情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

共謀罪で矛盾答弁!普通の会社も対象になる?!

2005-10-29 22:31:10 | 共謀罪
法務省のこれまでの答弁が法務省刑事局刑事法制課長らが書いた「新法解説叢書16 組織的犯罪対策関連三法の解説」(法曹会・5700円)の記述(68頁)と矛盾していることが保坂展人議員が昨日行った質問の中で明らかとなった。問題の記述は、「そ(共同)の目的自体が必ずしも違法・不当なものであることを要しないのであり、例えば、会社が対外的な営利活動により利益を得ることなども、『共同の目的』に当たり得る」というもの。これまで、法務省は「犯罪行為を行うことが共同の目的に沿うような団体」に限られるとしていかにも暴力団などに限定されるかのように説明してきたが、実はまったく縛りにならないことがはっきりした。

つまり、「共同の目的」に「営利目的」が入るなら、普通の会社が営利を求めて法に触れるようなことをした際も、「犯罪行為を行うことが共同の目的に沿うような団体」になってしまうのだ。これでは、「全ての団体が対象になるわけではない」と力説されても、まったく信用できない。

しかも、答弁に立った刑事局長は、「新法解説叢書16 組織的犯罪対策関連三法の解説」に「必ずしも違法・不当なものであることを要しない」と法務省刑事局刑事法制局長らが書いたことについて、「解釈というのはその当時の状況、社会状況の問題もある」(質問の34分くらいのところ)と答えたのだ!!

それって、いまは、暴力団などだけを対象にしていると解釈してとりあえず国会を通すけれど、数年後には市民団体も対象にするという解釈が成り立ちうるって自白しているようなものだ!!!危険!!!危険!!!

やはり、法律の文言上、「重大な犯罪を行うことを目的とし、現に犯罪を重ねている団体」に限定することを明確にする必要がある!

ぜひ、衆院TVの保坂議員の30分前くらいからのところは見てほしい。

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住民投票が削除されている理由~自民党憲法改正案

2005-10-29 06:22:07 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
自民党憲法改正案では、「第95条:一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」が削除されることとなっている。あれっと思って、ネットで検索すると、自民党の憲法改正プロジェクトチームの「論点整理(案)」平成16年6月10日 というのがあって、住民投票について、【また、住民投票の濫用防止規定についても更に検討を進めることとする。また、昭和26年以降「一の地方公共団体のみに適用される特別法」の制定はなく、現行95条は削除する方向で検討する。】という議論がなされていることが分かった。

さらに、自由民主党憲法調査会憲法改正プロジェクトチーム議論の整理(案)を見ると、
【(3)住民投票
①住民自治を突き詰めていくと、住民投票がどこでもいつでも行われてしまう。住民投票が頻繁に行われると、安定した地方自治にはなっていかない。(船田元衆議院議員)
②住民投票の乱発により、地方自治が非常に間違った方向に行っている。これにある程度歯止めがかけられる仕組みが必要。(森岡正宏衆議院議員)
③小さな町を二分する住民投票が行われる。住民投票を乱発すると必ずいつまで経ってもしこりが残るという不幸な結果を生む。(近藤基彦衆議院議員)
④住民投票についての一般の認識が変わってきているのではないか。住民投票をきちんと運用できる形で規定した方がいいのではないか。(加藤勝信衆議院議員)
住民投票に天皇制がかかるようなことがあってはいけない。(中山康秀衆議院議員)】
などの発言がされていることが分かった。

これって、地方分権の方向に完全に逆行していないですか?
地方自治は「民主主義の学校」だったのでは?

そもそも、【昭和26年以降、「一の地方公共団体のみに適用される特別法」の制定はなく、現行95条は削除する方向で検討する。】っていうが、それなら、【日本国憲法公布後、同憲法は改正されていない。ゆえに、改正条項は不要である】ってことになりますか?!

国家がある都市に過大な負担をかけるような立法を制定しようとすることは十分考えられる。沖縄の現状を見れば明らかだ。

住民投票廃止の真意は中央集権的国家の確立にあるのではないか?