情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

現職自衛官(1等陸佐)が先制攻撃を提言~そりゃ、シビリアンコントロール違反だろ!

2007-12-24 20:31:43 | 有事法制関連
 もうまもなく、北朝鮮の脅威がなくなることが確実になってきたためか、政府・防衛省・自衛隊の動きが活発だ。読売新聞は22日、アフガン派遣を合憲と解釈するとの見解をまとめたと報じていた(※1)。しかし、それ以上に恐ろしい提言が自衛隊の「陸戦研究」という冊子の7月号及び8月号に連載されていた。

 その提言とは、第1師団司令部の1等陸佐が、これまでの専守防衛の考え方を大幅に変更し、先制攻撃によって防衛しようという考え方を採用しようというものだ。

 冒頭の表を見てほしい。これまでは自衛隊は、緑の自衛権という範囲で武力を行使することができるとされていた。したがって、弾道ミサイルで攻撃される場合でいえば、発射して間もなくすると着地点が判明するため、攻撃されたことが明確となり、自衛権を行使することが可能となるとされていた。

 しかし、この1等陸佐は、「これまでのように、専守防衛を厳格に適用すると、弾道ミサイル防衛ですら被害局限(消極防衛)しかできない。(中略)これは、(中略)危機管理上の重大な欠陥である」ということを事実上の根拠として、他方で、先制的自衛権を定義づけたうえ、自衛権よりも厳しい行使条件を明確にすることで、拡大解釈を避け、かつ、相手側の攻撃準備を防止することもできるということを理論的根拠として、先制的自衛権を「顕在化した脅威への対処」と定義づける。

 そして、脅威の顕在化とは、武力攻撃の着手であり、それは相手側の攻撃命令が発令された時点であるとする。そのうえで、「これを事前に知ることは困難である。従って、武力攻撃の着手と同一視されかねない行為、たとえば実際の武力行使とほとんど同一の軍事演習で、脅威を感じさせるものや恫喝的内容を含む声明を発表した場合は、先制的自衛権の発動を可能とすることが必要である」と行使の範囲について主張する。

 その結果が冒頭の図の赤で囲んだ「先制的自衛権として明確に定義」と書かれた部分だ。下に下がれば、燃料注入や攻撃命令・準備着手はおろか、演習・恫喝までもが自衛権行使の対象となっている。

 しかし、こんなことを許したら、実際には、自衛権の範囲を超えた攻撃を認めることとなるのは明らかだ。

 考えてほしい。脅威を感じさせる軍事演習だとか、恫喝的声明だとか、米国は年がら年中やっている。この1等陸佐が主張していることは、それらに対して自衛権の行使として攻撃をしてよい、ということに等しい。それはやっぱりあかんやろ。

 そもそも、燃料注入ですら、目では確認できないのだから、米国の情報でそうなっているなどと嘘をつかれて戦争が始まる可能性が十分にある。それ以上に、緩めた場合、市民が騙されたまま戦争に突入可能性は十分にある。

 しかも、この1等陸佐は、そのことを示唆するような発言をしている。

 「先制攻撃戦略を採用すべき具体的な条件について、弾道ミサイル対処のケースで考えてみると、まず、対象国による弾道ミサイルの配備や保有が国際的な取り決めに違反している状況になっている必要がある。これは前提的な条件であるが、軍部管理条約などの非軍事的手段による予防措置が成立していなければ、相手側の違法性は著しく低下し、支配型戦略の成立する余地がほとんどなくなる。イラク戦争の理由がイラクによる大量破壊兵器の不法な保有への疑いであったことからも、この条件の重要性が理解される」

 米国がイラクは大量破壊兵器を保有していないことを知りつつ、そのような疑いをでっち上げた攻撃の口実としたことはほぼ明確になっている。それにもかかわらず、大量破壊兵器の不法な疑いによるイラク攻撃を是認しているのだ。

 さらに、「島嶼部への侵攻対処においては、島嶼を直接防衛する戦力だけでなく、離島などへの緊急展開能力、侵攻する敵を洋上で撃破する能力(戦術空母や原子力潜水艦など)、海・空軍基地を攻撃できる能力が必要である」などとゲーム感覚で軍備拡大を求めている。

 現在の憲法解釈とは異なる解釈を堂々と発表するこの1等陸佐は、憲法尊重擁護義務(99条)に違反しており、かつ、軍人が勝手に憲法を解釈し、軍備について過大な要求を正当な手続き以外の場所で対外的にアピールしているのだから、シビリアンコントロールにも反する。直ちに、処分するべきである。


※1:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071222it01.htm?from=navr










★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。
なお、現在、こちらで(←クリック)、350円、1000万人寄付運動を展開しています。ぜひ、ご覧のうえ、行動にしてください。
   
1月17日にはNPJ/PEOPLE’S PRESS設立記念集会を開催します。吉岡忍さんの講演など…。詳しくは上のバナーをクリックして下さい。

吉岡忍さんと新メディアに何を期待するかを語ろう~1月17日、NPJ/ピープルズプレス設立記念集会

2007-12-24 08:35:48 | メディア(知るための手段のあり方)
 11月末に設立された「PEOPLE’S PRESS」=NPJの運営母体=が2008年1月17日午後6時半、東京都内の弘済会館で、設立記念集会を開催する。まず、メディアに対して厳しいエールを送ってきた作家吉岡忍さんが「新しいメディアに期待すること」と題する講演を行う。続いて、「PEOPLE’S PRESS」のメンバーやそのほかの市民メディアの運営者、ジャーナリスト、学者らとともに、新しいメディアについて、意見交換会を行いたいと考えています。放送と通信の融合が法的になされようとしている今、新しいメディアについて語ることは意義深いことだと思われます。ぜひ、ご来場いただき、表現の自由などについていっしょに考えましょう。なお、参加協力費は500円(学生無料)です。ご都合で来場できない方のための企画も検討中ですが、できるだけご来場を!

◆次のようなバナーができました。リンクもよろしくお願いします。



◆梓澤代表の意気込み→http://www.jicl.jp/hitokoto/index.html

◆◆設立記念集会開催◆◆

「新しいメディアに期待すること」
   講 師   吉岡 忍 氏
   日 時   2008年1月17日 18:30~(開場18:00)
   場 所   弘済会館 
http://www.kousaikai.or.jp/hall/index.html
    ※参加協力費 大人500円(学生無料)
 

◆◆賛助会員へのお誘い◆◆

 People'sPressは現在,賛助会員(サポーター)の募集を行なっています。
お申し込みは,郵便振替口座をご利用下さい。
   【郵便振替口座】口座番号 00180-9-594374
              加入者名 ピープルズプレス
 郵便局専用の「払込取扱票」に必要事項(氏名・住所・電話・アドレス)を
 通信欄にご記入いただき,通信欄に「賛助会員申込み」と記入の上,
 賛助会員費(1口2000円以上)を上記口座にお振り込み下さい。

 ▽賛助会員についてのお問い合わせはこちら
    npj-0117@news-pj.net

  ※カンパのお願いもしています
  活動にご賛同くださいました皆様にカンパのお願いをしています。
  下記口座にて承ります。
   ご協力下さいますようお願い申上げます。
    【振込口座】みずほ銀行 四谷支店 普通 1067673
           口座名 ピープルズプレス


◆◆NPJ-CONTENTSのご紹介◆◆
 
 ☆弁護士の訟廷日誌
  社会に広く知らせるべき訴訟の進行状況や裏側などについて,
  当該訴訟の担当弁護士が記事を担当して報道しています。
  弁護士のネットワークを活かし,他では知ることのできない
  「特ダネ」を提供していきます。
  http://www.news-pj.net/npj/npj-cal.html

 ☆NPJ通信
  メンバーがそれぞれ関心のあるテーマを発信していきます。
  子ども・学校の問題,職場の問題,自然環境の問題など,
  直球勝負で言いたいことをはっきり言うコーナーを設けています。
  また犯罪報道の見方,重要法案をめぐる国会周辺の状況などを
  報道していきます。
  その他,「猿田佐世のNY便り」など,充実したコンテンツを提供しています。

 ☆イベント情報
  全国津々浦々からマスメディアを圧倒する市民の声を発信し,
  日本の未来を作っていきたい。
社会をよりよくするための市民の行動に資する情報を共有し,
市民が多様な価値観で社会を捉え,かつ主体的に社会に関わっていく
市民社会を作っていきたい。
このような希望を込め,全国の市民集会や講演会など情報を提供しています。
  http://www.news-pj.net/event/index.html




★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。
なお、現在、こちらで(←クリック)、350円、1000万人寄付運動を展開しています。ぜひ、ご覧のうえ、行動にしてください。