見出し画像

時の関守

先輩の生と死(1) 亡き人が、今、生きる

私のところに一時、居ることになった方が、今日、新しいアパートに移ることになりました。
半年ほど住んで、次また移る予定ですが、新たな出発に立ち会うというものは、気持ちが浮き立つものです。

「さみしくない?」
「いいえ、ずっと一人でしたので、大丈夫です。」
彼女がうちに来た当時、一日中死ぬことだけを考えてます、という言葉にぎょっとしてましたので、これくらいでは私も驚かなくなりました。

私が若い頃、ある職場に短期間だけいることになりました。
部署は違ったのですが、将棋好きの先輩がいて、私も将棋が好きでしたので、親しくなりました。

一年ほど経ったある日、私の部屋に先輩が一升瓶を持って訪れたのです。
酒など飲まない先輩が、珍しいこともあるもんだなぁと、不思議な気もしなくもありませんでした。
当時私は、寮のようなところで、友人と相部屋でしたが、(その友人も酒は一滴ものみません)私もたしなむ程度、おかしな酒宴でした。

先輩は普段、静かでおとなしめ、饒舌にしゃべるようなタイプではありませんでしたが、そのときは酒に酔い、ひょうきんな踊りを披露し、大盛り上がり。
友人もちょっとした宴会芸を披露し、私は芸なしでしたが、親しいものだけの、気がねなしの宴とは楽しいものです。

数日後、職場の上司が、私が出勤するのを待っていたように、「君は○○君と、親しかったみたいだけど、何か聞いてなかったかね。」
「自殺したそうだ。」
「鉄道自殺だそうだ。」
まったく予想もしていなかったことに、私は呆然としていました。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日記」カテゴリーもっと見る