犯罪被害者等基本計画が今月中に閣議決定されるが,その計画の中で,警察が事件事故を発表する際に犯罪被害者の氏名を実名にするか否かを警察の判断に委ねるとの方針が決まりそうなことはこれまで書いたとおりだが,毎日新聞の調査によって,実は,犯罪被害者の多くは,警察が判断することに反対し,実名発表を原則とするべきだと考えていることが分かった。基本計画検討会では,被害者は,警察による判断を希望している旨主張されたが,ミスリードであったことが明らかとなった。
毎日新聞の11月29日メディア欄(紙面上では25人に対するアンケート結果が実名入りで表になっています)
【事件・事故の被害者名の報道機関への発表はどうあるべきか。政府の犯罪被害者等基本計画検討会がまとめた基本計画案で、被害者を実名・匿名のどちらで発表するかの判断を警察に事実上委ねる項目が盛り込まれたことについて、毎日新聞は被害者・遺族25人(このうち1人は夫妻で回答)に意見を聞いた。その結果、21人が反対を表明した。また、19人が原則として実名発表すべきだと答えた。検討会は「犯罪被害者等の匿名発表を望む意見」との表現で被害者側の意見を集約したが、被害者の意識とかけ離れている実態が浮かぶ。【まとめ・伊藤正志】
◇当局発表を信頼の声も
全国の本社・支局を通じて、事件・事故の被害者・遺族らに取材した。
質問項目は(1)被害者名の発表を実名にするか、匿名にするかの判断を警察に委ねることに賛成か、反対か(2)警察による被害者名の発表は原則として実名、匿名のいずれであるべきだと思うか(3)理由は何か--の3点。
「反対」意見の理由としては「警察に判断する権限はない」との意見や、「被害者も人間としての尊厳があり、名前はその象徴」との意見などがあった。えん罪や誤認捜査を理由に、メディアのチェック機能に期待する意見もあった。一方、「賛成」意見としては「警察を信頼している」などの意見のほか、メディアによる過熱報道を懸念する声もあった。
発表の原則実名・匿名については、明確に「匿名」と回答したのは1人だった。「匿名」の理由は「報道被害にどう対処するか明確でない」だった。一方、「実名」の理由としては「報道の自由や真実の追及を妨げる結果になる」「事件解決のためメディアに協力してもらう面がある」などの意見があった。しかし、「実名」とする意見でも多くの人から「被害者に配慮して節度ある取材をすべきだ」「報道の際は被害者の意向を尊重すべきだ」などと、メディアへの注文もあった。このほか「少し時間をおいた後で実名を明かすなどの工夫が必要」との意見もあった。】
毎日新聞の11月29日メディア欄(紙面上では25人に対するアンケート結果が実名入りで表になっています)
【事件・事故の被害者名の報道機関への発表はどうあるべきか。政府の犯罪被害者等基本計画検討会がまとめた基本計画案で、被害者を実名・匿名のどちらで発表するかの判断を警察に事実上委ねる項目が盛り込まれたことについて、毎日新聞は被害者・遺族25人(このうち1人は夫妻で回答)に意見を聞いた。その結果、21人が反対を表明した。また、19人が原則として実名発表すべきだと答えた。検討会は「犯罪被害者等の匿名発表を望む意見」との表現で被害者側の意見を集約したが、被害者の意識とかけ離れている実態が浮かぶ。【まとめ・伊藤正志】
◇当局発表を信頼の声も
全国の本社・支局を通じて、事件・事故の被害者・遺族らに取材した。
質問項目は(1)被害者名の発表を実名にするか、匿名にするかの判断を警察に委ねることに賛成か、反対か(2)警察による被害者名の発表は原則として実名、匿名のいずれであるべきだと思うか(3)理由は何か--の3点。
「反対」意見の理由としては「警察に判断する権限はない」との意見や、「被害者も人間としての尊厳があり、名前はその象徴」との意見などがあった。えん罪や誤認捜査を理由に、メディアのチェック機能に期待する意見もあった。一方、「賛成」意見としては「警察を信頼している」などの意見のほか、メディアによる過熱報道を懸念する声もあった。
発表の原則実名・匿名については、明確に「匿名」と回答したのは1人だった。「匿名」の理由は「報道被害にどう対処するか明確でない」だった。一方、「実名」の理由としては「報道の自由や真実の追及を妨げる結果になる」「事件解決のためメディアに協力してもらう面がある」などの意見があった。しかし、「実名」とする意見でも多くの人から「被害者に配慮して節度ある取材をすべきだ」「報道の際は被害者の意向を尊重すべきだ」などと、メディアへの注文もあった。このほか「少し時間をおいた後で実名を明かすなどの工夫が必要」との意見もあった。】