情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

公務員が憲法改正に関する運動をなしえないことについて:パート2

2007-03-28 19:54:01 | 憲法改正国民投票法案そのほか
昨日、憲法改正の手続法案では、国家公務員法の規制を除外する規定がないため、結局、国家公務員が改憲案について投票運動をしたら、刑罰によって処罰されることを指摘したが、国家公務員法の政治活動は、限定されているから大丈夫ではないかという疑問を持った方がいた。

そこで、同様の疑問を解きたいと思う。

まず、国家公務員法をみてみよう!

国家公務員法102条(政治的行為の制限)
1項 職員は,政党又は政治的目的のために,寄付金その他の利益を求め,若しくは受領し,又は何らの方法を以てするを問わず,これらの行為に関与し,あるいは選挙権の行使を除く外,人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。

そこで、人事院規則で何が定められているかが問題となる。

人事院規則14-7[政治的行為]

(適用の範囲)
1 法及び規則中政治的行為の禁止又は制限に関する規定は、臨時的任用として勤務する者、条件付任用期間の者、休暇、休職又は停職中の者及びその他理由のいかんを問わず一時的に勤務しない者をも含むすべての一般職に属する職員に適用する。但し、顧問、参与、委員その他人事院の指定するこれらと同様な諮問的な非常勤の職員が他の法令に規定する禁止又は制限に触れることなしにする行為には適用しない。

◆アルバイトでも政治的活動を禁止される!

2、3項略

4 法又は規則によつて禁止又は制限される職員の政治的行為は、第6項第十六号に定めるものを除いては、職員が勤務時間外において行う場合においても、適用される。

(政治的目的の定義)
5 法及び規則中政治的目的とは、次に掲げるものをいう。政治的目的をもつてなされる行為であつても、第六項に定める政治的行為に含まれない限り、法第百二条第一項の規定に違反するものではない。

 一、二、三、四号略

 五 政治の方向に影響を与える目的で特定の政策を主張し又はこれに反対すること。

◆これに該当する

 六号以下略
 国の機関又は公の機関において決定した政策(法令、規則又は条例に包含されたものを含む)の実施を妨害すること。


(政治的行為の定義)
6 法第102条第1項に規定する政治的行為とは、次に掲げるものをいう。

 一 政治的目的のために職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること。

◆職名を名乗ってスピーチしたらアウト!

 二号 略 

 三 政治的目的をもつて、賦課金、寄附金、会費又はその他の金品を求め若しくは受領し又はなんらの方法をもつてするを問わずこれらの行為に関与すること。

◆反対広告掲載支援カンパなどで活動したらアウト!

 四、五、六号略

 七 政党その他の政治的同体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し、編集し、配布し又はこれらの行為を援助すること。

◆改正案反対の政党ビラを配布したらアウト!

 八 略

 九 政治的目的のために署名運動を企画し主宰し又は指導しその他これに積極的に参与すること。

◆署名活動を積極的に展開したらアウト!

 十 政治的目的をもつて、多数の人の行進その他の示威運動を企画し、組織し若しくは指導し又はこれらの行為を援助すること.

◆デモしたらアウト!

 十一 集会その他多数の人に接し得る場所で又は拡声器、ラジオその他の手段を利用して、公に政治的目的を有する意見を述べること。

◆スピーチしたらアウト

 十二 略

 十三 政治的目的を有する署名又は無署名の文書、図画、音盤又は形象を発行し、回覧に供し、掲示し若しくは配布し又は多数の人に対して朗読し若しくは聴取させ、あるいはこれらの用に供するために著作し又は編集すること。

◆ビラ配布したらアウト!

 十四 政治的目的を有する演劇を演出し若しくは主宰し又はこれらの行為を援助すること。

◆反改憲劇をしたらアウト!

 十五 政治的目的をもつて、政治上の主義主張又は政党その他の政治的団体の表示に用いられる旗、腕章、紀章、えり章、服飾その他これらに類するものを製作し又は配布すること.

◆反改憲バッジを配布したらアウト!

以下略


いかがでしょうか?

あなた自身公務員だと仮定して、あなたが改憲案に反対しようとした場合、結局いかなる行為がとれるのだろうか。絶望的だと思いませんか?

えっ、実際には、自分は地方公務員だから大丈夫ですって?

自民党は、地方公務員法の改正も頭にあります!こちらをご参照下さい!

なお、もしよろしければ、このアンケートにチャレンジしてみて下さい。
(佐世ちゃんの「憲法審議ってば、今どうなってるの?」から)

■■引用開始■■
緊急アンケート
どのくらい知っていますか「国民投票法(案)」
主催 : 国民のための国民投票法を考える会

① いま、国会で、憲法を改正するための「国民投票法案」という法律が話し合われていて、あと2週間で採決されようとしているのを知っていますか?
ア 知っている    
イ 知らない

② この法案について、本日午後4時から、大阪で、‘国民の意見を聞くため’ということで、「地方公聴会」が行われることを知っていますか?
ア 知っている    
イ 知らない

③ 以下の質問にお答え下さい。
【1】 国会が、「憲法のこの点を改正しましょう」と提案した場合、あなたは提案に賛成か反対か「投票」することになります。これが「国民投票」です。国会の提案に賛成するか反対するか、新聞やテレビを見たり、周りの人と話し合ったりして、自分の意見を決めていくのですが、今回の法案では、「国会の提案からみなさんが投票するまでの期間」の最短は何日でしょうか。選んで○をつけて下さい。
ア 60日    イ 90日    ウ 180日    エ 知らない

【2】 憲法はとても大事なきまりなので、みなさん1人1人が「国民投票」をして、「過半数」の人が「賛成」しないと「改正することができない」という、厳しい手続が憲法自体に定められています。   しかし、何の「過半数」とすべきかについては考え方が分かれています。今回の法案では、実際にはどのくらいの数の賛成があれば憲法が改正できるとされていますか。選んで○をつけて下さい。
ア 投票できるすべての有権者の数の「過半数」
イ 投票率が低くて少しの人しか投票しなくても、投票数の「過半数」
ウ 投票率が低くて少しの人しか投票しなくても、さらに「無効票」を除いて、有効とされた投票数の「過半数」
エ 知らない

④ この法案について、国会や国民の間での議論は、2週間後にもう採決してもよいという程度に、十分に尽くされたと思いますか?
ア 尽くされた
イ 尽くされていない
ウ 分からない

■■引用終了■■

◆追記:アンケート結果はこちら←クリック◆

また、佐世ちゃんは次の提案をしている。

●今、すぐに!やること
(1)東京・大阪・新潟以外の人
   下記に連絡をして、「自分の地域でも公聴会を開け!」と求める。
(2)東京及び東京近郊の人
   下記に、東京開催の4月5日の公聴会の公述人に応募する。
(3)新潟・大阪の方
   下記に「どうして公聴会が公募じゃないんだ!公募の公聴会をもう一度開け!」
   と求める。
(1~3全ての連絡先)
議院憲法調査特別委員会事務局(電話:03-3581-5563)
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_osirase.htm
〒100-8960 東京都千代田区永田町1-7-1
衆議院憲法調査特別委員会及び憲法調査会事務局気付
日本国憲法に関する調査特別委員長 中山太郎殿

●今後の審議日程
3月28日(水)新潟公聴会 朝9時40分~午前11時40分
       大阪公聴会 午後4時~午後6時
3月29日(木)14:20~ 東京にて憲法特委・・・傍聴希望者は↓に方法あり
4月 5日(木) 東京での公聴会
4月 8日(日) 地方選挙(前半)
4月12日(木) 憲法特委、法案強行採決(予定)★
4月13日(金) 衆院本会議、法案強行採決(予定)★
4月22日(日) 地方選挙(後半)

●3月29日の憲法特委を傍聴しよう!
再び、希望の方に辻元清美衆議院議員の事務所のお手伝いで傍聴いただけること
になりました。(事務所の方、ありがとうございます)
1 事前申込
傍聴希望の方は、当日(22日)の朝8時までに、名前、職業、年令、住所、電話
番号を明記の上、「3月29日の憲法特委特別調査委員会傍聴希望」として、辻本
清美議員の議員会館の事務所宛てに、ファックスしてください
(FAX 03-3508-3855)。
2 当日
委員会は 3月29日(木)14:20~17:05
参加される方は、14時までに国会議事堂・衆議院議員面会所に集合してください。
途中退席はかまいませんが、再度入ることはできません。

画像は、こちらから。





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★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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憲法改正国民投票法案で、「自民が公務員への罰則規定を撤回」との記事は誤報だ~メディアは猛省を!

2007-03-28 01:09:12 | 憲法改正国民投票法案そのほか
 時事通信によると、【自民、公明両党は27日、憲法改正の手続きを定める国民投票法案の与党修正案を国会に提出した。修正案は、投票年齢の「18歳以上」への引き下げなど民主党との修正協議の合意内容を取り込んだのが特徴。与党は4月13日の衆院通過を図る方針で、今後は民主党の対応が焦点となる】という。

この修正案における公務員の運動に関する規制について、多くのメディアは、公務員への罰則規定を撤回したという前向きな趣旨で論評している。

例えば、

時事通信:【公務員や教育者の地位利用による投票呼び掛けについては、新たな罰則は設けず公務員法の懲戒処分などを適用する。】

毎日:【また自民、公明両党間で最後まで調整が残った「公務員、教育者の地位利用による国民投票運動の禁止」については罰則を設けないことになった。】

読売:【自公が国民投票法案修正案、公務員地位利用は罰則なし】


テレビユー福島:【自民党内から異論が出ていた公務員の地位を利用した投票運動については、罰則を設けず、公務員の政治活動の規制のあり方について、今後3年間の内に必要な法整備を行うことになりました】

日経:【公務員が地位を利用して機関紙やビラ配りなど組織的な行為をした場合も刑事罰の対象とはせず、懲戒など行政罰で対応する方向で折り合った。】

朝日:【公務員への罰則規定を撤回 国民投票法、自民が修正案】

しかし、その実態は、
【自民党は罰則規定を撤回する代わりに、公務員の運動を規制するための新たな策を公明党に提案した。両党はこれまで、国家公務員法と地方公務員法が定める「政治的行為の制限」は「国民投票には適用しない」ことで合意していたが、自民の新たな提案では、この方針を転換。「適用を除外する」と明記した条文を国民投票法案から削ったうえで、3年以内に「政治的行為」への規制のあり方を検討することを同法案の付則に書き込むとの内容で、公明党も大筋で受け入れた。
 公務員による憲法改正をめぐる運動については両党のこれまでの実務者協議では、民主党の意向もくんで、公務員と教育者の「地位利用」による運動に刑事罰は設けないことで合意していた 】(朝日)というものであり、

産経新聞が書くように、【修正案をめぐっては、国民投票運動に関して、公務員による政治的活動が容認されていたことなどに党内から異論が噴出。与党間調整の結果、26日に「公務員の政治的活動の制限の適用除外」を削除し、一定の制限を加えることなどで合意にこぎ着けた】という経緯で生まれたものだ。

したがって、今回の自民・公明両党修正案については、

「自公両党が開き直り法案提出 公務員の制限を復活 憲法改正手続法案」

とするのが、市民の視点に立った見出しであるはずだ。

公務員に配慮したようなニュアンスで伝えるのはまったく誤りだ。

そもそも、国家公務員法の規定は、他国では例がないほど、公務員の思想良心の自由を侵害しており、憲法違反の疑いがある。

例えば、最近では、2003年の衆議院選挙前に、厚生労働事務官が共産党の機関紙を配ったとして国交法違反で起訴された事件が有名だ。この事件は、被告・堀越明男さんが起訴されるまで、公安警察は、40日間にわたって、多い日には11人も動員して堀越さんを尾行し、「演劇(観劇)を終了し、男女十人ぐらいと居酒屋に入る。居酒屋を出た後、カラオケ店に入店」など、容疑と関係のない私生活まで監視、記録していたというもので(『赤旗』6月30日号)、ビラ配布の模様をビデオで撮影するなどして「証拠」をそろえた上、堀越さんの勤務時間外の休日に、職場からずっと離れた自宅付近で行ったビラ配布を、国交法違反で起訴したという言論弾圧事案だ。このような極端にひどい公安警察の異常捜査を、東京地裁(毛利晴光裁判長)はほとんど看過し、堀越さんには罰金10万円、執行猶予2年の有罪判決を言い渡した(こちらより、ほぼ引用)。

休日にビラを配布したら逮捕され、有罪となる…。つまり、現状で、公務員が政治的活動をしたら、その一切が処罰されうるということなのです。

憲法を変える場合にも、そのような規制がかけられたら、事実上、公務員はまったくものがいえなくなる…。

読売が、【公務員の活動を巡っては、与党は当初、現行法の政治活動制限規定を適用しない方向で、与党案の修正を検討していた。しかし、自民党内から、「公務員の政治活動を全く野放しにすれば、自治労などが、改憲反対運動を行う可能性がある」との批判が出たため、公明党も「公務員による自由な意見表明を制限しない」ことなどを法案の付則に明記することを条件に受け入れた】と書いていることの裏には、このような弾圧事件がある。

このような本質的な問題をスルーした記事を書いた記者、デスクは、猛省のうえ、問題の所在をきちんと市民に伝えてほしい!

ちなみに、画像の見出しの背景に安倍の記事が置かれているが、その配置が意図的なものであることはあらためて言うまでもない。この記事に関する当ブログの関連記事は、こちら←クリック。







★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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