tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

路上で「時計さしあげます」という謎の男

2013-08-26 23:57:59 | 今日の出来事
夜、最寄り駅からの帰り道。

後ろから来た車が僕の近くで止まり、男が窓から顔を出して「すみません」と声をかけてきた。
大方、道でも訊きたいんだろうと思い、振り返る。
前にも書いたが、僕は「道を訊かれがちな」人種である)。

車は結構僕の後ろの方にいるので、僕に用があるなら僕の真横まで車を前に出せばいいものを、
動こうとしない。この時点で少しイラッとする。
わざわざ僕の方から近寄ってやる必要もないと思い、距離を保ったまま、
「何か?」という表情で相手を見返す。
モゴモゴ…。男は何か言うが、よく聞こえない。
「えっ?」と聞き返す。
聞き返しているんだから、言い直すにも少し声を張ればいいものを、同じ声量で繰り返す。
(この時点でさらにイラッとする)
「道を訊きたいわけではないんですけど…」
と言って男は、化粧箱をパカッと開いて、
(気づいたら出てたんだよな、これが。前もって手に持っていたんだろう)
中のシルバーのペアウォッチを見せる。
「これ、余ってしまったんですけど、会社に持って帰れないんで、よかったらさしあげます」

…「瞬殺」、というのが僕の反応だった。

つまり、男に何も尋ね返すこともなく、「要りません」と断りを入れることすらなく、
ただ黙って踵を返して歩き出したのだ。問答無用、即座にシャットアウト。
もはや「反応」というより「反射」だな。考えるより先に体が動き出したもん。

車は発進し、僕を追い抜いていった。
そのまま歩き続けていくと、男は今度はママチャリのおばちゃんを路肩に寄せて話しかけていた。
僕は歩みを止めずに通り過ぎたので、その後どのような展開があったのかは知らない。

…なんなんだよ、見知らぬ他人に「時計あげます」って。胡散臭さ満載だな。
本当に誰かに役立てて欲しいのなら、「タイガーマスク」にでもなって、福祉施設に置いてくればいい。
わざわざ車を走らせ受け取ってくれる人を探し回るという行動の意味がわからない。
「会社に持って帰れない」という理屈も全く意味不明。

で、帰宅後、「時計あげます 車」と検索してみると、
ネットというのはまあ、実に便利な“集合知”だねえ。
僕と同じ目に遭った人の体験談が続々ヒットし、そいつの正体がたちどころに浮き彫りになるわけだ。

「時計あげます詐欺」というのがそれ。
「(発注ミスなどの理由により)時計が余ってしまったが、会社に持って帰ると怒られるのであげます」
と車の中から声をかけられる。
もらいますと言うと、「かわりに飲み代をカンパしてください」といって1万円ほど請求されるらしい。
時計が二束三文の価値しかない代物であることは言うまでもない。

ちなみに
・足立ナンバーの白いセダン
・30代くらいの坊主頭、ヒゲ、小太り、メガネの男
という書き込み情報も僕と全く同じだった。
巷で流行っている詐欺というわけではなくて、このひとりの男があちこちで頑張っているのか。

しかし、我ながら実に瞬時に鮮やかなる“黙殺”を繰り出せた。
自分の反射神経も捨てたもんじゃない。

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