すでにブログなどでも取り上げられていますが、【鳩山邦夫法相は29日、原則非公開の少年審判をめぐり、犯罪被害者や遺族らの傍聴を認める制度の導入などを法制審議会に諮問した。「審判の状況を直接見たい」という被害者側の要望に基づくもので、法務省は法制審の答申を得て来年の通常国会に少年法改正案を提出する方針。諮問要綱によると、傍聴を希望する被害者らの申請を受け、家庭裁判所が加害少年の年齢や事件の内容などを考慮した上で許可する】らしい(共同:http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/nation/CO2007112901000444.html)。
しかし、これに関連して、パブリックコメントを募集していることまできちんと伝えているメディアは必ずしも多くないようだ。
そもそも、少年審判は非公開で行われます。それは少年事件においては、少年の未熟さ及び可塑性(立ち直る可能性の大きさ)に鑑み、少年のこれまでの生活全てをさらけ出した上で、いかなる措置が必要かを決定する場だからです。
成人の刑事事件は行為そのものが審理の対象の中心になるのに引き替え、少年の場合は、少年自体が審理の中心になっていると言って良いでしょう。
しかも、少年の未熟さ及び可塑性から、処罰よりも立ち直りに重点を置くべきものとされています。
以上のことは、少年法1条に【この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年及び少年の福祉を害する成人の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする】とあることからも明らかであろう。
それにもかかわらず、政府は、被害者に少年審判に立ち会わせようというのだ。被害者が立ち会っている場で、上記のような目的を達することができるだろうか…。
パブリックコメントの募集要項(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=300090009&OBJCD=&GROUP=)を見ると、政府の本音が見えてくる。
【少年審判手続において,被害者やその遺族の方々への配慮を充実させることは極めて重要であると考えられ,平成12年には少年法の改正により,少年保護事件の被害者等による記録の閲覧・謄写,被害者等の申出による意見聴取,審判結果等の通知の各制度が導入されるなど,少年審判手続における被害者の方々に対する配慮の充実が図られました。
しかしながら,多くの犯罪被害者等にとって,その被害から回復して平穏な生活に戻るためには依然として様々な困難があることが指摘されています。このような状況から,平成16年12月には,犯罪被害者等基本法が成立し,その基本理念として,「すべて犯罪被害者等は,個人の尊厳が重んぜられ,その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する」ことが規定されています…】
つまり、【多くの犯罪被害者等にとって,その被害から回復して平穏な生活に戻るためには依然として様々な困難がある】から、加害者に怒りをぶつけさせることで、様々な困難に関する責任一切を加害者に押しつけてしまおう…という本音だ。
政府は、本当に、【被害から回復して平穏な生活に戻るためには依然として様々ある困難】について、被害者が審判に立ち会うことで解決できると信じているだろうか。そんなはずはない。少年犯罪について、充実した体制で、充実したフォローを行うこで、非行が激しくなることを防ぎ、少年犯罪による犠牲者が生まれないようにするのが政府の責務である。しかし、それにもかかわらず、特殊なケースを大きく取り上げ、さも、加害少年はモンスターであり、通常の教育ではどうにもならないという印象を持たせ、社会の怒りを煽る。
では、なぜ、政府は、少年非行を防ぐための施策・教育を行うことができないのか?それは簡単、そのような政策・教育とは、互いに相手のことを尊重し合う社会をつくること及びそのことを尊いものとする教育であるが、それは、格差社会、格差教育を目指す政府・財界有力者にとって、耐え難い政策・教育なのだ。外国人や異端なる者を排斥し、社会には格差があることを思い知らせる教育、これこそが、政府の教育における目的であり、そのような目的と、真の少年犯罪防止策は、まったく相容れないのだ。
ちょっと、穿ちすぎていると思う方もいるでしょう。しかし、格差教育は、自民党の規定の路線です。バウチャー制度によって、ますます、学校における格差が拡大し、いわゆる「いい学校」には金持ちしか通えなくなる…。身分を固定化させる狙い(自分の子ども、孫に同じような恵まれた環境をバトンする狙い)がなければ、このような施策をとる必要はないはずです。
ちょっと脱線が長くなりましたが、そういう真の狙いとは別に、被害者立ち会いが実現した場合には、少年法の精神は実現できなくなり、無罪で争うことがますます困難になるでしょう。パブコメで、改悪に歯止めをかけましょう!
【意見公募期間】
平成19年11月30日(金)から平成20年1月4日(金)(必着)
【意見の提出方法】
御意見は理由を付して,次に掲げるいずれかの方法により提出してください(様式は自由)。電話による御意見は受け付けておりませんので御了承ください。
○ 郵送の場合
〒100-8977 東京都千代田区霞が関1-1-1
法務省刑事局刑事法制管理官あて
※ 封筒に赤字で「パブリックコメント(法制審議会諮問事項について)」と記載してください。
○ 電子メールの場合(テキスト形式でお願いします。)
電子メールアドレス: keiji8@moj.go.jp
※ 添付ファイルやURL への直接リンクによる御意見は受理しかねますので,必ず本文にテキスト形式で記載してください。
※ 件名を「パブリックコメント(法制審議会諮問事項について)」としてください。
○ ファクシミリの場合
ファクシミリ番号03(3592)7054
法務省刑事局刑事法制管理官あて
※ 冒頭に件名として「パブリックコメント(法制審議会諮問事項について)」と記載してください。
【意見の提出上の注意】
提出していただく御意見は日本語に限ります。また,個人の場合は,氏名・住所等の連絡先を,法人の場合は,法人名・所在地を記載してください(御意見の内容に不明な点があった場合等の連絡・確認のために利用します。)。お寄せいただいた御意見については,個別の回答はいたしかねます。また,原則公表させていただき,その際,氏名(法人名)についても併せて公表させていただくことがありますので,あらかじめ御了承願います。
【問い合わせ先】
法務省刑事局刑事法制管理官TEL:03-3580-4111(内線5655)
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。なお、安倍辞任までの間、字数が許す限り、タイトルに安倍辞任要求を盛り込むようにしていましたが(あまり実行できなかったが…)、辞任したので中止します(ここ←クリック)。
しかし、これに関連して、パブリックコメントを募集していることまできちんと伝えているメディアは必ずしも多くないようだ。
そもそも、少年審判は非公開で行われます。それは少年事件においては、少年の未熟さ及び可塑性(立ち直る可能性の大きさ)に鑑み、少年のこれまでの生活全てをさらけ出した上で、いかなる措置が必要かを決定する場だからです。
成人の刑事事件は行為そのものが審理の対象の中心になるのに引き替え、少年の場合は、少年自体が審理の中心になっていると言って良いでしょう。
しかも、少年の未熟さ及び可塑性から、処罰よりも立ち直りに重点を置くべきものとされています。
以上のことは、少年法1条に【この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年及び少年の福祉を害する成人の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする】とあることからも明らかであろう。
それにもかかわらず、政府は、被害者に少年審判に立ち会わせようというのだ。被害者が立ち会っている場で、上記のような目的を達することができるだろうか…。
パブリックコメントの募集要項(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=300090009&OBJCD=&GROUP=)を見ると、政府の本音が見えてくる。
【少年審判手続において,被害者やその遺族の方々への配慮を充実させることは極めて重要であると考えられ,平成12年には少年法の改正により,少年保護事件の被害者等による記録の閲覧・謄写,被害者等の申出による意見聴取,審判結果等の通知の各制度が導入されるなど,少年審判手続における被害者の方々に対する配慮の充実が図られました。
しかしながら,多くの犯罪被害者等にとって,その被害から回復して平穏な生活に戻るためには依然として様々な困難があることが指摘されています。このような状況から,平成16年12月には,犯罪被害者等基本法が成立し,その基本理念として,「すべて犯罪被害者等は,個人の尊厳が重んぜられ,その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する」ことが規定されています…】
つまり、【多くの犯罪被害者等にとって,その被害から回復して平穏な生活に戻るためには依然として様々な困難がある】から、加害者に怒りをぶつけさせることで、様々な困難に関する責任一切を加害者に押しつけてしまおう…という本音だ。
政府は、本当に、【被害から回復して平穏な生活に戻るためには依然として様々ある困難】について、被害者が審判に立ち会うことで解決できると信じているだろうか。そんなはずはない。少年犯罪について、充実した体制で、充実したフォローを行うこで、非行が激しくなることを防ぎ、少年犯罪による犠牲者が生まれないようにするのが政府の責務である。しかし、それにもかかわらず、特殊なケースを大きく取り上げ、さも、加害少年はモンスターであり、通常の教育ではどうにもならないという印象を持たせ、社会の怒りを煽る。
では、なぜ、政府は、少年非行を防ぐための施策・教育を行うことができないのか?それは簡単、そのような政策・教育とは、互いに相手のことを尊重し合う社会をつくること及びそのことを尊いものとする教育であるが、それは、格差社会、格差教育を目指す政府・財界有力者にとって、耐え難い政策・教育なのだ。外国人や異端なる者を排斥し、社会には格差があることを思い知らせる教育、これこそが、政府の教育における目的であり、そのような目的と、真の少年犯罪防止策は、まったく相容れないのだ。
ちょっと、穿ちすぎていると思う方もいるでしょう。しかし、格差教育は、自民党の規定の路線です。バウチャー制度によって、ますます、学校における格差が拡大し、いわゆる「いい学校」には金持ちしか通えなくなる…。身分を固定化させる狙い(自分の子ども、孫に同じような恵まれた環境をバトンする狙い)がなければ、このような施策をとる必要はないはずです。
ちょっと脱線が長くなりましたが、そういう真の狙いとは別に、被害者立ち会いが実現した場合には、少年法の精神は実現できなくなり、無罪で争うことがますます困難になるでしょう。パブコメで、改悪に歯止めをかけましょう!
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平成19年11月30日(金)から平成20年1月4日(金)(必着)
【意見の提出方法】
御意見は理由を付して,次に掲げるいずれかの方法により提出してください(様式は自由)。電話による御意見は受け付けておりませんので御了承ください。
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【意見の提出上の注意】
提出していただく御意見は日本語に限ります。また,個人の場合は,氏名・住所等の連絡先を,法人の場合は,法人名・所在地を記載してください(御意見の内容に不明な点があった場合等の連絡・確認のために利用します。)。お寄せいただいた御意見については,個別の回答はいたしかねます。また,原則公表させていただき,その際,氏名(法人名)についても併せて公表させていただくことがありますので,あらかじめ御了承願います。
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