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時の関守

先輩の生と死(2) 亡き人が、今、生きる

真相がわかったのは、お葬式に参列したときのことでした。
たまに話をする職場の学生がいて、一緒に参列したいとのことですので、同行しました。

その途中のことです。
その学生は、言いにくそうに話しだしました。
「僕たち学生は、Aさんにそそのかされて、昼食のとき、○○さんのごはんのなかに、漬物をわからないようにつめたり、いたずらをしていました。」
「正直、そうやって楽しんでいました。」
とのことです。

私たちが参列したあと、先輩の親戚のかたらしき人が、私たちが同じ職場だと気づいたのでしょうか、話しかけてきました。
「何があったのかね。教えてくれないかね。」
と、聞かれました。
へたに隠しても、納得するとは思えませんでしたので、いじめがあったことを伝えました。

憎むべきは学生を操って、卑劣ないやがらせを繰り返した、Aです。
それから少ししてからのことです。
Aは私が何も知らないとでも思っていたのでしょうか、私に、先輩のことを、
「○○はいくじがないよなぁ。」
と言ったのです。
私は一瞬、はらわたが煮えくり返り、
「お前が殺したんだろ。」
と、叫びそうになりました。
が、そう叫んでも先輩が帰ってくるわけではありません。
ただ、黙っておりました。

今、Aを責める気持ちはありません。
責めるには時がたちすぎています。
また、Aの行動がすべての原因とは思っておりません。
先輩は絶望したのだと思います。
また、ここでも、いじめをうけるのかと…。

でも、今、先輩がこう言っている気がするのです。
「このことを、世にだしてくれないか。」
「そして、それがだれかの記憶の一片にでも残ったとき、俺が生きたといえるんだ。

これらの文章は、あっという間に書きました。
まるで、先輩が私の手に、その手を添えて書いてくれたかのように…。

コメント一覧

tokinosekimori-kitaiwahara
@1948219suisen だいぶ昔のことですし、暗い話しですし、どうかなぁと思っていたのですが、読んでいただきありがとうございます。
先輩がそれを望んでいる気がして、投稿しました。
書いているあいだ、亡き人と会話した感じで、そのことが喜びとなりました。
1948219suisen
私も虐めは殺人だと思います。これはされた者でないとわからない実感です。見て見ぬふりをしている人達も同罪ですね。

私も、こういうふうに記事にされたことが供養になっていると思います。
tokinosekimori-kitaiwahara
@naotomo3451 私がもし先輩の亡くなるまえに、このことに関わることができたとしても、
「子供(学生)のたわいもないいたずらじゃないか。目くじらたてないでよ。」
と言われていたら、何もできなかったと思います。
ですから、私のような経験は貴重だと思います。
どんなに些細なことでも、人の尊厳を踏みにじることは殺人であること。
いじめに関しては妥協するつもりはありません。
Aがしたことは罪に問われることはありません。
でも、A自身が、誰よりも自分自身
の深いものが、その罪を問い続けることになるでしょう。
書き始めると熱くなってしまいました。
長文ですいません。
naotomo3451
亡くなれた方、本当にお気の毒でした。何でいじめなんてするのでしょうか。いじめに加わった人は罪に問われてもよいと思います。本当に残念でした。ただ思い出して文章に残す事で、きっとご供養になっていると思います。 なおとも
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