たまに話をする職場の学生がいて、一緒に参列したいとのことですので、同行しました。
その途中のことです。
その学生は、言いにくそうに話しだしました。
「僕たち学生は、Aさんにそそのかされて、昼食のとき、○○さんのごはんのなかに、漬物をわからないようにつめたり、いたずらをしていました。」
「正直、そうやって楽しんでいました。」
とのことです。
私たちが参列したあと、先輩の親戚のかたらしき人が、私たちが同じ職場だと気づいたのでしょうか、話しかけてきました。
「何があったのかね。教えてくれないかね。」
と、聞かれました。
へたに隠しても、納得するとは思えませんでしたので、いじめがあったことを伝えました。
憎むべきは学生を操って、卑劣ないやがらせを繰り返した、Aです。
それから少ししてからのことです。
Aは私が何も知らないとでも思っていたのでしょうか、私に、先輩のことを、
「○○はいくじがないよなぁ。」
と言ったのです。
私は一瞬、はらわたが煮えくり返り、
「お前が殺したんだろ。」
と、叫びそうになりました。
が、そう叫んでも先輩が帰ってくるわけではありません。
ただ、黙っておりました。
今、Aを責める気持ちはありません。
責めるには時がたちすぎています。
また、Aの行動がすべての原因とは思っておりません。
先輩は絶望したのだと思います。
また、ここでも、いじめをうけるのかと…。
でも、今、先輩がこう言っている気がするのです。
「このことを、世にだしてくれないか。」
「そして、それがだれかの記憶の一片にでも残ったとき、俺が生きたといえるんだ。」
これらの文章は、あっという間に書きました。
まるで、先輩が私の手に、その手を添えて書いてくれたかのように…。