『夜間飛行』

また靴を履いて出かけるのは何故だろう
未開の地なんて、もう何処にもないのに

『オブ・ザ・イヤー 2020』

2021-08-12 | プロフィール

「まあ、翌年のバレンタインデーくらいまでなら、ぎりぎり『オブ・ザ・イヤー』もよかろう」。
そう言ったのは、確かフランクリン・ルーズベルトだったでしょうか。(USO)

バレンタインもとうに過ぎ、8月にもなって、猛暑の中で2020年を振り返ろうというこの企画。

個人的に、初めてパンデミックを経験した2020年のことを、少し記憶にとどめておこうと思う。
大事なことも、しょーもないことも、そうさ書いとかないと忘れちゃう。

※これは、2020年の1年間を今ごろになって綴る個人的な記事です。万が一読む場合は、ぺこぱ風に時を戻してご覧ください。



■師匠 オブ・ザ・イヤー
『ジャック・アタリ(仏経済学者/思想家)』

世界にコロナが広まった昨年初頭、この人が何を語るか聞きたい!と思えた一人がアタリさんだった。
特に世界中が不安や猜疑心に苛まれた時期に、アタリさんの『利他主義』という概念は心に響いた。
他者が幸福であることで、自らも利益を得る。
将来世代への貢献は、現役世代にも恩恵がある。
あれから早くも1年半の時が流れたが、世界はコロナウイルスに溢れ、僕らはこんなにも愚かなままだ。


■夏のお供 オブ・ザ・イヤー
『和ハッカ水』

これを書いている最中、「気温1.5度上昇、予想が10年早まり2021年~40年に」なんていう国連の報告も飛び込んできましたが。
一日中エアコンをかけてるのも体に応えるお年頃で。
ドラッグストアでたまたま見かけたこのハッカ水をプシュッと一吹きすると、その刹那とても涼やかです。
その効果たるや、まあ、ほんとに一瞬なんですけどね・・・(笑)
ともあれ、再生エネルギーも大事だけど、まずは電力をバカスカ使わないで涼を取る方法を考えていかないといけませんネ。


■アイス オブ・ザ・イヤー
『チョコバッキー』

いやはや、昨夏の私の主食と言ってもよい活躍を見せたアイス、それがシャトレーゼの『チョコバッキー』。
元々、そんなにアイス好きでもなかったのですが、いい歳してアイス愛に目覚めました。
お味は『ドライミント』に限ります。
急に思い出したけど、80~90年代の米ラッパーはやたら名前にアイスが付いてましたね。
ICE-T とか ICE CUBE とか。
クィーンの『アンダー・プレッシャー』を無断でサンプリングして訴えられた ヴァニラ・アイス なんてのも居ましたっけ。


■リバイバル オブ・ザ・イヤー
『未来少年コナン』

NHK総合が5月からデジタルリマスター版全26話を放送してて、子供たちも気に入って見てましたね。
宮崎駿の監督作品なんだけど、初回放送が1978年となると、世代的にさすがに私も見れてなかった。
今回、NHKが放送にあたり画角を切っちゃった(4:3を無理やり16:9にしたので画面の上下が見切れた)ようですが、まあ、こだわりのない子供たちには何ら問題なかったようで。
敵方の対コナン急先鋒だったモンスリー女史が、ストーリー後半になると、ダイス船長に
「もう、バカね!」
しか言わなくなるのは、
「あ、もしかしてこれがツンデレの始祖なのかな?」
などと思いながら見ておりました。


■設置 オブ・ザ・イヤー
『カウンター』

おうち時間が増えた20年の春先、部屋にカウンターを設置しました。
ここでリモートワークをしたり、夜中に酒飲みながら本読んだり。
もともと、カウンターが好きなんですよ、飲み屋さんとかでも。
しかし、もう1年半か。外飲みできない生活がこんなに続くとはなぁ・・・。


■ブック オブ・ザ・イヤー
『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』

去年出た本じゃないけど、ちょうど ↑ のカウンターでよく読んだ『LIFE SHIFT』の話。
この本の要点は、
「寿命が延びて人生が100年になっちゃったから、もう学校の勉強だけじゃ足りないですよ」
「あなたが持ってるその知識で一生は乗り切れませんよ。もう一回か二回、人生の中で徹底的に勉強し直す時間を取らないと」
って話で、まあ、お説教なんですけど、読んでると背筋がピシッと伸びてきます。
(良書。とは言え、もうちょっとコンパクトにまとめてくれても良かったけど)
でも、生き抜くだけじゃなくて、『楽しく生き抜く』ことが大事だよなぁ。


■ムービー オブ・ザ・イヤー
『TENET』

山本山、下から読んでも山本山(やまもとやま)。
TENET、逆さから読んでもTENET。
と言うわけで、テネットは劇中で実行される作戦のコードネーム。
和訳すると「主義」とか「信条」という意味になるのだけど、これはそのままクリストファー・ノーラン監督の心意気を表す言葉にもなる。
極力VFXに頼らず、強力な準備と執念とバジェットで実写(特撮)にこだわる。
そして、この渾身の大作をコロナ真っ盛りの20年8月に全米公開する勇気。
色々な判断での延期も止む無き事だけど、こういう時に「先延ばし」をしないのって、本当にノーランっぽいなって思う。
ノーランの異常なまでの「時間」の概念への固執について、パンデミックが終わったら誰か語りましょう。


■バッタ オブ・ザ・イヤー
『近所の公園のお子様バッタ』

はぁはぁ。それにしても、春から初夏にかけて、パダワンのバッタ採りによく付き合いました。
公園から公園へと良いバッタ(?)を求めてハシゴする日々。
「パパぁ、全然バッタいないよ~」
「ん?いや・・・、チミよく見てちょ。小っさいバッタ、勝手に網にくっついとるがな」


■Tシャツ・オブ・ザ・イヤー
『ザ・グーニーズTシャツ(BEAMS)』

あっぶない、危ない。
危うく、このTシャツをゲットせずに夏を迎えるところでした。
夏休みに家でグーニーズを観る、というシンプル極まりないイベントに向け、グーニーズTシャツを購入。
SHIPSの『ジョーズ』のヤツもベタで良かったけど、やっぱり我が家で着るならコレ。


■扉写真 オブ・ザ・イヤー
『週末はリラックスできる夏のスタンダード服で』

去年、雑誌をめくっていて最も感銘を受けたのがこの写真でして。
結局、週末ったって、どこにも行けなかったじゃないですか、コロナで。
だから、せめてゆったりした服を着て、洗濯物干して、本でも読みましょうよって話だと思うんですけど。
まず「狭っ!」って声が出ると思うんですよ。このべランダ。
ビルもだいぶ古そうだし、べランダの目の前には風景を遮る電信柱のケーブルをまとめた束!
雑誌の特集の表紙だったら、もっと広くてキレイでオシャレなロケーションでいくらでも撮影できるでしょう。
でも、自分がその場所が好きだったら、それでいいんだと。
そこがマイホームなんだと。
そんなメッセージを感じる素敵な写真だと思いました。


■復刊 オブ・ザ・イヤー
『The Walking Society』

ザ・ウォーキング・ソサエティはスペインのシューズメーカー Camper が2001年から刊行していたオンライン・マガジン。
2005年に終了していましたが、15年の時を経て昨年復活。
2020秋冬シーズンの特集は「マヨルカ島」。
写真がどれも良くてね・・・。
ウェブマガジンって紙資源も無駄にならないし、良いと思います。
紙の雑誌の手触りも捨てがたいけど、そろそろ我々も所有欲をアップデートしないと肝心の地球がもちません。
(同じく部屋の本棚のキャパシティもネ)


■リラックス オブ・ザ・イヤー
『コメダ珈琲店』

駒沢公園に行く時にそばにあるコメダに寄りますが、気取らない空間がイイですね。
20年度は国内カフェ大手4社のうち、1位スターバックス(1,601店舗)、2位ドトール(1,088店舗)、4位タリーズ(747店舗)が揃って赤字転落する中、3位のコメダ(902店舗)のみが中間期決算(3~8月)で黒字を維持。
95%の店がフランチャイズなので、オーナーさん側ではそれなりに損失も出されてると思いますが・・・。
ただ、出店戦略として駅近出店が基本の競合3社に比べて、住宅街にひっそり出店してるから、コロナ禍の都心への出控えにあっても「地元でお茶」ニーズを拾えたんでしょうね。


■スマホアプリ・オブ・ザ・イヤー
『AR Tour Ocean/ 学研』

昼過ぎ、我が家のリビングのクーラー付近に悠然と現れたサメ・・・。
見上げると白い腹を見せながら、子供部屋の方へ泳いでいきました。
コロナで水族館にも行けなかった昨夏。
このアプリのおかげでおウチが水族館になりました。
私のお気に入りは、部屋の隅のほうにモンハナシャコを追い込んでいくミニゲーム(注1)です。
実際のモンハナシャコは、争いになるとたまにシャコパンチを繰り出すので要注意(注2)。
 注1:そんなミニゲームは付いていない。
 注2:シャコパンチは実話です。


■バッタ オブ・ザ・イヤー その2
『カゴから抜け出し、うちのベランダでいつの間にか成長していた、この間の公園のお子様バッタ』

「うわっ!ちょ、バッタが抜け出してベランダの朝顔に居るじゃん。めちゃデカくなってる。ビックリするから放し飼いにしないで~!」


■ディスクガイド オブ・ザ・イヤー
『オブスキュア・シティポップ・ディスクガイド』

2015年にサブスクリプションサービスが日本へ本格上陸したことによって、鮮烈な転覆感を味わうことになった人たち。
それは、かねてより中古盤屋に足繁く通い、ロックやポップスなどの旧譜作品を「ディグ」していたような皆さん。
「それまで熱心に集めて自室に秘匿していたはずの自身の『コレクション』が、サブスク導入後、あらかたのメジャー作品であれば誰もが簡便にアクセス可能な単なる『データ』に堕落してしまった・・・という空虚感」(前書きより)
ああ・・・分かるなぁ、言わんとする事。
音楽性としてはこの本が扱うジャンルは自分の趣味とはそぐわないんですが、それでも、これは同志の書と直感。
即、買いでした。


■紀行 オブ・ザ・イヤー
『開高健のパリ』

2020年は開高健の生誕90年でした。
もし、開高さんが存命なら、このパンデミックを、一体どんな言葉で語ったでしょうね。
この本は19年の冬に出たんですが、コロナ禍初期の20年春頃によく読んでました。
残念ながら、この騒動でヨーロッパもずいぶん遠くなっちゃったから。
モーリス・ユトリロの絵はパリを描きながら、人物の登場が極端に少なく、まさに2020年の世界を予期したかのよう。
(と言いつつ、ロックダウン解除と同時にセーヌ川沿いは人でいっぱいでしたが・・・笑)


■ホラー オブ・ザ・イヤー
『不在の家から119番、秋田市で多発』

これは、昨秋に秋田市で9件起こった奇妙な現象で。
消防に電話がかかってくるんだけど、隊員が呼びかけても応答がなく「ザー」とか「ガサガサ」という物音しかしないというもの。
無音119番として取り扱われ、何かが発生した前提で消防隊を出動させると、そこは空き家であったり、留守宅であったり。
誰かの悪戯かと思いきや、NTTによると「回線の不良が強く疑われる」との事。
過去に青森でも多発した時期があるんだって。
回線の不良で消防署に電話がかかる、まではどうにか理解するとしても、留守宅なのにガサガサ物音がすんのは何でなん?
Boku-Kowai-Yo。


■展覧会 オブ・ザ・イヤー
『ハマスホイとデンマークの絵画展@東京都美術館』

結局、2020年は3月以降どこの展覧会にも行けなかったので、1月、2月のわずか2ヶ月間から決めないといけない。
という訳で、2020年はコレしか行ってないので、なかば不戦勝ですが。
上野の東京都美術館で観た『ハマスホイとデンマーク絵画』展。
これはじんわりと良かった。
この時買った図録が、巣籠りが始まった後、コーヒー飲みながら見返すのにもぴったりマッチした。
どの絵もどこか少し寂しくってね・・・。


■ゴールド オブ・ザ・イヤー
『ニジイロクワガタ(オーストラリア産)』

ほとんど、「動く黄金」でした。
え、これ丸っこいけど、カブトムシじゃなくてクワガタなの?
それにしても、俺も変わりましたね。さっきから、バッタだのクワガタだの・・・。
と、思いきや、よく考えたら10年以上前からバッタ オブ・ザ・イヤーとかやってましたネ。


■買いもの モノ・オブ・ザ・イヤー
『スピーカーLEDランタン』

活躍しましたね、巣籠りにおいて。
ウチは狭い家にも関わらずバカでかいオーディオシステムがあるのですが。
結局、人間てボタン一個押しに機械の前に行くことさえ面倒くさくなっちゃいますね。
テーブルの上のランタンにBluetoothでiPhoneの音源やラジオを飛ばして聞くのが、昨年の我が家のささやかなブームでした。


■買い替え オブ・ザ・イヤー
『iPhone 12 Pro MAX』

なかなか海外に行けない世界になってしまったので、各地で撮ったお気に入りの写真をスマホの壁紙にして、自分を慰めております。(悲しい)
iPhoneを買い替えたんだけど、ディスク容量を最大にした結果、ハードウェア代だけで20万円ってのはさすがにやり過ぎかしら?とも思いましたが。
でも、問題はお金以上に「時間」ですよね。
スマホに時間を吸い取られないようにしないと・・・。
使ってるつもりで使われている、情報を得たつもりで時間を吸い取られてる、それがスマホの恐ろしさ。


■ソング オブ・ザ・イヤー
『TOPS - I Feel Alive』

2020年ほど、音楽に力を借りた1年もなかった。
トップスは2011年にデビューしたモントリオールの4人組インディー・ポップバンド。
70~80年代を彷彿とさせるシンセサイザー使いとジェーン・ペニーの独特なボーカルが魅力。
そんな彼らが、こんな直球ストライクなギター曲をリリースした事に本当に驚いた。
それも、コロナ禍に苦しんだ2020年にそのタイトルもズバリ「I Feel Alive」!
ジェーンの伸びやかなボーカルが素晴らしい。
そして、このビージーズを彷彿とさせる古めかしいPV。メンバーも笑いながら撮ったと思う(笑)


■ソング オブ・ザ・イヤー(もういっちょ)
『Wrong Year / The Decemberists』
The Decemberists performing "Wrong Year" Live on KCRW

もう1曲。
ディセンバリスツは2000年結成の米ポートランドのインディー・ロックバンド。
フォークやカントリーの影響も見られる音作りが特徴。
この曲は2015年のアルバム『What a Terrible World, What a beautiful World』からの先行リリース曲なんで、リリースからだいぶ時間経ってますが。
まあ、シングルといい、アルバムといい、コレほど2020年に相応しいタイトルもないでしょうね。


■カヴァーソング オブ・ザ・イヤー
『A面で恋をして/ 原田 知世』
原田知世 - 「A面で恋をして」

原田知世ほど幸運な歌い手も珍しい。
10月にリリースされた通算3枚目のカヴァーアルバム、『恋愛小説3』から。
大瀧詠一さんも、この出来ばえならば天国でご満悦であろう。
だって、こんだけ素敵に「あ、ヘイ、あ、ヘイ、あ、ヘイ、イエイ♪」とは歌える人、他に居てますかー?
(シーナ&ロケッツのユー・メイ・ドリームのカヴァーもとても良かった)


■追いつかない オブ・ザ・イヤー
『禍中日記』

開店休業状態にあった当ブログ。
吉行淳之介編の『酒中日記』に触発され、『渦中日記』ってのを始めたんですが。
えーっと、どこまで進んだかな。
うあ、まだ去年のゴールデンウイークかぁ。
これはもう現実の時間に追いつかないなぁ。
そんで我ながら相変わらず、飽きっぽいなぁ・・・。


■バッタ オブ・ザ・イヤー その3
『うちのベランダでいつの間にか結婚していた、この間の公園のお子様バッタ』

「うわっ!ちょ、朝顔を食べて更にデカくなってる。しかもいつの間にか"つがい"やん!!」
おめでとう。ところで、君たち、実はオンブバッタだったのね・・・。


++++

2020年、どこにも行かなかったワリに、意外と書くことありましたね。
海外に行けないどころか、飲みにもいけない。
ブログの内容も自ずと変わった。

あまりに奇妙な一年。
何をしていたか?
私は、ただひたすら仕事をしてました。

2011年の原発事故の際にも感じたんだけど、いかに大きな出来後であっても、人の感じ方は千差万別。
特に今回は不可逆性についての考え方が人それぞれだった。
要するに数年経てば世の中は今までどおりにキレイさっぱり戻ると思ってる人と、コロナ以前と以後で世界は完全に変わってしまったと思ってる人に分かれたように思う。
この考えが合わないと、なかなか足並みが揃わない。
仕事で、たまたま色んな方針を決める部署に居たもんで、そこはちょっとまとめるのに苦労したかな。

そんな世の中でも、楽しい事の欠片ってのは目をこらせばそこら中に散らばっている。
この記事はそんな記録と記憶。
現実に向き合いながら、それでも、ちょっとオモロイなってことを沢山拾い上げて暮らしたいと思う。

広大なネットの海で。
その隅っこにある無人島のようなブログにたどり着き、この文章を読んでいるあなたも、健康であれば良いなと思います。

おしまい。

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