Team Land Cruiser TOYOTA AUTO BODYのブログ

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ダカールラリー7連覇の振り返り Part2

2020-05-11 17:46:03 | 活動情報

皆さん、こんにちは。

TLC監督の角谷です。

 

まだまだ自粛ムードが続いてますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?

今日は、前回に引き続き7連覇を振り返ってみたいと思います。(4~5連覇)

 

まずは、監督3年目のダカールラリー2017パラグアイ・ボリビア・アルゼンチン大会。

前年の大会を教訓に、チーム体制を更に強化し挑んだ大会。

 

また南米に移って初めてパラグアイが開催国として加わったこともあり、準備も大変でした。

 

結果は、この大会から参戦となった327号車のラヴィエルDR/ギャルサンNV組が、一度も1位

の座から降りる事なく、完璧なリザルトで優勝!332号車の三浦DR/ローランNV組も終始2位

をキープ、ワンツーフィニッシュで市販車部門4連覇を達成しました。

 

実は、結果の順位には2つあり、毎日のステージ(SS)タイムを加算して出る累計の順位と、

各ステージごとの順位があります。

 

327号車は、この累計順位がずっと1位でしたが、全てのステージで1位を獲ったわけではありません。

なんとドライバー転向2年目の332号車(三浦DR/ローランNV)は、本気のプロコンビ(327号車)に、

この大会で2度もステージ1位を奪取する成長をみせてくれました。 

 

初めてステージ1位を獲った時、戻ってきた三浦DRにそのことを伝えると、嬉しそうな顔を

していたのを覚えてます。

 

また、この大会では、豪雨により土砂崩れが発生し、道路が寸断され次のビバーク地へ行く

ことができなくなりました。主催者は急遽、臨時のビバークを設営し、次の日も競技はキャンセル。

 

迂回してその次のビバーク地へ向かうこととなりました。メンバー全員が揃うのに丸2日もかかりました。

※この時は、周辺地域も含め通信環境が崩壊していて、メンバーと連絡が全く取れず、情報収集がとても

 難しかったです。

        

 

本気のプロから2勝した三浦DR/ローランNVの成長と、どんな状況でもスタートまでにクルマ

を完璧に仕上げるメカニック陣のタフさを再認識できた大会でした。

 

 

ここで少し、ラヴィエルDR/ギャルサンNVについて触れたい思います。

 

二人は、TLCに加入して初めてのダカールラリー。

大会初日はプレッシャーもかかるので、少しでもリラックスしてもらおうと、通訳を通して

声をかけましたが特に普段と変わらない様子。

 

緊張しているわけでも、気合が入っているわけでもなく。

あまりにも普段通りなので、この大会の大事さがわかっていないのか?と、こちらが不安になったくらい。

 

二日目以降も声をかけるがずっと変わらない。町に買い物にでも出かけるのか?というくらいの雰囲気。

 

さすがに4連覇が決まる最終日、最後まで気を抜かずに頼むぞ!と気合を注入しようとしましたがまたも変わらず。

ひとこと言われたのは、今日の最終ステージ、ゴールがビバークの直ぐ横だから観に来るといいよ!とだけでした。

 

結局、スタート初日からゴールの最終日まで、テンション変わらず終わってみれば優勝。

しかも全ステージ累積順位でずっと1位、完璧なリザルトでした。

高い次元の事を当たり前のように成し遂げるところに、一流であることを強く感じました。

※反応が普通といっても無愛想という意味では無いです。普段からジョークもイタズラも大好きなフランス人です。

 

そして、恒例となっている標高の高いボリビアでの生活ですが、この時もやられました。

疲労も溜まり、ボリビアでも何とか眠れるようになりましたが、眠ると→呼吸が浅くなり

→酸素を取り込む量が減り→酸欠のような状態となる→頭痛が発生→頭が痛くて起きる

→でもやっぱり疲れて眠る→呼吸が浅くなる→酸欠で頭痛・・・。

 

これが、時間でいうと30分ごとに起きる感じで、これはこれで地獄でした。

全く疲れは取れなかったです。

 

ビバークの標高が富士山の山頂くらいなので、食べ物の袋はパンパン。

お湯の沸点も下がるので、3分のカップラーメンは5分くらい待たないと、バリカタでした。

 

 

長くなりましたが、次は就任4年目ダカールラリー2018 ペルー・ボリビア・アルゼンチン大会。

ダカールラリー40周年の記念大会でもあり15日間にも及ぶ期間を戦い抜きました。

 

またラリー車もマイナーチャンジ後(現在の生産モデル)の顔に変わり、チームカラーとマッチして

より精悍な顔つきとなりました。

  ←18ダカール仕様

 ←17ダカール仕様

 

我々はペルーが開催国として入った大会では一度も優勝したことが無く、主催者が開催国を

リリースしたときから、ペルーで絶対優勝する!という強い思いで大会に挑みました。

 

ペルーの難しさは、アンデス山脈に張り付いている砂丘群。平面にある砂丘でも難しいのに、

それがアンデス山脈の急斜面にあるので非常に走行難易度が上がります。

 

例年以上に砂丘対策を実施し挑んだ大会でしたが、まさかのNo.328(ラヴィエルDR/ギャルサンNV)

が大会4日目で早々にリタイア。

 

エンジンルーム内で破損した部品が、運悪くラジエターにヒットし冷却水が漏れました。

水温計の異常にいち早く気づいたラヴィエルDRとギャルサンNVでしたが、応急処置を施しても、

冷却水の漏れを止める事ができず、無念のリタイアとなりました。

 

監督就任して、私は初めてダカールラリーでリタイアを経験しました。

その日の夜に、三浦DRには

『ここ正念場だよ、ここで結果(初優勝)を出す出せないであなたの人生変わるよ』と伝えました。

 

今思うと、監督という立場で言ったのではなく、仲間としての想いで言ったような気がします。

競技は違いますが、私もハンドボールという世界で、様々な人と出会ってその中で結果を出す人、

出せなかった人をたくさん見てきました。

その時に感じていた感覚が、この時の発言に繋がったと思います。

 

後々冷静に考えると、プレッシャーをかけただけだかも・・・と反省することもありましたが、

伝えて良かったと思ってます。

 

とにかく大会序盤で1台体制になってしまい、非常にプレッシャーのかかる日々を全員が過ごしたことは間違いないです。

残り4ステージくらいからは、毎晩クルマが帰って来たら、優勝したかのように皆で喜んで、メカニック陣はクルマを修理

してくれました。

 

実は、走行不能(リタイア)となったラリー車は、当日の全ての競技車両が終了してからしか

回収に行くことができません。(安全上の理由)

当然夜遅くに出発となり、競技エリアの中にラリー車は停まっているため、助けに行くアシスタントカー

とメカニックも、非常に険しいコースを走行してそこに辿り着かなければいけません。

 

ですがこの時、運悪く停まっているエリアがとても険しいエリアだった為、数 km 離れた場所までしか

アシスタントカーでは到着することができませんでした。

 

そこでメカニックがとった行動は、必要工具と交換部品トータル10kg以上を背負って、真っ暗闇の砂丘を歩いて

クルマまで辿り着きました。

 

そのあとも、暗闇の中で作業し、クルマを修理して自走できるようにして、無事に戻ってきてくれました。

この時、担当してくれたメカニックは「ニコラ・パティ」と「パスカル・ブロア」の二人。

 ←ニコラ・パティ

 ←パスカル・ブロア

 

ビバークに戻った二人には、本当に感謝の気持ちしかなく、ありがとう!と伝えると、返ってきた言葉は

「It’s normal」と「My job」でした。

こういう方たちと一緒にダカールを戦えること、本当に誇りに思いました。

 

また長くなりすみません。どうしても伝えたかった話だったので。

 

結果は、市販車部門5連覇達成!三浦DR/ローランNV組の記念すべき初優勝とチームを支えてくれている

メンバーの凄さを感じた大会となりました。

 

最後まで観ていただきありがとうございます。 次回に続きます。

 

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