『夜間飛行』

また靴を履いて出かけるのは何故だろう
未開の地なんて、もう何処にもないのに

禍中日記 その3

2020-09-05 | Life(日常):書いとかないと、忘れちゃう

■某月某日『バレルから僕へ』

まあ、酒量は減ってるね、家の外で一切飲まないんだから。

ニッカのWhisky from the Barrel。

折からの国産ウイスキーブームで一昨年くらいは流通がすごく減ってた気がするけど、今は普通にあるみたい。

コレを生(き)でゴクゴクいって「タハッ、おもちろい!」とか言ってると、じきぶっ倒れます。

モルト原酒とグレン原酒のブレンデットなんですが、瓶詰する時の割水をだいぶ抑えてて、そのアルコール分たるや51%ですからぁ。

ストレートだと、喉を通すときボッと火が付きます。

(明日も仕事でなければ、本当はストレートこそが美味い)


小生は普段ブレンデットは飲まないんだけど、From the Barrelは別です。

1985年の発売以来変わらぬ、佐藤卓デザインのこの四角くてボッテリしたボトルが好きでね。


■某月某日『Wendy/ Out Of My Hair』


アウト・オブ・マイ・ヘアーは90年代のブリットポップ・ブームの頃に一世を風靡したバンド。

バンドを率いるコンフォートの見た目が、まんまマーク・ボランだった事でも有名でした。

代表曲は『Mr Jones』なんですが、小生は『Wendy』が好きで、この頃よく聴いている。

思えば、こういうコード進行の曲を聴き続けた半生であったなぁ。

ちょっと聴いてみる?

Wendy / Out Of My Hair


まあ、夜間飛行さんってばこんな曲聴いてロマンティストね。

そうだよ、知らなかったのかい、フフフ。

ちなみに、Out of one's hair は髪に触らない、転じて「邪魔しない」という意味。

Get out of my hair! というと「放っておいてくれ!」みたいなニュアンスになります。


■某月某日『今宵、バウアー・ローバックで』

アップ過ぎてなんの写真かわからんと思いますが、英国の老舗ミル、Bower Roebuckの生地を使ってスーツを仕立てました。

ロンドンに住んでた時から、ここの生地でスーツを作りたいなーと思っとりまして。

Bower Roebuckは毛織物のメッカ、ハダーズ・フィールドが拠点で、その歴史は16世紀にまで遡ります。

まだ、ちょっと肌寒いので暖かいヤツをつくりたいなと。(この日記のライムラグも、まあ、すげーな・・・、早く書けよ)


冬物スーツの生地は大きく分けて「フランネル」「サキソニー」「メルトン」「ツイード」などがありますが、ちょっと歳とってきて、このところは柔らかいサキソニー一辺倒になっちゃってて。

我ながらちょっとナマッてきてるかな、という訳でフランネルにしました、久々に。

フランネルは紡毛糸(ぼうもうし:太くて短い毛)に縮充(しゅくじゅう)処理を施して作られます。

織った生地を水で揉んで、絡んだ糸が縮むことでぶ厚くなる。

これを起毛加工したものがフランネル。


あ、これちょっと重くて、袖を通すと背筋がピリッとしていいなぁ。

小生はその昔(10年くらい前)、デスクに座っている姿勢が悪すぎてゲッチに注意された事があるのだった。

「イイ男が台無しだぞ」と。

うーむ、出来る女は叱り方もウマいなぁ。


と言いつつ、本当はもう1着カノニコ社(イタリア北部ビエラにある世界最古のミル)のサキソニー生地で、柔らかくて気持ちのいいスーツも作ったのであった。

だってあんまし重いスーツばかりだと疲れちゃうんだもーん。


書かなくて良い気もしますが、念のため書いときますと。

これ、お洒落自慢がしたい訳でも(実際、俺はファッションと縁遠いダサ坊です)、お金を持ってる自慢がしたい訳でも(「金なら返せん!」by 大川総裁)ありません。

現在の自分が思いっきりコロナの影響下にあることはさすがに認めるけど、支配はされたくない。

この、背広というものが完全に不要になった世の中で、わざわざ本場英国の伝統的な生地でスーツを仕立てるってのは、なんて言うか、小生のスタンスの表明みたいなもんです。


いつか工夫して会社に行くし(やっぱオフィスは楽しいから)、

今後も楽しい事は諦めない(しばらく飲みには行かないけど)。

負けへんで。


■某月某日『Do Me/ Teddy Pendergrass』

志村けんが亡くなった。(いや、もうタイムラグ)

悲しいことだ。

小生の幼少期、志村けんは既に日本の喜劇王だったが、反骨心というか、怖さを感じさせる瞬間もあった。

子どもはそういうものを敏感に感じとる。

荒井注のドリフ脱退をうけて付き人からメンバーに加わり、末席から見事スターに成りあがったという経緯もふまえ、志村は少しパンクな存在だった。

彼らが5人並んで立つとき、センターは必ずリーダーであり強力なワンマン体制を敷いていたいかりや長介で、志村は完全にワン・オブ・ゼムとして脇に立っていた。

その姿が、やはりドリフの出自はバンドなんだな、という感じでクールだった。

ジャズバンドにスタープレイヤーが居ても、仕切るのはあくまでバンマスだ。

Teddy Pendergrass - Do Me (Live in 1979)


小生はヒゲダンスの曲(「ヒゲ」のテーマ)の元ネタである、テディ・ペンダーグラスの『Do Me』がとても好きだ。

子どもにも「パパ、またこの曲聴いてる」と言われる。

まず、ドリフがヒゲダンスに持って行ったこのベースライン。(当時はまだ著作権の概念が緩かった。特に国境をまたいだ場合には)

このリフに、勝手に腰が動かぬと言ったらウソになるだろう。

テディのファンキーなボーカルとホーンが絡んでいって。

ダンスホールの華やかさが香るのに、聴き終わるとなぜだかちょっと切ない。


■某月某日『具体と抽象/ 細谷功』

人間とその他の動物の差は抽象的思考を獲得したことにある。

そして、我々の頭は本来、具体的思考と抽象的思考を自由に行き来する。

そんなの当たり前じゃんと思う。

思うのに、なぜ、ワタシとアナタ、彼氏と彼女、そして部長と課長の会話はこうもすれ違うのだろう。


「長年の伝統は守るべし」

「いや、変化しないものは生き残れない」

あれ、どっちも正しくね?


「リーダーたるものブレてはいけない」

「リーダーは臨機応変に対応すべし」

あれれ、いや、どっちもYESよね?


「お二人さん、抽象度のレベルを合わせて離さないと、議論が永遠に続いちゃいますよ」というのが本書の指摘。

伝統もリーダーの意見も、そりゃまあ、簡単に変えない方がいいけど。

でも、それって哲学とか基本方針みたいな高次の話(抽象度の高い話)であって、実現させる方法論は時と場合で変わるよね、というのがポイント。

そして冷静な筆致で綴る分析のなかに、今日の具体性重視が行き過ぎた社会への筆者の苛立ちが僅かににじむ。

その匙加減が本書の魅力でもある。


■某月某日『ドーナッツとビール』

わっしょーい!

奥さんがドーナッツ焼いてくれた。

今日は休みだから昼からビールといっちゃうもんね。

このおまけの丸いやつもサーターアンダギーみたいでかわゆいなぁ。


禍中日記 その4に続く>

・禍中日記 その1
・禍中日記 その2
・禍中日記 その3
・禍中日記 その4
・禍中日記 その5
・禍中日記 その6

----(熱帯雨林でお買い物)-----

 

 

 

 

 

 

 


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