これまでのエントリーで述べてきたように、障害者をあえて自立させないパラドックスを克服し「福祉+事業」を推進していくことは、だれにとってももっともっと働きやすい職場、生き甲斐を感じられる職場、そして地域社会、日本へと変えるきっかけになると思う。
そのために私たちはどこから手をつけていけばよいのだろうか。
まず自分たちの足許から出来ることを始めることであろう。
そして障害者就労を支援する立場の人が、まずおこなうべきことは自分の所属する組織の見直しであろう。
あなたの組織(会社)は1.8%の法定雇用率をクリアしているだろうか。
どんな人たちが働いているだろう。
みんな活き活きと働いているだろうか?
もっと得意な人に任せたほうがいい仕事はないか?
飛び抜けてユニークな人たちが活躍できる仕事はないだろうか?
私の勤務している安曇総合病院でも、そういった問題意識から昨年より精神科部門のスタッフや人事課職員などが中心となって病院長の肝いりで「就労支援室」を立ち上げ障害者の雇用支援事業を積極的におこなっていくことになった。
当院はJA長野厚生連の病院(農協の病院)でもあるから、これまで農業への精神障害者の就労支援などをおこなってきた。
しかしまずは病院内で障害者とシェアできる安定した仕事はないだろうかと考えていたところ、たまたま食器洗浄の仕事がみつかり、ここを手始めに精神障害者と支援者でシェアしていくことになった。
このとりあえずやってみるというノリとフットワークの軽さがいい病院だと思う。
しかし、これまで精神ディケアを利用していた方も職員として働くことになるからディケアの収入は減る。
地域の作業所も作業能力の高い障がい者は作業所の働き手として、施設が手放したがらず、あえて自立させないということもよくある話。
この辺がまさに障害者をあえて自立させないパラドックスである。
障害者雇用支援の取り組みとあわせて職員のメンタルヘルス(職場環境)の向上への取り組みをおこなうことに。
だれもがイヤイヤやる仕事(Labor)ではなく、すすんでそれぞれのMissionを使命感に燃えて楽しくやる仕事(Work)できる働く環境づくりだ。
ES(Employee Satisfaction・従業員満足)なくしてCS(Customer Satisfaction・顧客満足)なし。
目指すのはDecent Workだ。
さっそくいろいろ問題点も見えてくる。
制度上も週20時間を越える雇用ではないと法定雇用率の算定人数にはならないそうだ。
これでは、まず数時間からはじめるなどというフレキシブルな対応がやりにくい。
しかし3ヶ月間のトライアル雇用という制度は使えそうだ。
外部からは「障害者をつかって安くあげているんだろう」などとうがった見方をする人もいるかもしれない。
見えにくい障害である精神障害をかかえながら、就労をしてはうまくいかないことを繰り返している人もたくさんいる。
対象となるのはアルコール依存症から回復を目指す方や統合失調症慢性期の方、気分障害の方、高次脳機能障害の方、発達障害の方などで失敗を繰り返し自信を失った人たちだ。
それぞれの人で抱える障害、困難さは違う。
病院であるから障害特性への配慮や働き方などへはきめ細かくおこなえる利点はあるのだろうが、支援者や一緒にはたらく同僚にとってもノウハウは乏しく手探りの状態であるから大変な苦労が予想される。
病院のパートとしての採用で最低賃金ではあるが、彼らがやがて働けるという自信とカスタマイズされた工夫を得て他の仕事にも挑戦していけるようになっていくことも目的である。
もっともそれだけの賃金では生活していくことは困難であるから、ほとんどの人が障害年金を受給して生活している人である。
このようにして約3人分の仕事を10人以上の精神障害者と支援者でワークシェアリングをおこなう。
こういった事業がすすむことで我々も一人一人、長所や短所があり能力特性が違うという理解もすすむに違いない。
今後も病院内でさらに仕事を開拓し、スタッフのユニフォームの洗濯場や食堂などにも障害者雇用の場をひろげていく方針である。
しかし病院だけで仕事を探しシェアしていくのでは早晩行き詰まるだろう。働きたいけれども仕事がない人は沢山いるのだ。
結局は社会全体でも仕事をシェアしなければならない。
そしてそれは地域づくり社会づくりなのだということに突き当たるのだとおもう。
やっと動き始めた「就労支援室」。
生きるのに苦労している人と地域社会をつなぐ社会的事業に育てていきたいものだ。
事務長すてきです。なかなかの名文。
参考エントリー
ねば塾・年商1億5000万円の作業所
まずは病院が社会的企業でなくては
医・職・食・住・友・遊
そのために私たちはどこから手をつけていけばよいのだろうか。
まず自分たちの足許から出来ることを始めることであろう。
そして障害者就労を支援する立場の人が、まずおこなうべきことは自分の所属する組織の見直しであろう。
あなたの組織(会社)は1.8%の法定雇用率をクリアしているだろうか。
どんな人たちが働いているだろう。
みんな活き活きと働いているだろうか?
もっと得意な人に任せたほうがいい仕事はないか?
飛び抜けてユニークな人たちが活躍できる仕事はないだろうか?
私の勤務している安曇総合病院でも、そういった問題意識から昨年より精神科部門のスタッフや人事課職員などが中心となって病院長の肝いりで「就労支援室」を立ち上げ障害者の雇用支援事業を積極的におこなっていくことになった。
当院はJA長野厚生連の病院(農協の病院)でもあるから、これまで農業への精神障害者の就労支援などをおこなってきた。
しかしまずは病院内で障害者とシェアできる安定した仕事はないだろうかと考えていたところ、たまたま食器洗浄の仕事がみつかり、ここを手始めに精神障害者と支援者でシェアしていくことになった。
このとりあえずやってみるというノリとフットワークの軽さがいい病院だと思う。
しかし、これまで精神ディケアを利用していた方も職員として働くことになるからディケアの収入は減る。
地域の作業所も作業能力の高い障がい者は作業所の働き手として、施設が手放したがらず、あえて自立させないということもよくある話。
この辺がまさに障害者をあえて自立させないパラドックスである。
障害者雇用支援の取り組みとあわせて職員のメンタルヘルス(職場環境)の向上への取り組みをおこなうことに。
だれもがイヤイヤやる仕事(Labor)ではなく、すすんでそれぞれのMissionを使命感に燃えて楽しくやる仕事(Work)できる働く環境づくりだ。
ES(Employee Satisfaction・従業員満足)なくしてCS(Customer Satisfaction・顧客満足)なし。
目指すのはDecent Workだ。
さっそくいろいろ問題点も見えてくる。
制度上も週20時間を越える雇用ではないと法定雇用率の算定人数にはならないそうだ。
これでは、まず数時間からはじめるなどというフレキシブルな対応がやりにくい。
しかし3ヶ月間のトライアル雇用という制度は使えそうだ。
外部からは「障害者をつかって安くあげているんだろう」などとうがった見方をする人もいるかもしれない。
見えにくい障害である精神障害をかかえながら、就労をしてはうまくいかないことを繰り返している人もたくさんいる。
対象となるのはアルコール依存症から回復を目指す方や統合失調症慢性期の方、気分障害の方、高次脳機能障害の方、発達障害の方などで失敗を繰り返し自信を失った人たちだ。
それぞれの人で抱える障害、困難さは違う。
病院であるから障害特性への配慮や働き方などへはきめ細かくおこなえる利点はあるのだろうが、支援者や一緒にはたらく同僚にとってもノウハウは乏しく手探りの状態であるから大変な苦労が予想される。
病院のパートとしての採用で最低賃金ではあるが、彼らがやがて働けるという自信とカスタマイズされた工夫を得て他の仕事にも挑戦していけるようになっていくことも目的である。
もっともそれだけの賃金では生活していくことは困難であるから、ほとんどの人が障害年金を受給して生活している人である。
このようにして約3人分の仕事を10人以上の精神障害者と支援者でワークシェアリングをおこなう。
こういった事業がすすむことで我々も一人一人、長所や短所があり能力特性が違うという理解もすすむに違いない。
今後も病院内でさらに仕事を開拓し、スタッフのユニフォームの洗濯場や食堂などにも障害者雇用の場をひろげていく方針である。
しかし病院だけで仕事を探しシェアしていくのでは早晩行き詰まるだろう。働きたいけれども仕事がない人は沢山いるのだ。
結局は社会全体でも仕事をシェアしなければならない。
そしてそれは地域づくり社会づくりなのだということに突き当たるのだとおもう。
やっと動き始めた「就労支援室」。
生きるのに苦労している人と地域社会をつなぐ社会的事業に育てていきたいものだ。
事務長すてきです。なかなかの名文。
参考エントリー
ねば塾・年商1億5000万円の作業所
まずは病院が社会的企業でなくては
医・職・食・住・友・遊
Twitterいつも読んでいます。
病院をあげての就労支援って素敵ですね。
障害者の雇用が地域で広がっていくといいですね。