『ボルサリーノ』
"Borsalino"
監督:ジャック・ドレー
脚本:ジャン=クロード・カリエール、ジャック・ドレー、ジャン・コー、クロード・ソーテ
原作:ユージェーヌ・サコマノ
1970年・仏
フランスが誇る二大スターの共演。
リマスター版を吹き替えで見た。
この映画はあえて吹き替えで見るべき。
なんたって・・・、
アラン・ドロン演じるロッコに
野沢那智。(日本ではドロンの声はずっとこの人)
ジャン=ポール・ベルモンド演じるカペラに
山田康雄。
こっち(声)だってオールスター!
ドロン(78歳)もベルモンド(81歳)も元気にご存命なのに、野沢さんと山田さんは共に逝ってしまった。
健康第一だよ、マジで。
そういえば、若き日のベルモンドは、我らがルパン三世のキャラクターデザインの元にもなっているので・・・、
回りまわってるってコトだね。
さて、本作。
舞台は1930年のマルセイユ。
出所したロッコが、
さほどハクいとも思えぬナオン(ローラ:カトリーヌ・ルーヴェル)を巡って、カペラとゲンコで殴り合い。
グーで殴りすぎて互いに記憶を喪失し、すぐに意気投合しちゃう、という青春路線で始まる。
そのあと、この彼女が一体どっちの女ということで落ち着いたのかよく分からない。
(ラストシーンで判明)
いわゆるグレーゾーンというヤツか。
二人が成り上がっていく過程は楽しいが、そこはギャングの世界。
食肉倉庫の焼き討ちに失敗する当たりから、ちょっと悲壮感が出てくる。
ああ、こっからアメリカン・ニューシネマだな、と。
本作が1970年。
その数年前から、海の向こうでは『俺たちに明日はない』(1967年)、『明日に向かって撃て』(1969年)と、アメリンカン・ニューシネマ花盛り。
ああ、ロッコとカペラに追っ手がかかるな、と観るものは感じずにいられない。
案の定、という展開もあるにはあるのだが。
ただ、この映画自体、コメディタッチであることと(冒頭の殴り合いはほとんどコント)、
なんと言っても二人のスターの魅力が、無常観みたいなものを遠ざけている。
山田康夫の吹き替えで観たせいもあるかも。
ちなみに。
野沢さんと山田さんの吹き替えは、83年のTV放映時のものなので・・・、
TV版でカットされたシーンはDVDでも吹き替えが無い!
音声がフランス語に戻るたびに、
「え~!? このシーン切るか、しかし!?」
とか言って皆で盛り上がって観たんだけど。
あとで、冷静になって
「いや結構、無駄なシーンも多いな。83年のTV版、意外と合理的かも・・・」
という結論に落ち着いたのでした。
おちまい!
■おまけ
どーでも良いが、この時代(1930年代)の男性用水着だけはボク理解できない。
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