情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

政党ビラまき東京高裁逆転有罪判決を下した裁判官に問う!

2007-12-12 10:01:00 | メディア(知るための手段のあり方)
 【共産党のビラを配布するため東京都葛飾区のマンションに立ち入ったとして住居侵入罪に問われた僧侶、荒川庸生(ようせい)被告(60)の控訴審で、東京高裁は11日、1審の無罪判決を破棄し罰金5万円の有罪判決を言い渡した。池田修裁判長は「住民は住居の平穏を守るため部外者の立ち入りを禁止できる。許可のない立ち入りは相当性を欠く」と指摘した】(毎日新聞: ※1)。では、池田裁判長は、ある男性が通りすがりに女性の「きゃー」という声がマンションの中から聞こえたから、マンション内に立ち入ったところ、女性は友達に冗談でびっくりさせられただけであったという事例で、マンション住人がこの男性を住居侵入で告訴した場合も、有罪にするのだろうか、そのことを問いたい。

 法的には、この男性には、マンションに立ち入って女性の安否を確認する義務はない。警察に電話することもできただろう。また、マンションの住人に、キャーと言う声がしましたよって、伝えることもできただろう。

 しかし、それにもかかわらず、もし裁判所がこの男性を有罪としたら、社会は成り立たなくなるのではないだろうか。

 果たして、池田裁判長は、この男性にいかなる判決を下すのだろうか。皆さんはどう思いますか?  

 

※1:http://mainichi.jp/select/jiken/archive/news/2007/12/12/20071212ddm041040132000c.html

◆画像は、一審無罪の時の写真。http://homepage2.nifty.com/katusika/bira/as2006.htmより。












★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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「改正」放送法の問題点~放送の公共性からは内部的自由の付与は必然なり

2007-12-12 07:13:15 | メディア(知るための手段のあり方)
 放送法「改正」(※1)についてここのところ触れる余裕がなく、放置してきました。結果的には、盛り込まれることが危惧されてきた「行政処分」がはずされたため、大事には至らなかったというのが業界内でのとらえ方だと思うが、毎日新聞のメディア担当臺記者は12月11日付朝刊で4つの問題点を指摘している(※2)。

 1点めは、経営委員会内部で新設される監査委員制度だ。この監査委員は、【役員が協会の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によつて協会に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該役員に対し、当該行為をやめることを請求することができる】(改正後放送法23条の7。※3)。この監査委員の権限が突出する危険があるというのだ。

 2点めは、命令放送が、要請放送という形で生き残ったことだ。

 3点めは、行政処分は盛り込まれなかったが、行政指導という形での放送の自由への介入は継続するということだ。

 4点めは、放送持株会社を認めたことにより、キー局支配が強まり、言論の多様性が確保できないのではないかという問題だ。

 いずれも重要な問題だ。

 個人的に補足してみたい。

 1点めの問題は、「経営側」の強化は、放送の自由にとってはむしろ害悪だということだ。それよりも、内部的自由(現場のスタッフが経営陣に対して表現の自由を主張できること)を確保することで、コンプライアンスを達成するべきなのだ。放送は公的なもの、つまり、市民みんなのものだという一面がある。したがって、経営陣が儲け重視で経営すればいいというのではなく、現場の意見にも耳を傾けながら、よりよい放送を実現しなければならない。

 この点、奥平康弘教授は【国家が期待しているのは、たんなる放送の自由ではなくて、市民の側の「表現の自由」「表現を受けとる自由」の実現に貢献するということである。こう考えると、放送における内部的自由というものは制度必然的なものなのです】と言ったうえ、【制度内における内部的自由が保障されていないことが即座に「憲法違反である」とまではいえないかもしれないけれど、広い意味での憲法問題に関わっていると思います】とまで述べている(「『放送の自由』のために 多チャンネル時代のあり方を探る」日本民間放送連盟研究所編/日本評論社・26頁)。

 内部的自由を制度化していないことは憲法違反の疑いすらあるとまで述べている。この点を放置して、一方的に経営側の権限を強化したことは誤りだ。

 2点め、3点めの問題は、これまで何度か触れてきたとおり(※4など)。問題は、政府が直接放送行政に携わっていることで、なんとしても、独立行政委員会制度を実現しなければならない。独立行政委員会も政府の操り人形になるという声もあるが、少なくとも外部の目が入ることで、現状よりは改善される。

 4点めは難しい問題だが、実は、インターネットの進歩によって、新しい局面に入っている。インターネットには、キー局もローカル局もない。どこでも、キー局の配信番組を見ることができる。ローカル局の存在意義が問われる事態になっている。しかし、他方で、情報発信することそのものはインターネットであれば、割と手軽にできるという利点もある。そういう中で、「地デジ」を進めつつ、キー局統合を誘導する政府の考え方には、裏があると勘ぐられても仕方ない。つまり、インターネットによって、将来、今のような一方向の電波による放送は不要となり、地デジも無用の長物となるのは目に見えている。それにもかかわらず、ここで地方局の力を削ぐのは、インターネットにおける表現の多様化を未然に防ぐことを狙っているのではないだろうか、という勘ぐりだ。

いずれにせよ、内部的自由を確保する制度、独立行政委員会の設置という問題にまったく触れられていない今回の「改正」は、日本の放送行政、ひいては、政治が世界基準に達していないことを明らかにした。恥ずかし~い!


※1:【NHK執行部に対する経営委員会の監督権限の明確化など、NHK改革を柱とする放送法改正案が11日午後、衆院本会議で一部修正のうえ可決された。法案は参院に送られ、今国会で成立する見通しだ。
 焦点となっていた、捏造番組を放送した放送局への規制強化策については、参院第1党の野党民主党が「表現の自由への介入だ」として強く削除を求めたため、与党が歩み寄り、修正に応じた。
 また、NHK国際放送の命令放送を「要請放送」に変更する条項では、民主党は制度自体の廃止を主張したが、総務相が要請する放送内容を現在より限定し、編集の自由に配慮する規定を設けることで、譲歩した。
 放送法改正案にはこのほか、複数の民間放送局を傘下に持つことができる「認定放送持ち株会社」の導入や、携帯電話向け地上デジタル放送「ワンセグ」での独自番組の放送を容認することも盛り込まれた】(北海道新聞http://www.hokkaido-np.co.jp/news/culture/65266.html)

※2:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071211ddm012010023000c.html

※3:http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16605094.htm

※4:http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/e4c671a3da484e8ec7e49f44c7f15299











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