自衛隊が、イラク派遣に関連して、290もの団体・個人を監視対象として、情報収集を図っていたことが明らかとなった。このことから、①自衛隊自身が、戦争を実行することがいかに民意に反しており、スムーズに実行するためには反対運動を抑え込む必要があることを認識していたこと、②自衛隊(というか、軍隊一般)は放っておくと自分たちで勝手に活動範囲を拡張してしまう危険な組織であることが明らかとなった。情報収集した資料はこちら、こちら、こちら(←こちらより)。
まずは、共同配信ニュース(中国新聞)から。
■■引用開始■■
共産党の志位和夫委員長は六日午後、国会内で記者会見を開き、陸上自衛隊の情報保全隊が、自衛隊の活動に批判的な全国の市民団体や政党、労組、ジャーナリスト、宗教団体などの動向を調査し作成した「内部文書」を入手したと発表した。
イラク自衛隊派遣に関連し監視対象となっているだけでも全国四十一都道府県の二百九十団体・個人に上り、高校生も含まれている。情報保全隊は、部隊を外部の働き掛けから防護するために必要な情報収集を主な任務としており、監視活動が本来任務の範囲内かどうか、議論を呼びそうだ。
文書は計十一部、百六十六ページ。陸自東北方面情報保全隊が収集した情報を週単位で一覧にまとめた「一般情勢」など(二○○四年一―二月)と、情報保全隊本部が作成した「イラク派遣に対する国内勢力の反対動向」(○三年十一月―○四年二月)の二種類。
それぞれ一週間ごとに、全般情勢のほか「革新政党」「新左翼等」「諸派および反戦市民(マスコミ)」「労組」などの活動状況を要約。デモや反対集会、ビラ配りなどの詳しい状況や参加者の写真なども含まれる。
志位氏は「国民のあらゆる運動を監視し、詳細に記録していたことを示している。個人のプライバシーに対する侵害行為で、憲法違反だ」と強調、鈴木政二官房副長官に中止を要求した。
鈴木氏は「初めて見る資料であり、安倍晋三首相に伝え対応したい」と述べたが、塩崎恭久官房長官は記者会見で「法律にのっとって行われる調査活動や情報収集は当然、受け入れられるべきだ」と述べ、法令の許容範囲との認識を示した。
ジャーナリストらに関しては取材状況や報道内容、市町村議会では決議の経緯なども分析されていた。共産党は「自衛隊関係者」から直接入手し、文書に基づき調査した結果、信ぴょう性が高いと判断した、と説明している。
■■引用終了■■
そして、自衛隊側の言い訳。
【塩崎恭久官房長官は記者会見で「法律にのっとって行われる調査活動や情報収集は当然、受け入れられるべきだ」と述べ、法令の許容範囲で問題はないとの認識を示した。法的根拠については「防衛省設置法4条に『必要な情報の収集整理に関すること』と書いてある」と指摘した】(産経)
【防衛省の守屋武昌事務次官は6日夕に記者会見し、「自衛隊イラク派遣に反対運動が高まっており、隊員や家族の心配に応える体制をつくるため、この種の資料を作成した」と述べ、市民団体などを調査した文書の存在を認めた。今後、実際の文書が流出したかどうか調査に乗り出すという】(時事)
守屋次官は【「社会情勢の中で、イラク派遣がどう扱われているか調べることもある」と説明。秘密保護などが目的の情報保全隊の任務として、問題視する指摘に対しては「必要な情報収集だ。違法性は一切ない」と強調した】(同上)
防衛省設置法4条とは、次のようなもの。
第4条 防衛省は、次に掲げる事務をつかさどる。
1.防衛及び警備に関すること。
2.自衛隊(自衛隊法第2条第1項に規定する自衛隊をいう。以下同じ。)の行動に関すること。
3.陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の組織、定員、編成、装備及び配置に関すること。
4.前3号の事務に必要な情報の収集整理に関すること。
(以下略)
つまり、塩崎長官の言う、必要な情報の収集整理とは、あくまでも、防衛、警備、自衛隊の行動、組織そのほかに関する情報の収集整理であって、市民をスパイすることを認めているわけではない。
違法な行為をする側は、何でも拡大解釈して問題ないと説明するだろうが、それを「はい、そうですか」と市民側が納得してしまっては、旧軍の暴走の再来を許すことにつながる…。
そして、自民党が、市民に対するスパイ活動を批判し、自衛隊幹部を更迭することができないなら、やはり、自衛隊に対するシビリアンコントロールは利いていないということになる。
守谷事務次官は、この情報収集目的について、【自衛隊イラク派遣に反対運動が高まっており、隊員や家族の心配に応える体制をつくるため】だと説明した。つまり、反対運動を抑え込むための組織・システムを自衛隊内につくるための資料だということだ。憲兵隊をつくろうということだ。
もし、久間大臣及び自衛隊幹部の更迭がないならば、軍隊とは戦争を実行するためには、反対する市民団体を押さえつけることを躊躇しない恐ろしい組織であることを自認することになる。
自衛隊は旧軍とは違うといったって、所詮、軍は軍…。自衛隊が存続している間、徹底した情報公開をさせなければ、シビリアンコントロールは絵に描いた餅と化すのは間違いない。
※写真は、憲兵隊として、政府に不都合な者を殺した甘粕大尉=被告席右端(こちら←から)。
なお、甘粕が大杉らを殺害した時、新聞は次のような記事を掲載している。
【「大杉夫妻の殺害は、一片憂国の至誠からやったものと見ることもできる。その考えがまちがっていても、いなくても、またその行為が合法的であっても、なくても、犯行の動機は正しく国家的であり、道徳的である」(「東京日日新聞」)】(上記ウェブサイト)
今回の事件で各社はいかなるスタンスをとるのだろうか…。
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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まずは、共同配信ニュース(中国新聞)から。
■■引用開始■■
共産党の志位和夫委員長は六日午後、国会内で記者会見を開き、陸上自衛隊の情報保全隊が、自衛隊の活動に批判的な全国の市民団体や政党、労組、ジャーナリスト、宗教団体などの動向を調査し作成した「内部文書」を入手したと発表した。
イラク自衛隊派遣に関連し監視対象となっているだけでも全国四十一都道府県の二百九十団体・個人に上り、高校生も含まれている。情報保全隊は、部隊を外部の働き掛けから防護するために必要な情報収集を主な任務としており、監視活動が本来任務の範囲内かどうか、議論を呼びそうだ。
文書は計十一部、百六十六ページ。陸自東北方面情報保全隊が収集した情報を週単位で一覧にまとめた「一般情勢」など(二○○四年一―二月)と、情報保全隊本部が作成した「イラク派遣に対する国内勢力の反対動向」(○三年十一月―○四年二月)の二種類。
それぞれ一週間ごとに、全般情勢のほか「革新政党」「新左翼等」「諸派および反戦市民(マスコミ)」「労組」などの活動状況を要約。デモや反対集会、ビラ配りなどの詳しい状況や参加者の写真なども含まれる。
志位氏は「国民のあらゆる運動を監視し、詳細に記録していたことを示している。個人のプライバシーに対する侵害行為で、憲法違反だ」と強調、鈴木政二官房副長官に中止を要求した。
鈴木氏は「初めて見る資料であり、安倍晋三首相に伝え対応したい」と述べたが、塩崎恭久官房長官は記者会見で「法律にのっとって行われる調査活動や情報収集は当然、受け入れられるべきだ」と述べ、法令の許容範囲との認識を示した。
ジャーナリストらに関しては取材状況や報道内容、市町村議会では決議の経緯なども分析されていた。共産党は「自衛隊関係者」から直接入手し、文書に基づき調査した結果、信ぴょう性が高いと判断した、と説明している。
■■引用終了■■
そして、自衛隊側の言い訳。
【塩崎恭久官房長官は記者会見で「法律にのっとって行われる調査活動や情報収集は当然、受け入れられるべきだ」と述べ、法令の許容範囲で問題はないとの認識を示した。法的根拠については「防衛省設置法4条に『必要な情報の収集整理に関すること』と書いてある」と指摘した】(産経)
【防衛省の守屋武昌事務次官は6日夕に記者会見し、「自衛隊イラク派遣に反対運動が高まっており、隊員や家族の心配に応える体制をつくるため、この種の資料を作成した」と述べ、市民団体などを調査した文書の存在を認めた。今後、実際の文書が流出したかどうか調査に乗り出すという】(時事)
守屋次官は【「社会情勢の中で、イラク派遣がどう扱われているか調べることもある」と説明。秘密保護などが目的の情報保全隊の任務として、問題視する指摘に対しては「必要な情報収集だ。違法性は一切ない」と強調した】(同上)
防衛省設置法4条とは、次のようなもの。
第4条 防衛省は、次に掲げる事務をつかさどる。
1.防衛及び警備に関すること。
2.自衛隊(自衛隊法第2条第1項に規定する自衛隊をいう。以下同じ。)の行動に関すること。
3.陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の組織、定員、編成、装備及び配置に関すること。
4.前3号の事務に必要な情報の収集整理に関すること。
(以下略)
つまり、塩崎長官の言う、必要な情報の収集整理とは、あくまでも、防衛、警備、自衛隊の行動、組織そのほかに関する情報の収集整理であって、市民をスパイすることを認めているわけではない。
違法な行為をする側は、何でも拡大解釈して問題ないと説明するだろうが、それを「はい、そうですか」と市民側が納得してしまっては、旧軍の暴走の再来を許すことにつながる…。
そして、自民党が、市民に対するスパイ活動を批判し、自衛隊幹部を更迭することができないなら、やはり、自衛隊に対するシビリアンコントロールは利いていないということになる。
守谷事務次官は、この情報収集目的について、【自衛隊イラク派遣に反対運動が高まっており、隊員や家族の心配に応える体制をつくるため】だと説明した。つまり、反対運動を抑え込むための組織・システムを自衛隊内につくるための資料だということだ。憲兵隊をつくろうということだ。
もし、久間大臣及び自衛隊幹部の更迭がないならば、軍隊とは戦争を実行するためには、反対する市民団体を押さえつけることを躊躇しない恐ろしい組織であることを自認することになる。
自衛隊は旧軍とは違うといったって、所詮、軍は軍…。自衛隊が存続している間、徹底した情報公開をさせなければ、シビリアンコントロールは絵に描いた餅と化すのは間違いない。
※写真は、憲兵隊として、政府に不都合な者を殺した甘粕大尉=被告席右端(こちら←から)。
なお、甘粕が大杉らを殺害した時、新聞は次のような記事を掲載している。
【「大杉夫妻の殺害は、一片憂国の至誠からやったものと見ることもできる。その考えがまちがっていても、いなくても、またその行為が合法的であっても、なくても、犯行の動機は正しく国家的であり、道徳的である」(「東京日日新聞」)】(上記ウェブサイト)
今回の事件で各社はいかなるスタンスをとるのだろうか…。
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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