新宿、損保ジャパン東郷青児美術館「クインテット-五つ星の作家たち」展。
受付を抜け、展示室に入る自動ドアが開くと、傍らの椅子に座っていた老年女性の監視員が
倒れ込まんばかりに豪快に頭を傾がせて眠りこけており、ドアの開いた音ではっと目覚めたようだった。
絵を眺めていると、やがてその監視員の交代要員の別の老年女性がやって来たが、
2人は、「暖かくて…」とか、膝掛けがいるとかいらないとか、
静まり返った室内で、大して声を落とそうともせずに言葉を交わすのだった。
「お喋りは控えて」の旨のサイン看板は入口に出ているのだが。
ずいぶんプロフェッショナルな意識に乏しい職員だが、ボランティアなのだろうか。
あれで金を貰っているのだとしたら、ずいぶんお気楽な商売だ。
「損保ジャパン退職者の優雅な再雇用」とでもいったところか。
昨日も別の美術館に行った。
東京ステーションギャラリー「プライベート・ユートピア ここだけの場所」。
ある展示コーナーに入ろうとすると、老年男性の監視員にトントンと肩を叩かれた。
映像の展示なので、傍らにあるヘッドホンを使って下さい、という趣旨のようだが(彼は終始無言なのだ)、
正直、その「肩の叩き方」が不快だった。
「大人が幼い子どもを呼び止める時の叩き方」とでも言うのかな。
言葉で表わすとすれば「ねえ、ねえ」とか「君、君」とでもいうような感じの。
少なくとも、ホテルならホテルマンが、デパートなら店員が、
客を呼び止める時にああいうやり方はしないだろう、と思わせるようなものだった。
その監視員もやはり、「国鉄時代採用のJR職員の再雇用」とでも思えるような、
場違いな雰囲気を漂わせる老年男性だった。
働ける年寄りは働けばいい。働くべきだ。
また、「美術館業は接客業・サービス業だ」と言うつもりもない。
ただ、その「場」に求められる、相応しい「物腰」「所作」というのはあるはずで、
それは教えられるまでもなく、状況から察せられて自然に身についていくものだと思うが、
彼らの年代になると、そういったことが難しくなるのだろうか。
自分自身を変えられない、そういう「硬直さ」を、なんだか物悲しく思った。
逆に言えば、そういう彼らを「教育」しようとすることを、遠慮してはいけないのかも知れない。
受付を抜け、展示室に入る自動ドアが開くと、傍らの椅子に座っていた老年女性の監視員が
倒れ込まんばかりに豪快に頭を傾がせて眠りこけており、ドアの開いた音ではっと目覚めたようだった。
絵を眺めていると、やがてその監視員の交代要員の別の老年女性がやって来たが、
2人は、「暖かくて…」とか、膝掛けがいるとかいらないとか、
静まり返った室内で、大して声を落とそうともせずに言葉を交わすのだった。
「お喋りは控えて」の旨のサイン看板は入口に出ているのだが。
ずいぶんプロフェッショナルな意識に乏しい職員だが、ボランティアなのだろうか。
あれで金を貰っているのだとしたら、ずいぶんお気楽な商売だ。
「損保ジャパン退職者の優雅な再雇用」とでもいったところか。
昨日も別の美術館に行った。
東京ステーションギャラリー「プライベート・ユートピア ここだけの場所」。
ある展示コーナーに入ろうとすると、老年男性の監視員にトントンと肩を叩かれた。
映像の展示なので、傍らにあるヘッドホンを使って下さい、という趣旨のようだが(彼は終始無言なのだ)、
正直、その「肩の叩き方」が不快だった。
「大人が幼い子どもを呼び止める時の叩き方」とでも言うのかな。
言葉で表わすとすれば「ねえ、ねえ」とか「君、君」とでもいうような感じの。
少なくとも、ホテルならホテルマンが、デパートなら店員が、
客を呼び止める時にああいうやり方はしないだろう、と思わせるようなものだった。
その監視員もやはり、「国鉄時代採用のJR職員の再雇用」とでも思えるような、
場違いな雰囲気を漂わせる老年男性だった。
働ける年寄りは働けばいい。働くべきだ。
また、「美術館業は接客業・サービス業だ」と言うつもりもない。
ただ、その「場」に求められる、相応しい「物腰」「所作」というのはあるはずで、
それは教えられるまでもなく、状況から察せられて自然に身についていくものだと思うが、
彼らの年代になると、そういったことが難しくなるのだろうか。
自分自身を変えられない、そういう「硬直さ」を、なんだか物悲しく思った。
逆に言えば、そういう彼らを「教育」しようとすることを、遠慮してはいけないのかも知れない。