情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

もう一つの志布志事件~ダム建設反対村長に対する贈賄「冤罪」事件

2008-06-02 09:30:47 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 衆議院議員の立場で川辺川ダム建設に慎重な発言をしたために、ダム建設派の候補者に敗れつつも、今度は地元村長に当選し、同ダム建設に反対した矢上雅義氏が、村議会の議員に対する贈賄容疑で逮捕され、村長のまま11ヶ月間勾留された事件は、残念ながら控訴審でも有罪判決が下された。

 この事件については、熊本中央法律事務所のウェブサイト(※1)で詳しく紹介されているが、限りなく冤罪という印象を受ける。取調の方法にも問題がある。

 少しだけ引用してみる。

【矢上氏は,贈賄の事前謀議への関与を逮捕直後から一貫して否認しています。
事件当時,相良村の村長は,長期政権を構えていた前村長から矢上氏に交代したばかりでした。同村村議会は,矢上氏派(与党)と前村長派(野党)とが,矢上新村長の下で,村長選の確執を捨てて協調路線をとって行こうと共闘態勢を整えているところでした。また,矢上氏を支える「与党」は村議会内で多数派を形成しており助役選任案件が否決されるおそれは全くなく,実際に,助役選任案件以前の教育委員会委員や農業委員会委員の人事案件もすんなりと可決されていました。
 つまり,矢上村長が提案した助役選任案は,何ら紛糾することなくすんなりと可決することが間違いない状況だったのです。つまり,賄賂を配る必要など全くなかったのでした。
 それにもかかわらず,検察側は,助役選任案を通すために,矢上氏らが村議らに対して賄賂を配る謀議を行ない,その謀議に基づいて実際に賄賂が配られたと主張しました。
 検察側が有力な証拠とするのは,矢上氏と政治的に対立していた元議員の自白と,身柄拘束下で得られたその他の共犯者らの虚偽の自白(その大部分は公判で撤回されました)のみでした。本件は,矢上氏を陥れようとする政敵のでっち上げであり,冤罪に他ならないことは明らかなのです。
 検察側主張を支える客観的な証拠が全くなかったので,弁護団は,矢上氏の関与を裏付けることはできないと強く主張しましたが,一審の熊本地方裁判所は弁護団の主張を簡単に排斥し,事実上,贈賄側及び収賄側の関係者らのうちの一部の自白(その大部分は公判で撤回されています)のみを証拠として,いとも簡単に検察官の主張を追認し,矢上氏に対して有罪判決(懲役2年執行猶予4年)を下しました。】

 弁護団の一員である小池振一郎弁護士は、「任意同行という名の関係者の強制取調べ。否認すれば釈放されないという人質司法。近くの鹿児島県志布志で起こった冤罪事件(12人全員無罪が確定)とその構造があまりにも似ている」とコメントしている。

 志布志事件のように無罪判決という結果が出なくとも、判決がおかしいのではないか、検察側が立証しきれていないのに有罪判決を下したのではないか、マスメディアがそういう批判をすることはできるのではないだろうか?

 矢上村長は,取調検察官から,「なぜダムに反対するのか。」と何度も聞かれたと言われたという。その取調のあり方に今回の事件の本質が現れているのではないだろうか。
 
 事件の舞台は、最高裁判所に移っている…。


※1:http://www5f.biglobe.ne.jp/~cyuou-law/ziken.html


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