
2、密造者側が倍返しでやり返す
3、当局が10倍返しでやり返す
4、密造者側が100倍返しでやり返す
5、最初に戻る
という、エンドレス半沢直樹な任侠モノ。
ただ、そこは銀行員じゃなくて、ギャングな訳で
「出向」とか「左遷」とかによる攻撃じゃなくて、実際にメリケン・サックでぶん殴ったり、刃物でチクチクしたりします。
痛いのを見るのが苦手な人はご用心。
マジで血を見る5秒前。
しかし、こんな何もないストーリーにも関わらず、映画全体に漂う異常なテンション。
それは、俳優陣の緊張感によって生みだされています。
ボンデュラント三兄弟の長男、ハワード。
ぼかぁ、本作の隠れMVPはハワードを演じたジェイソン・クラークと思いますね。
本当に本当に怖い人って、得てしてこんな目してるでしょ。
この目はジェイソン・クラークの俳優人生の大きな武器でしょう。
近作、『華麗なるギャツビー』(2013年)で、修理工ウィルソン役に抜擢されたのもよく分かります。
次男、フォレストにトム・ハーディ。
ハリウッド映画史上、ここまでカーディガンの似合わない主人公がいたでしょうか。
ちなみにそのシャツ、オレの持ってるのと似てるね!
(オレはそんなケンシロウみたいな太い首してないけどね)
そして、三男ジャギ・・・、じゃなかった三男ジャックにシャイア・ラブーフ。
ちびっ子ギャング的な。
コイツについては、演技うんぬんより、こないだまでキャリー・マリガン(デイジー@『華麗なるギャツビー』)と付合っていたという私生活に驚嘆させられる。
やるじゃない。(ビシィ!)
チャーリー・レイクス特別補佐官にガイ・ピアース。
近作『ハングリー・ラビット』(2011年)などで、今ひとつ煮え切らない演技を見せていたピアースだが。
本作では堂々たる悪役ぶり。
まあ、演技的にはやり過ぎと言えなくもないんですが。
任侠モノの映画は、悪役の存在感が支えると思う。
思えば、ブレイクした『L.A.コンフィデンシャル』(1997年)の時点で、既にこの人は気持ちが悪かった。
兄貴、いい塩梅っス!
まさに水を得たナマズっス!
やれやれ、まったく、これでどうやって私生活ではマドンナを落としたのか・・・。
(↑先生、それ多分ガイ・ピアースとガイ・リッチーを勘違いしてます!)
なんか興が乗ったので、もうちょっと書いとこう。
大都会シカゴから流れてきたE(いー)女、マギー役にジェシカ・チャスティン。
脳ミソ空っぽなブロンド美女も演じられる彼女ですが・・・
同年(2012年)、『ゼロ・ダーク・サーティ』ではアカデミー主演女優賞ノミニー!
実は出来る女。
もう一人のヒロイン、三男の意中の人バーサ役にミア・ワシコウスカ。
ちみ、なかなかカワEね。
ん、何か、この服装と構図、フェルメールのあの絵みたい。
チョイ役だが、ギャング側の顔役フロイド・バナーはゲイリー・オールドマン。
この人とトム・ハーディの近年の共演率の高さについては、また書くとさすがにしつこいので『裏切りのサーカス』ご参照。
ゲイリー・オールドマンが子分のノア・テイラーの後頭部をシャベルで
「くわん」
と殴るシーンだけは、シリアスな本作での救い(面白シーン)となっている。
普通、死にまっせ。
■(マジメな)おまけ
このショボいブログでは触れないつもりだったんだけど。
本作を観たその日、N.Y.からルー・リードの訃報が届いた。
なんで、劇中とエンドロールと、2回も”White Light / White Heat” (ルー・リード作)がかかるのかな~?
音楽担当のニック・ケイブがよっぽど好きなんかな~?
などと、ルー・リードのことを考えていたら、突然の訃報で言葉も無し。
今までありがとう。
貴方の音楽がオレという人間を作りました。
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ゲイリー・オールドマンとトム・ハーディーさんは、あのツーショットの印象が強烈に残り過ぎて、もはや真面目に観られるか不安なほどです(笑)
でもあれは、ホントにいい写真だなぁと思います♪
倍返しドラマに、従弟が田宮電機のシャッチョさん役で出ていました♪
>もはや真面目に観られるか不安なほどです(笑)
シリアスタッチで進行するものの、最後の最後で実は全てがコントだったという大オチで・・・。
一切マジメに観る必要のない映画です。
トム・ハーディーが凍った池のそばに近寄ったら、さあ、一瞬も目が離せません。
>従弟が田宮電機のシャッチョさん役で出ていました♪
スゴイですね!
でも、実はTVを全く見ない人間なので・・・。
「倍返し」も「ジェジェ」も「八重桜」も「みのもんた謝罪会見」も、全く見たことないのです。
その割に、会社ではウケるとさえ踏めば、必要に応じて、どこで仕入れたか大和田常務の土下座なども再現してみせるという。
そんな感じの毎日です。
安田大サーカスの団長が大和田常務を真似ているのですが、いまちょっと嵌っています♪
私も『倍返し』は終わりまでの4話のみで、他3つは未見のまま終わりました。
ことに『じぇじぇじぇ』は周囲の熱が高くて、会社でポチーンと話題に取り残されたりして(笑)
なんと!『欲望のバージニア』コントなのですね!!
むぅー、気になってきました・・・あのツーショットを脳裏にチラつかせながら観てみます♪
クリケット・・・ああなるだいぶ前から心配だったけれど、やっぱり悲しかったですね。
クリケットのような人には、幸せになって欲しいなぁと思ってしまって。
そしてそして、池のシーン!『ちょっと待って・・・』と咄嗟に声が出てました!!
戻った時には『えーっ!!』って声が裏返った次第です。劇場じゃなくて良かった(笑)
あの戻りの間は、確かにコントですね♪
シャイア・ラブーフの拙いギャングっぷりや歩き方や笑顔が印象的でした♪
あのミーアキャットみたいなひょこひょこダンスは衝撃というか、笑劇ですね。
てっきり、あのシーンの後もシャイア・ラブーフのナレーションで
「その後、フォレストは冬休みが終わり3学期になっても半袖Tシャツ1枚でとおし・・・」
みたいな不滅自慢が続くのかと思いきや、銃やナイフには強くても、人間、やはり寒さには勝てなかったという。
あそこだけ妙に実話っぽかったですね。